今週開催の全英オープン(7/20~23)は、2014年以来のイングランド・ロイヤルリバプールが舞台。大会に向けて各所にバンカーやティーイングエリアを新設したが、何といってもトピックは終盤の17番に生まれた真新しいパー3。河口沿いに造られた砲台状のグリーンを狙うショットは140ヤード前後ながら相当な難度のようだ。また、2回目の全英挑戦となる比嘉一貴が、現地入り後に投入を決めたという全英対策ギアについて。2つの大会直前レポート。
画像: ロイヤルリバプールGC 17番パー3。ティーイングエリアからの見た目。グリーンの向こう側はアイリッシュ湾に流れるリバー・ディーの河口

ロイヤルリバプールGC 17番パー3。ティーイングエリアからの見た目。グリーンの向こう側はアイリッシュ湾に流れるリバー・ディーの河口

ティーイングエリアから上空の風を読みにくいホール

「とにかく、風と戦う象徴的なホール」。これが現地で撮影したベテランカメラマンANの第一声だ。「海岸に近い吹きっさらしのグリーンへ打っていくため、風次第で狙いや使用番手がまったく変わるはず。軽い打ち上げの砲台グリーンで、手前と左右、奥にも深いバンカー。ティーイングエリアがギャラリースタンドで囲まれているため、ティーで感じる風と上空の吹き方がまったく異なりそうで、そこも厄介です。おそらく選手はティーングエリアでホール上空の風のイメージがわかないのでは?」と感想を続けた。

この17番について蟬川泰果は、「月曜日は8番アイアンで打ちましたが、風次第でどう対処すればよいか、まだ攻略するイメージがつかめきれていません。グリーン手前はバンカーでノーチャンス。右も左も外すとたいへんです」。同じ日、平田憲聖が握った番手も8番アイアンだったが、翌火曜日のローリー・マキロイは46度のウェッジだった。

メジャー舞台のパー3で、最も有名で難しいホールといえば、マスターズ12番のパー3だろう。このロイヤルリバプールのパー3を、オーガスタナショナルの12番と比較してみると、ロケーションは「海沿いの吹きっさらし」と「森の中の開けた低地」と全く異なるものの、いくつか共通点が浮かんでくる。

まずは距離。オーガスタナショナルの12番は150ヤード前後、この17番は140ヤード(月曜日練習日のティーイングエリア設定)と距離が短いこと。そしてオーガスタ12番は横長、リバプール17番はやや縦長だが、どちらもグリーンが小さいこと。そして、ティーとグリーンの高低差は少ないものの、ティーからグリーンの奥行きが見えにくい点。

そして最大の共通点は、どちらも風が吹き抜けるロケーションで、ひとたび風が吹くと、距離感がまったくつかめなくなること。ティーの地点から上空の風を読み切れないことが、両パー3を途方もなく難しくする。

違うのは、グリーンを外した場合に待ち受けるハザードの種類。オーガスタの場合は手前に落ちると池につかまり、オーバーすると左下がりのバンカーから下り面に向かってバンカーショットを打つことになるが、この17番はグリーンの四方を深さが異なるバンカー群が囲んでいる。

怪しいのが左サイド手前のポットバンカーだ。ティーから見ると、グリーン面に食い込むように口をあけている。松山英樹もローリー・マキロイも、このバンカーからの練習を入念に繰り返していた。

画像: 17番左サイドのポットバンカーで練習を繰り返していたローリー・マキロイ。深さはマキロイの胸程度だが、あごの角度がすごい

17番左サイドのポットバンカーで練習を繰り返していたローリー・マキロイ。深さはマキロイの胸程度だが、あごの角度がすごい

このバンカーを避けてグリーンの正面から右サイド狙いでいくと、別のポットバンカーが待ち受ける。練習ラウンドで、蟬川とキャディがグリーン面からボールを転がしていたが、グリーン右手前エリアはバンカーへ流れる傾斜がきつく、わずかでもショートすればボールは止まらずバンカーへ流れ込む。バンカー自体は小さくても、ハザードとしての実効面積は何倍にもなるリンクス特有の仕掛けだ。

画像: 正面から右手前に広がる大きなバンカー。グリーンとの間には急なスロープがついていて、ボールはバンカーに転がり落ちる設計。写真は転がり具合いを確認する蟬川泰果と進藤大典キャディ

正面から右手前に広がる大きなバンカー。グリーンとの間には急なスロープがついていて、ボールはバンカーに転がり落ちる設計。写真は転がり具合いを確認する蟬川泰果と進藤大典キャディ

グリーン奥と海岸線の間には、ウェイストエリア的な砂地が広がっている。新17番パー3のホールネームは、リトルアイ(小さな目)。中継の見どころになりそうだ。

比嘉一貴の全英対策クラブ、新しい3W

画像: 「球が強くて上がりやすく飛距離が出る」と、比嘉一貴が全英対策で投入を決めた3W。B1と刻印される発表前のプロトモデルのようだ。ロフトは15度

「球が強くて上がりやすく飛距離が出る」と、比嘉一貴が全英対策で投入を決めた3W。B1と刻印される発表前のプロトモデルのようだ。ロフトは15度

現地に入り、実際にボールを打ったうえで、クラブセッティングに調整を加えたのが比嘉一貴だ。今季前半は海外を中心にプレーをしてきた比嘉だが、通常のクラブセッティングでは、1Wの次が5Wで3Wを入れていないが、ここで新しい3Wの投入を決めた。レギュラーの5Wよりも弾道が高く、強い球が打てて飛距離が稼げるという。ティーショットなのか、2打目で活用するのか使い方に注目だ。

ウェッジは替えないが、比嘉がバンカー対策として重用することを決めたのが55度ウェッジ。深くて小さなポットバンカーでは思い切り振ってボールの打ち出し角を上げることが必須だが、60度を開いて思い切り振ると、ダルマ落としの危険性が高まる。練習ラウンドを一緒に回った松山英樹が、52度を開いて打っていたのを見て、それを参考にした。

画像: ポットバンカーからの出球の高さを確認しつつ練習する松山英樹。開いて強く振り抜いてもダルマ落としにならないように52度ウェッジを使うことが多い。それを見て、比嘉一貴は55度ウェッジをポットバンカー対策での使用を決めた

ポットバンカーからの出球の高さを確認しつつ練習する松山英樹。開いて強く振り抜いてもダルマ落としにならないように52度ウェッジを使うことが多い。それを見て、比嘉一貴は55度ウェッジをポットバンカー対策での使用を決めた

比嘉の場合、52度はバッグに入れていないので、55度のフェースを開いて思い切り打ったところ、ダルマ落としにはならないと実感。60度はほかの場面で必要になるので抜くことはないが、ポットバンカーでは55度で打つケースが増えそうだ。

23年前、2000年の全英オープンで、23歳のタイガー・ウッズがセントアンドリュース オールドコースのポットバンカー群を警戒し、大会中の4日間、1度もバンカーへ入れずに優勝した逸話があるが、リンクスのポットバンカーはとにかく入れないことが第一。それでも、冒頭17番のバンカーのように周囲にボールを吸い込む傾斜が付いているケースがほとんど。バンカーに入れた場合は、比嘉のようにポットバンカー対策で、通常とは違う工夫やジャッジが必要になるのもリンクスならでは。

画像: バンカーのあごの高さと角度をチェックする比嘉。ここにボールが止まったらフォロースルーはまず取れない

バンカーのあごの高さと角度をチェックする比嘉。ここにボールが止まったらフォロースルーはまず取れない

日本時間、7月20日(木)の15時08分に星野陸也が日本人9選手のトップで初日1番をスタート。岩田寛が15時19分、金谷拓実が16時36分、蟬川泰果が17時25分、松山英樹が17時36分、安森一貴が18時31分、平田憲聖が19時47分、比嘉一貴が19時58分、中島啓太が22時26分(ゴーイングアウトとカミングインのリンクスでは、全員が1番スタート)。松山はブルックス・ケプカ、パトリック・カントレーと回る。(PHOTO/Tadashi Anezaki)

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