トップ選手が取り入れている「ダイナミックエイミング」とは
ロリー・マキロイをはじめ、PGAツアーのトップ選手たちはキャリーで平均300ヤードを超える飛距離で戦っていますよね。彼らの飛ばしの秘密を紐解くキーワードが、「ダイナミックエイミング」。飛距離アップ理論の最新ワードで、彼らのスウィングもこれをうまく活用しているんです。
まずダイナミックエイミングについてざっくり説明すると「右足と左足の圧力のかかる点を結んだ線」のことです。これがスウィング時の狙う方向に影響を与えるんです。例として写真Aを見てみましょう。
ターゲット方向に対してスクェアスタンスで構えた状態のイメージです。が、見かけ上はそうであってもダイナミックエイミングを考慮した場合、スクェアに構えられていない可能性があるんです。
たとえば、両足の体重がかかっている点がそれぞれ左足のかかと側と右足のつま先側、といった場合。2点を結んだ線=ダイナミックエイミングは、目標よりも左側を向いていますよね(写真B)。
見かけ上スクェアに構えられているように見えても、実はこの体重のかけ方だとオープンスタンスで構えているのと同じということになるんです。そのことでアウトサイドにテークバックしやすくなり、カット軌道になりやすくなります。
逆もしかりで、オープンスタンスを取っていても左足つま先側・右足かかと側にそれぞれ体重がかかる点がある場合、ダイナミックエイミングは右側を向きインサイドにテークバックしやすいということになります。このように、ダイナミックエイミングの向きは必ずしもスタンスと同じ向きではなく、クラブの軌道や弾道にも深く関わってくるんです。
「左足かかと・右足つま先体重、インサイドアウト軌道」が最大飛距離効率スウィング
ではトップ選手たちはダイナミックエイミングを飛ばしにどう活かしているのか、という話ですよね。結論から言ってしまえば、彼らはターゲットよりも左側にダイナミックエイミングを向けつつ、クラブをそれとはクロスする方向のインサイドアウト軌道で振っています。
後方から見ると、写真Cのようなインパクトの形になります。ダイナミックエイミングが左側を向く。つまり先ほど例に挙げた(写真B)ように、左足かかと側と右足つま先側に体重がかかる点がある状態ですね。
ダイナミックエイミングをターゲットより左方向に向け、クラブはインサイドアウトに振っていくと、体が回転する方向(ターゲットより左向き)と遠心力でヘッドが動きたい方向(ターゲットより右向き)が逆になるため、体とヘッドに引っ張り合う力が生まれます。
それによってヘッドを効率良く加速させることができると同時に、引っ張られることで自然とフェースターンが起きてボールがしっかりつかまります。つまり、最大の飛距離で理想的なインサイドイン軌道のドローボールが打てるわけですね。他のスポーツにたとえるなら、陸上競技のハンマー投げのようなイメージですね。
この打ち方は体とヘッドが引っ張り合う力が重要で、そのためにダイナミックエイミングを目標より左側へ向けることが大事なんです。逆に、ダイナミックエイミングの方向とクラブを振る軌道が揃ってしまうとフェースが返りにくくなり、アウトサイドイン方向に揃ってしまうとターゲットラインに対してボールはそのまま左に、反対にインサイドアウト方向に揃ってしまうと右に飛び出してしまいます。無理やりボールをつかまえようとして慌ててフェースを返すと、曲がりの大きいフックボールやチーピンなどのミスショットの原因にもなります。
この感覚をつかむための練習法としては、写真Cのようにアドレスで右足かかと、左足つま先を浮かせた状態から、ティアップしたボールをドライバーで軽く打ってみましょう。もちろん、クラブはダイナミックエイミングとは逆のインサイドアウト軌道です。
最初はそのまま右に飛び出すと思いますが、慣れてきたら、右足つま先から左足かかと方向への圧力(あるいは踏み込み)を強くしていき、クラブを振るスピードも上げていきます。左足かかとを支点に左へ回転しようとする体と、遠心力で体から遠くへ離れようとするヘッドの引っ張り合いで、クラブが効率良く走るのが分かるはずです。
この動きができるようになると、前傾姿勢がキープされ、体の左サイドにクラブを振り抜いていくスペース(懐)ができるので、インパクトで詰まることがなく、フィニッシュまで気持ちよく振り切っていけるようになります。
高度なテクニックなのでいきなり実践、というわけにはいかないかもしれませんが、両足のどこに体重がかかっているか、それによってダイナミックエイミングはどちらを向いているのか。これを意識するだけでもスウィングは良い方向へ変化すると思いますよ。
協力/ヒルトップ横浜クラブ