ゴルフキャディー協会の代表・嶋田光繁氏は、ゴルフスクールの運営やキャディ紹介、ゴルフイベントの企画などを行う㈱ジーウイングの代表取締役でもある。
プレーを支えるキャディの存在価値を高めたい
同社では、15年ほど前からキャディを直接雇用し、業務委託契約を結ぶ栃木県内の3コースへ派遣している。これまでキャディのリクルート活動や教育研修に携わってきた嶋田氏は、新たななり手がなく採用に苦労する一方、雇用しているキャディの年齢層はどんどん上がり、定年退職に至るという現状を見てきた。
「これは弊社だけの問題ではありません。どのコースも同じ問題を抱えるなかで自身の組織内だけで活動していても限界がある。社団法人という規模で、社会的にこの問題を共有させたいと思いました」(嶋田氏)。とはいえセルフプレーが主流のいま、協会を立ち上げる意味はあるのか。
「厚労省のデータでは、キャディを主とする就業者は2017年で3万人います。5年経っているので当時から間違いなく減っていますが、なくなる産業ではないはずです」と嶋田氏。そこで、協会員がキャディを中心に構成される同協会を設立。キャディの育成や環境改善、雇用促進などを目指すという。
「各方面の先生方を講師にセミナーを開催し、総合的なスキルアップにつなげます。また、SNS上に情報共有の場を設け、現状の問題点などをゴルフ場へフィードバックしていくことも考えています」
具体的な運用方法は、協会内で検定試験を行い、筆記と実技によるライセンスの交付を検討中。ライセンスを持つキャディがついた場合は、キャディフィーにプラスする形でプレーヤーに支払ってもらい、キャディ環境の改善などの費用に充当することを想定している。
キャディの雇用条件や職場環境を改善し、魅力的な職業にすることで人材を確保する。また、協会のお墨付きなら、追加費用を払ってでも頼みたいキャディ派ゴルファーも一定数期待できる。ウィンウィンの関係が築けそうだ。
「協会員であるキャディが就業することにより、お客様満足度も上がり、ゴルフ場経営においてもしっかりと結果を出していけるというところを㏚していきたい」という同協会の試みに期待がかかる。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年5月23日号より