9月1日、世界ゴルフ殿堂ミュージアムが閉館した。といってもゴルフ殿堂がなくなるわけではない。USGAの拠点があり、アメリカゴルフの聖地と言われるノースカロライナ州のパインハーストリゾート内に世界ゴルフ殿堂(ワールド ゴルフ オブ フェイム)自体を移転する。
今から半世紀ほど前の1974年、PGA・オブ・アメリカが主体となって、ゴルフ界に貢献した人物を称えるために創設したのが世界ゴルフ殿堂のスタートだった。もともとの本拠地はノースカロライナ州のパインハーストにあったが、1998年にフロリダ州セントオーガスティンへ移転。ホテルやレストラン、ショップ、2つのゴルフ場を擁する「ワールドゴルフビレッジ」内に移り、博物館やシアター、ギフトショップなども構え、ピーク時には年間28万人もの来場者があったという。
しかし、コロナ禍により来場者数が減り、2020年には4万人まで減少。2021年と2022年も6万人前後にとどまり、採算が取れなくなったことから、元の場所へ戻ることになった。そもそもの話だが、ゴルフ殿堂は個人の栄誉を称えるためのものであって、入場料や物品販売による売上げで採算を取ろうとしていたこと自体に無理があったのかもしれない。そういった意味では、USGAとパートナーシップを強め、USGA本部のあるパインハーストへ戻るのは自然なこと。
「ゴルフの過去と、現在、未来という面で、パインハーストより最適な地はない。USGAはゴルフというゲームの伝統を守るため、どこよりも努力している」とUSGAのマイク・ワンCEO。来年と2029年の全米オープンは、パインハーストで開催される。来年の開催前には30年ぶりに新コース、パインハースト#10(トム・ドーク設計)が開場予定でもある。全米オープンでは殿堂入り選手などのセレモニーも開催される模様だ。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年9月26日号より