特別テンポラリーメンバーの資格を得ることがスタート
プエルトリコオープンで単独2位に入り、特別テンポラリーメンバーの資格を手にしたアクシャイ・バティアは、いまや世界ランク9位(4月26日現在)につけるウィル・ザラトリスの足跡を踏襲しようとしています。
ザラトリスは2020年秋の全米オープンで6位に入るなどポイントを重ね、その年の11月のバミューダ選手権で16位に入り、特別テンポラリーメンバーの資格を獲得しました。それはシード選手並みにシーズン中、ほぼすべての試合に出場が可能であることを意味します。
松山英樹選手が優勝した2021年のマスターズで、ザラトリスが単独2位に入ったのは記憶に新しいはず。以来、彼は一歩も後退することなくトッププロとしての地位を固めました。
しかし、2021年好成績を残したにもかかわらずフェデックスカップのプレーオフシリーズには出場できませんでした。本来ならばポイントランク125位以内なら出場できるなのになぜ? 実はテンポラリーメンバーの場合、シーズン中に優勝することがプレーオフ進出の条件だったからです。
一方、バティアは、「テンポラリーメンバーになれてホッとしている。これまでは出られる試合が限られていたのでスケジュールの調整が難しかった。レンタカーを手配すべきか、ホテルはどうか…。もう心配しなくて済む。資格が手に入った夜は興奮して2時間しか眠れなかった」
特別テンポラリーメンバーからの優勝が目標
でも、これはあくまでもツアーにおけるスタートライン。彼にはザラトリスが成し得なかったテンポラリーメンバーでの優勝&プレーオフ進出が期待されています。
「チャレンジするのが好き。風が強い日にはどういう球で風に立ち向かうか? そういうクリエイティブなチャレンジが大好きなんだ」
バティアには、こんな思い出があると言います。「11~12歳の頃、ある日、夜中の12時に父親の部屋に行って、『どうしたら世界一の選手になれるの?』と聞いたんだ。すると父は、『夜中に何を言い出すのだ』とあきれながら、『一番先に会場に入って、一番最後に帰ること』と教えてくれたんだ」
父の教えを胸に、21歳の挑戦はここから始まります。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年5月2日号より(ARRANGE/Mika Kawano PHOTO/Blue Sky Photos)