常に最高のプレーが求められる
約200人の選手がPGAツアーの下部組織、コーンフェリーツアー(以下KFT)に在籍しています。レギュラーツアーへの昇格切符は、年間30枚。狭き門で夢を紡いでいるのです。
PGAツアーと下部ツアーのプロの大きな違いは、トロフィのためだけでなく、文字通り‟生計を立てる”ために戦っていること。今シーズン、日本から大西魁斗選手と桂川有人選手が厳しい戦いに挑んでいます。
南カリフォルニア大時代の卓越した戦績を引っ提げ、昨季国内ツアーに参戦した大西選手は、昨年のフジサンケイクラシックでプロ初勝利を収めました。そして、KFTのQスクール(予選会)で上位に入り再び渡米。シーズン半ばに差し掛かりポイントランクは75位。来季、PGAツアーで戦うためには何らかの突破口が必要です。
「コーンフェリーツアーに集中しなければ。夢を追いかけなければ」という彼がアメリカで戦うための課題と目標を語ってくれました。
「今年1月のPGAツアー、ソニーオープン・イン・ハワイで予選落ちして、自分の弱点が分かった気がします。こちらでは最高のプレーがつねに求められます。たくさんのバーディが必要です。シーズン序盤はショートゲームが悪かったこともあり、予選突破には多くの課題に取り組む必要があると痛感しました」
── KFTでの目標は?
「優勝争いをすること。一方で自分のゲームの質を高め続けることが必要だと学びました。日々の精進が大事です」
日本のトーナメントコースよりも、KFTのグリーンのほうがタフ
── 優勝経験のある日本ツアーとKFTの違いは?
「日本では4つあるパー5でバーディが計算できるので、それ以外はパーでいいと考えつつ4アンダー、5アンダーを目指せます」
「でも、KFTではパー5が3ホールしかないコースも多く、パー5も簡単にバーディを取らせてもらえない。ほかでもバーディを狙わなければなりません。3メートル以内をしっかり決める必要があります。KFTのグリーンのほうがタフだし、グリーン周りも難しいので簡単にボギーを打ってしまいます。違いはこの2点です」
課題をクリアするため、大西選手はPGAツアー3勝の丸山茂樹プロのアドバイスを仰いでいます。次回は、2人の特別な関係について掘り下げます。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年6月20日号より(ARRANGE/Mika Kawano PHOTO/Blue Sky Photos、本人提供)