現地時間の1月18~21日に開催される米LPGAの2024年シーズン開幕戦「ヒルトン・グランド・バケーションズトーナメント・オブ・チャンピオンズ」。出場は過去2年間の優勝者のみというエリートフィールドに、昨年の「TOTOジャパンクラシック」で優勝した稲見萌寧が参戦。米国挑戦を後押しした「チーム稲見」の一人・柳橋章徳コーチに、コースの印象と実質的な米LPGAのデビュー戦を前にした“稲見のいま”を聞いた。
画像: 練習日の稲見萌寧。後ろでポーズをとるのが今回キャディをする須藤大和コーチ。傘を手にするのが柳橋章徳コーチ(提供/柳橋コーチ)

練習日の稲見萌寧。後ろでポーズをとるのが今回キャディをする須藤大和コーチ。傘を手にするのが柳橋章徳コーチ(提供/柳橋コーチ)

レークノナG&CCは15番ホールからが勝負

レークノナG&CCは、フェアウェイは広いし、ラフがそんなに長くはなく、アップダウンもほとんどないです。ただ、地面が日本よりも硬いことと、“レーク”というコース名からわかるように、池が絡むホールが多いです。見通しはかなり良く、ハザードとなる林もあまりないので、ホール内はウェストエリアか、池か、ラフか、フェアウェイ、といった感じです。天候はそれほど良くなかったですが、風はあまり吹かない印象です。そんななかで、セカンドショットを5Iや6Iで打つことが多かったので、日本よりコースはまあまあ長いですね。まだ2~3日しかいませんが、風が吹いたらやっかいなのはインコースの上がり2ホールくらい。池からの風が“モロに”受けるので。

コースの勝負どころは、インコースの15番くらいから。15番は左サイドに池があるので左がアウトなのは当然なんですが、セカンドショットが打ちづらいことと、グリーン周りの傾斜がものすごいんです。グリーン状態はかなり良いので、硬くて速い。もっと遅くてグリーン状態もそんなに良くないのかなって思って渡米したんですが、相当仕上がってます。フェアウェイはかなり短く刈り込んであって、地面が硬いんで、なかなかハードなセッティング。とはいえ、萌寧は「まったく気にならない」と言っていましたけど(笑)。ファーストカットはあるのですが、日本のグリーン直前にある花道みたいな感じです。

フェアウェイでボールは本当に沈まなくて、芝はペラペラなんで、日本のサブグリーンから打っているみたいな印象です。でも、萌寧はボールコンタクトがうまい選手なので「ものすごく打ちやすい」と言っていました。いまのところグリーン周りのラフはそんなに深くないので、芝の影響も感じていません。ただ、雨か湿気なのかわかりませんが、地面が少しウェットなんで、ラフに入ったらかなりスピン量が落ちてしまう。球を曲げたいと思っても曲がらないので、出球の管理が勝負を分けると思います。

画像: 豪華なクラブハウスに出迎えられた(提供/柳橋コーチ)

豪華なクラブハウスに出迎えられた(提供/柳橋コーチ)

比較的、右ドッグレッグが多いのでフェードが持ち球の萌寧は打ちやすいコースだと思います。ただ、先ほども説明したとおり、15番くらいから左がNGなので、左から曲げてピンを狙うというのはシビア。ちょっと右に逃げたくなるけど、右にこぼしたら、ファーストカットが刈り込まれている分、傾斜でラフまで行ってしまう。だからセカンドショットの精度や、どこに打つかなどのマネジメントもかなり大事。アメリカのコースはグリーンの傾斜がものすごくあるなと感じたので、ピンをどこに切るかによりますが、これだけ速いグリーンだとバーディパットを打つ“置き所”もかなり重要になってきますね。

グリーンは、軟らかい表面の下にかなり硬い層があるイメージです。表面が軟らかいので、止まりますが、地面がウェットなので、“トントンキュッ”より“トントンスススッ”と最後は転がります。日本みたいにグリーンに着弾したら「パーン」と弾かれて奥に行く感じはなく、かといって戻りすぎることもない。グリーンの芝質は、バミューダとベントが混ざっているって聞いていますが、ベントが勝っている転がりなので、日本のコースに近いです。しかし、傾斜が入り組んでいるのでラインが読みにくい。単純なラインはほとんどなく、スネークラインみたいな感じで打たなきゃいけないところが多そうです。そういったところを耐えれなくて、集中力が切れたらダボとか普通にあるコースだと思います。この影響からか、この数日間で感じたのは、日本と米国の選手では、グリーン上の意識が違います。米国はかなり高くて、ほぼ全員が練習器具を使ってのチェックに余念がないんです。リディア・コーはカップを中心に四方から1mを入れる練習ばかりしていました。今回はパッティングの橋本真和コーチ、小暮広海コーチも来ているので、その読みの確認だけは一生懸命、重点的にやってます。

画像: 開幕戦は“チーム稲見”のメンバー全員で稲見を支える(提供/柳橋コーチ)

開幕戦は“チーム稲見”のメンバー全員で稲見を支える(提供/柳橋コーチ)

「『Qi10 LS』で開幕を迎えそうです」(柳橋コーチ)

パターを含め、基本的には日本から持っていたクラブを使用する予定です。ドライバーは『ステルス2 プラス』と『Qi10 LS』の2本を持ってきましたが、慣性モーメントが大きい『Qi10 LS』だと、フェードで打ちたいときにあまり曲がらなかった。米テーラーメイド社のツアーレップの方がかなり気にかけてくれて、相談してウェイトを調整したら、バシバシフェードが出るようになったので、初戦は『Qi10 LS』でいくんじゃないかなと思います。ロフトは10.5度で、シャフトは日本で使っていた『ジ・アッタスV2』です。フェアウェイは先ほど記載したとおりですが、ラフもそこまで長くないのでそんなに沈む感じでもないし、ウェッジもバウンス違いを含め3モデル持ってきているんですが、結局、日本と同じまま開幕を迎えそうです。

画像: 練習場で調整をする稲見と柳橋コーチ。キャディの須藤コーチが見守る(提供/柳橋コーチ)

練習場で調整をする稲見と柳橋コーチ。キャディの須藤コーチが見守る(提供/柳橋コーチ)

飛行機による移動の疲れはこちらに来た当初はありましたが、いまはそんなに悪くないと思います。ショットの精度について、本人はいつもどおり「ん~?」とか言ってますが、チームメンバーが客観的に見ても比較的しっかりイケてる感じがあるので大丈夫だと思います! 今週はいろいろな選手を間近で見ていますが、萌寧はやっぱりうまい(笑)。正直、全然引け目はないですね。初日の組み合わせがすごく良くて、前の組にネリー・コルダがいて、萌寧はダニエル・カンと、後の組がリディア・コーなんで、東京オリンピックの金・銀・銅の順にしたんではないかと思ってます(笑)。状態も悪くないし、本人は楽しみながらこの場にいるので、今週の萌寧は結構面白いと思いますよ!

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