ゴルフがなかなか上手くならない人には、上達を妨げる「意識の壁」があるのだという。その「意識の壁」をぶち破るコツを、アマチュアへのレッスンが豊富な北野正之プロが教えてくれた。
画像: 伸び悩むゴルファーへ『気づき』の指導を得意とする北野正之プロ。「違和感は"悪いこと"ではない。"変化の証し"なんです」(北野)

伸び悩むゴルファーへ『気づき』の指導を得意とする北野正之プロ。「違和感は"悪いこと"ではない。"変化の証し"なんです」(北野)

しっくりこない感覚が大きなヒントになる

アマチュアの悩みといえば「もっと飛ばしたい」「スウィングをよくしたい」「スライスを直したい」などなど。さまざまな悩みに対し、アマチュアは試行錯誤を重ねている。

だが、ほとんどのゴルファーが思うように成長できていないのではないか。その要因はどこにあるのか? スウィング理論だけでなく、メンタルにも詳しい、北野正之プロに聞いた。

「アマチュアは誰もが上手くなりたいと思っています。今のスウィングを変えたいわけです。それなのに自分が培ってきた技術や経験、知識を捨てることができません。これは固定観念だったり、プライドの高さだったりしますが、要はしっくりこない感覚が嫌いなのです。

この『違和感』はほとんどのアマチュアが悪いことだと感じてます。その結果『なんか変だからこれでは上手くなれない。元に戻そう』となってしまうのです。ですが、この違和感こそが上達に不可欠な発見(気づき)を生むきっかけになるのです。

私のレッスンでは『違和感を得たら喜びましょう』と教えています。それこそが変化の証しになるからです。この違和感というのは、グリップやボール位置で考えるとわかりやすいです。ストロングからウィークに変えたり、左寄りから右寄りにボールを置いたりすると、すぐに違和感を持つはず。その違和感に注目してほしいんです」

なるほど。上達するためには「違和感」が必要なのだ。この感覚は子供と大人でとらえ方が異なるという。どういうことなのか?

「子供に『片手打ちドリル』をさせると、みんな楽しんで取り組みます。空振りしてもバランスを崩してもケラケラ笑いながらトライしてくれます。

ですが、大人のゴルファーは自分が納得しないものは取り入れてくれません。本当に効果はあるのか? そういった視点では違和感は得られません。これって実は悪い癖なんです。成長は今の自分の中にはありません。であれば、新しい技術に挑戦するしかありません。

頭でっかちに考えず、とりあえずやってみる。そうすれば、誰だって違和感を持てるはずです。大人は下手な姿やミスショットを見られるのを嫌がります。そういったプライドの高さも大きいでしょうね」

積極的にミスをして自分の殻を破ろう

画像: 「練習場では芯を外して打ったり、ボール位置やスタンス幅を変えてみる。コースでは、わざとバンカーを狙ったり、曲がるボールを打ってみる。新たな発見(気づき)が得られるはずです」(北野)

「練習場では芯を外して打ったり、ボール位置やスタンス幅を変えてみる。コースでは、わざとバンカーを狙ったり、曲がるボールを打ってみる。新たな発見(気づき)が得られるはずです」(北野)

上達に不可欠な「違和感」はどうすれば、作り出せるのか?

「武術の世界に"守破離”という言葉があります。修行における成長過程を示したものですが、ゴルフの上達にも同じことが言えます。最初は先生の教えを『守る』段階。次が新たな先生の考えを聞き、自分の殻を『破る』段階。そして最後がこれまでの教えを『離れ』、新たなものを生み出すというものです。つまり成長には守る・破る・離れるという段階が必要なのです。このきっかけがまさに違和感なんです。

この違和感を得るのは決して難しくはありません。まずは普段の練習から。練習場では多くのアマチュアがナイスショットを打とうとします。これでは違和感は得られません。どうすればいいかというと、あえてミスショットしてほしいのです。

トウやヒールなど、芯を外して打ってみたり、スタンス幅を超狭くしたり、超広くしてみたり。スコア90前後のゴルファーなら、いつも通りのスタンス幅、ボール位置、グリップではミスショットになりにくい。だからこそ、大胆な変化を加えることが大事です。私自身、ナイスショットよりミスショットのほうが学びは多いと思っていますから」

普段とは違った状況を作り出し積極的にミスをする。それが自分の中にある壁(経験や知識)をぶち壊すことにつながるのだ。

「ラウンドなら自分の常識はすべて捨て去ることです。ティーショットでわざと林やバンカーを狙って打ってみてください。『えっ、それは非常識でしょ』と思うことをすればいいのです。スライスに悩んでいるなら思い切り右を向いて打ってみましょう。普通は右に曲げたくないから左を向きがちですが、右を向けばクラブは左に振り抜こうとしますからフックがかかって意外にフェアウェイに戻ってくることもあるんです。

ショートゲームでも『グリーンを手前から攻める』というセオリーがありますが、この意識が強いから大ショートしてしまうのです。それならアプローチもファーストパットもオーバーさせましょう。その結果、違和感が得られ、タッチや力感に新たな発見が生まれるのです」

自分の発想を変え、自分の世界を移行する。新たなチャレンジにおける違和感こそが、その先の成長につながるのだ。

※週刊ゴルフダイジェスト2023年1月3日号「上達したいなら『違和感』を持て」より

This article is a sponsored article by
''.