女子プロの多くを指導する斎藤大介トレーナーは今のゴルファーは視覚にとらわれすぎていると指摘する。そこで提案するのが「目をつぶる」だ。視覚を遮断することでさまざまなメリットが得られるという。さっそく教えてもらおう。
画像: 「目をつぶる」トレーニング法がゴルフにも役立つという

「目をつぶる」トレーニング法がゴルフにも役立つという

渋野日向子の専属トレーナーで、女子プロの多くを指導する斎藤大介トレーナーは鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師の国家資格を持っている。

そんな斎藤トレーナーによると、

「あん摩マッサージ師は盲目の方が多いんです。目が見えないからこそ、優れたマッサージができるのです。人間の能力はすべてが集中して機能するものではありません。ですが、何かを閉ざすことで1点に集中することはできます。つまり視覚を遮断することで手の感覚が研ぎ澄まされるのです。だから目が見えなくてもマッサージが上手いのです。視覚情報は全感覚(視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚)の8割を占めると言われます。それだけ人間が受け取る情報量が多いのです。その視覚を遮ることで得られるものがたくさんあります。それをゴルファーにも知ってほしいんです」

「平衡感覚が鍛えられる効果が期待できます」(斎藤トレーナー)

斎藤トレーナーは実際のトレーニングでも「目をつぶるメニュー」を取り入れているという。では、目をつぶるだけでどんな効果が得られるのだろうか?

「最もイメージしやすいのは平衡感覚でしょう。目をつぶることで平衡感覚は大きく鈍ります。ですから平衡感覚が鍛えられる効果が期待できます。それとリンクしたものが重心位置です。普段の生活では重心を感じることは少ないですが、目をつぶることで自分の重心がどこにあるのか、体感することができます。

そして一番重要なのが、関節や筋肉の細かい動きがわかることです。つまり体の内側に意識が向くわけです。その結果、今まで得られなかった新鮮な感覚に気付けるのです。これは非常に大切なことで、ゴルフの練習やトレーニングでも体の細かい部分まで意識が行き届くようになります。

普段、何となくやっていた素振りだって目をつぶるだけで、さまざまな気付きが得られます。それだけ視覚に頼っていた部分が多いということですが、逆に言えば、目をつぶることを利用すれば、もっと効率のいい練習やトレーニングが可能になるのです」

斎藤トレーナーは「目をつぶる」効果をアマチュアにも体感してほしいというが、実際にどんなことをすればいいのか?

斎藤トレーナーに目をつぶったトレーニングを教えてもらおう。

目をつぶるトレーニング実践法
ステップ1:前後・左右でバランス力を確認

「ステップ1はキープ系の『閉眼片足立ち』です。両足や片足で姿勢をキープします。軸足がズレたり、体がよろけないように自分の重心を感じながら行います。目安は30秒キープ。そこを目指しましょう」(斎藤トレーナー)

画像: ステップ1-① 「T字バランス」で前後の感覚をチェック

ステップ1-① 「T字バランス」で前後の感覚をチェック

ステップ1-① 「T字バランス」で前後の感覚をチェック

ワンフットでバランスを取りながら手足を前後に伸ばしていく。

「閉眼の場合、前後のバランスが最も簡単です。手足を伸ばした状態(T字)でどれだけ姿勢をキープできるかトライしてみてください」(斎藤氏)

画像: ステップ1-② 「片足チクタク」で左右の感覚をチェック

ステップ1-② 「片足チクタク」で左右の感覚をチェック

ステップ1-② 「片足チクタク」で左右の感覚をチェック

ワンフットのアドレス姿勢から両腕を時計の針のように左右にチクタクさせる。

5時と7時で姿勢をキープさせまよう。

「閉眼の場合、左右のバランスのほうが難しく感じるはずです。4時と6時にもトライしてみてください」(斎藤氏)

目をつぶるトレーニング実践法
ステップ2:捻転やステップを加えると難度がアップ

「ステップ2は左右にステップしたり、捻転を加えていきます。難度が上がることで筋肉や関節の動きが意識できるようになります。普段から目をつぶるトレーニングを実践しておくと体と感覚のズレを自分で補正できるようになります。ゴルフは体と感覚がズレやすい。だからこそ、この補正力が大きな武器になるんです」(斎藤トレーナー)

画像: ステップ2-①踏み込みサイドステップ

ステップ2-①踏み込みサイドステップ

ステップ2-①踏み込みサイドステップ

胸の前で両腕をクロスさせた姿勢でスタート。

左右にステップするときに目をつぶり、さらに踏み込む。

「体重移動できているか? どこに力が入るか? を感じ取りましょう」(斎藤トレーナー)

画像: ステップ2-②踏み込みサイドステップつま先タッチ

ステップ2-②踏み込みサイドステップつま先タッチ

ステップ2-②踏み込みサイドステップつま先タッチ

①の「踏み込みサイドステップ」からさらに反対側の手でつま先をタッチする。

体と感覚にズレがあるとつま先が触れないという。

閉眼の場合、動作が複雑になるほど、難度が上がるのだ。

画像: ステップ2-③ワンフットつま先タッチ

ステップ2-③ワンフットつま先タッチ

ステップ2-③ワンフットつま先タッチ

目をつぶった直立姿勢からワンフットになり、左のつま先を右手で、右のつま先を左手でタッチ。

簡単そうに見えるが相当難しい。

よろけずできれば、バランス力はかなり高い。

画像: ステップ2-④アドレス姿勢でトップ&インパクト

ステップ2-④アドレス姿勢でトップ&インパクト

ステップ2-④アドレス姿勢でトップ&インパクト

足を前後に開き、アドレス姿勢を取る(後ろ足はつま先立ち)。

左足が前のときはトップ、右足が前のときはフィニッシュのイメージで胸を開きながら片手を真上に伸ばす。

画像: ステップ2-⑤ワンフット姿勢からテークバック&フォロー

ステップ2-⑤ワンフット姿勢からテークバック&フォロー

ステップ2-⑤ワンフット姿勢からテークバック&フォロー

右ワンフットでテークバック、左ワンフットでフォローのイメージで体をしっかり捻転させる。

これが実践トレーニング法の難度マックスだ。

PHOTO/Akira Kato、Tadashi Anezaki 

MODEL /Mai Inaji (GOLULU)

※週刊ゴルフダイジェスト2023年10月3日号「『目をつぶる』その驚くべき効果」より

This article is a sponsored article by
''.