"ごはん抜き"は疲労とパフォーマンス低下をまねく!?
アマチュアゴルファーのなかにも「白ご飯は食べない」もしくは「控えている」という人は少なくないだろう。
しかし「白米の主な栄養素は糖質で、筋肉や脳の大切なエネルギー源です」と、柴田先生。
取り過ぎてしまえば、太ることにつながるが、
「まったく取らないとか、ほとんど取らないのは危険です」
特にゴルフは競技時間が長いうえ、マネジメントなどで頭も使う。
糖質オフも、やりすぎると
「疲労につながり、望むようなパフォーマンスも期待できません」
それどころか
「体はエネルギーがなくなると、自分の筋肉をエネルギー源にします。すると筋肉が減ってしまうんです。よく、エネルギーがなくなると脂肪が燃えると言われダイエットにいいとなるのですが、脂肪だけではなく、タンパク質までエネルギー源にしてしまうんです」
大切な筋肉が減ってしまっては大変だ。
スタミナ不足にならないためにも"ご飯"は必要
そもそも、糖質は、タンパク質、脂質と共に「三大栄養素」のひとつであり、人間が生きていくうえで欠かすことができないもの。
最近「PFCバランス」という言葉を聞いたことがある人もいるかもしれないが
「PFCバランスとは、タンパク質(Protein)、脂質(Fat)、炭水化物(Carbohydrate)の三大栄養素の頭文字を取ったもの。この3つのバランスが大事なんです」
糖質の摂取量をなるべく少なくして簡単に痩せるというのが昨今のトレンドだが、大事なのは「取り過ぎないこと」。
そもそも、手軽に食べられる食事は、丼ものだったり麺だったりパンだったりと糖質が多い。それらを抜けば、手っ取り早く摂取カロリーが減り、痩せる。また
「糖質は水分を蓄える性質も持っています。ですから、それを抜くことによって水分も抜けるので、体重は落ちやすいと言えると思います」
しかし、糖質オフで、いったん痩せたけれど、その後リバウンドしてしまったという声を聞いたことはないだろうか。
リバウンドをすると、もともとあった体重や体脂肪より増えてしまう確率も高く、ゴルフのパフォーマンスどころか健康にも影響してしまうと考えられる。
脂肪を燃やそうとして、筋肉まで燃やしてしまい、結果的に筋力低下につながってしまうようでは、スタミナが求められるゴルファーにとっては大問題。
「ゴルフは競技時間が長いですよね。途中でスタミナ不足にならないためにも、糖質をエネルギー源として取ることは大切なんです」
昼食はおにぎり、バナナ、みたらし団子、大福がおすすめ
「目安ですが、アスリートは試合の前日から、体重1㎏あたり7~10g以上の糖質を取りましょう、と言われます。さらに、試合の1~4時間前からだと、体重1㎏あたり1~4g以上取るのが目安とされます。この時間は、ご飯やうどんなどの固形物で取ります。そして、さらに試合時間が近づくと、糖質源をバナナ、ゼリー飲料、スポーツドリンクといったものに変えていきます」
つまり、徐々に消化しやすいものに変えていくということだ。
白米はタンパク質や脂質が多い食品と比べると消化がいいので、ラウンド当日の朝食として取るのもいいし、競技中の中食として摂取するのもいい。
「中食としては、おにぎり、バナナ、みたらし団子、大福など、糖質が多く、脂質の少ないものがおすすめです」
という。確かに、プロがラウンド中におにぎりやバナナを食べている姿はたびたび見られる。
「“食べた感”が欲しいという人はおにぎりなどの固形物、逆に試合中はそれが嫌だという人もいて、その場合はゼリー飲料にするケースが多いです。夏の暑いときなどは特に好まれますね」
ラウンド当日は玄米より白米がいい!?
では、ラウンド前や中食に、おにぎりを食べるとして、具はどうするか?
「たとえば、ツナマヨだと脂質が多すぎて消化が心配ですね。となると、こんぶや梅干しとか……具のない塩おにぎりもいいと思いますよ」
パッケージには成分表が出ているので、炭水化物(糖質)と脂質の項目をチェックしてみるのもいい。
玄米おにぎりはどうか?
「白米と玄米だと栄養が異なります。玄米はビタミンB群が含まれ、食物繊維も含まれていて栄養価は白米より高いといえます。ただ、消化は白米より遅いです」
早くエネルギーが欲しいという人には白米がベターで、実際
「アスリートでも普段は玄米食だけど、試合の前日からは白米に切り替えるという人もいます」
栄養価は玄米が上だが、精製された白米は消化が早い、とそれぞれのメリットがある。
「雑穀米は種類にもよりますが、繊維が豊富。近年、穀物から取る繊維が減っているので、ときどき雑穀米に切り替えたり、麦ごはんにしたりするのはいいですね。もちろん、新米の季節のあのピカピカご飯のおいしさも格別です」
夜食のご飯は太りやすいし、睡眠の質が落ちやすい
夜、寝ている間も基礎代謝でエネルギーは減っている。だから
「エネルギーチャージ、体を起こすといった意味合いでも朝食は大事。ゴルファーだと、コースまで車の運転もありますよね。糖質不足で集中力が欠けていたら危険ですよね」
さらに、ランチタイムがあるなら、そこでさらに補給、ランチなしのスループレーなら中食としておにぎりなどを食べるのが、パフォーマンスを維持するためのゴルファースタイル。
ただし、寝る直前の食事はできるだけ避けよう。
もちろん、太りやすいというのもあるが
「寝る前に糖質を取り過ぎると、睡眠の質に影響が出るとされています。血糖が上がっているので、深く眠れない可能性も考えられます」
とのこと。ちなみに「寝る前」の定義の目安としては2~3時間程度。たとえば、残業で帰宅と夕食が遅くなりそうな日なら「分食してみてはどうでしょう」。
一気に食事を取るのではなく、会社でおにぎりなどを食べ、帰宅して肉や野菜などのおかずを食べる、といった具合だ。これで、寝る前の食べすぎは防げる。
太ったり、睡眠の質が落ちたりを防ぐ手助けになるということ。睡眠の質の低下は、ゴルフだけでなく仕事のパフォーマンスダウンにもつながりかねないので、ゴルファーならずとも要チェック。“分食”は、キーワードとしてぜひ覚えよう。
そして結論。白ご飯=太る、ではないし、白ご飯=パフォーマンが落ちる、というわけではない。ただ「食べ過ぎると太る」。
「プレー前、お腹がパンパンになるほど食べてしまうとパフォーマンスが落ちる(かもしれない)」
ということ。
食べ方と量に気を付ければ、ピカピカの白ご飯を食べるのも秋の楽しみだ。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年11月28日号「ゴルファーのための白ご飯講座」より