ツアープロが使用する最新モデル
ブリヂストンの最新ドライバーのなかで最も低スピンモデルの『BリミテッドB1LS』を紹介する。試打・計測用クラブ、および計測用ヘッドはロフト角9.0度、シャフトは同時発売の『B1ST』の純正シャフト『ベンタスBS6(S)』仕様。掲載数値はすべて実測値になる。
クラブ重量は305.5gとやや重いが、クラブ長さが45.13インチと長過ぎないので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが289万g・㎠に抑えられている。この数値であればドライバーのヘッドスピードが44m/s くらいのゴルファーが、タイミング良く振れる設計だろう。
ヘッドは全体に丸型形状で、時計の文字盤の4時方向の張り出し感があり、ツアーモデルながらも日本のつかまり系ドライバーのイメージが出ている。アドレスでは米国モデルのような強いオープンフェース(1.5度オープン)が特徴で、また、ヘッドのトウ側が高めなので実測値である59.5度よりも、ややアップライト感が出ている。
低スピン特化型のドライバー
実際に試打したところ、強いオープンフェースのおかげでスクエア感が強く、ヘッド後方が低いシャローバック形状なので、インパクト付近をアッパーブローにスウィングするイメージが出ている。試打クラブのシャフトは適度なしっかり感で安定感があるので、ヘッドスピードが43m/sくらいのゴルファーでも扱えそうだ。
そして、ヘッドはフェース面寄りにウェイトビスが配置されていることもあり、重心深度は34.6ミリと非常に浅く設定されている。その結果、フェース面のスイートスポット(SS)高さが32.4ミリと非常に低くなっている。一般的なドライバーよりもかなり低重心で、スピンが少なくなる有効打点エリアで当てやすく、低スピンになりやすいのが特徴だ。
一方、重心深度が非常に浅いウェイト配分により、ヘッドの慣性モーメントは非常に小さくなり、左右方向の慣性モーメントは4145g・㎠とフェースの芯を外れたときの寛容性を求めたヘッド設計ではないことがわかる。同時に重心距離も37.8ミリと短く、ヘッドのネック軸回りの慣性モーメントも6432g・㎠と非常に小さいので、結果、ダウンスウィングでヘッドが返りやすく、球をつかまえやい。またインパクト音はやや軽めに聞こえた。
9.0度のワンスペックヘッドでリアルロフト角が厳しく、かつ低重心モデルでバックスピンが少ないので、普段フック系弾道のゴルファーにとっては球がドロップしやすく、難しいクラブと感じるだろう。しかし、ヘッドスピードが48m/s くらいあり、かつ普段フェード系弾道でバックスピンが多めのゴルファーにとっては飛距離が伸びそうだ。
これが「B1LS」ドライバーの計測データだ!
フェースアングルは1.5度オープン。この強いオープンフェースでスクエアに構えやすい。また、体積は460ccが当たり前の時代に441ccとやや小ぶりで、ネック軸回り慣性モーメントも6432g・㎠と非常に小さいので操作性が高い。
リアルロフト角は9.6度で表示ロフト角の9度よりも寝ているが、それでも9.6度と小さいので球が上がらないゴルファーには厳しい設計。ワンモデルなので合う合わないがはっきりする。
またスイートスポット高さが32.4ミリで非常に低い。フェース側に配置されたウェイトビスのおかげで、浅重心と低重心が実現している。スイートスポットが非常に低いので有効打点距離が下がるため、中心で打っても低スピン弾道になりやすい。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年8月22・29日号「ヘッドデータは嘘つかない!」より