飛ぶだけじゃない。誰が打っても「やさしく飛ばせる」のがゼクシオだ
飛び系アイアンをリードしてきた『ゼクシオアイアン』が13代目に進化した。ゼクシオに追いつけ、追い越せをテーマに、ライバルメーカーが凌ぎを削ってきた結果、飛び系アイアンは目覚ましい進化を遂げたと言っていいだろう。その影響は米国のメーカーにも伝播し、最近の海外ブランドのアイアンにもストロングロフトが目立つようになっている。
飛び系アイアンの進化を簡単に言ってしまえば、「飛び」と「やさしさ」の両立である。通常のアイアンよりも1番手飛ばすことができ、1番手高い球が打てる。さらに言えば、通常のアイアンだとミスショットなるインパクトのブレをヘッドでカバーすることも進化のテーマに加えられた。
その結果、飛距離アップに直結するロフトを立たせ、ロフトを立てても球が上がるよう低重心化が図られた。スイートエリアを拡大するために、キャビティ部の最適化が考えられるようになった。
『ゼクシオアイアン』は3代目で一度「完成の域に達した」とクラブ設計家の松尾好員氏は言う。それを裏付けるのが4代目からヘッド内部にタングステンを埋め込んだところにある。ヘッドとキャビティの進化では、これ以上の低重心化とスイートエリアの拡大には限界がある。さらに進化させるためには、異素材をヘッドに組み込む必要があった。
ゼクシオは初代から13代目までチタンフェースを採用している。比重が軽く、反発性能も期待できるチタンフェースの外周を比重の重いステンレスのボディで囲むことで慣性モーメントを大きくすることを一貫してやってきた。
しかし、球を上げ、スイートエリアを拡大させるには、重心を低くするだけでなく、同時に深くする必要があった。3代目までと4代目以降のヘッドを比べると、明らかに深重心化を狙っていることがわかる。
ゼクシオアイアンの7番のロフトは「32度」からスタートし、2代目で「31度」、3代目で「30度」になった。モデルチェンジのたびに1度ずつストロング化していったが、9代目まで「30度」が続いた。そして、10代目で「30度の壁」をクリアすると、「29度」は一代限りで、11代目からロフトをさらに1度立たせた「28度」になった。
「28度」は今回で3代目になる。ロフト28度でも必要十分な球の高さが得られ、ゼクシオ本来のやさしさを達成できているか? が進化の度合いをはかるポイントになるだろう。
13代目となった『ゼクシオアイアン』は、シリーズ初の「中空構造」を採用している。中空アイアンは、近年飛躍的な進化を遂げ各クラブメーカーが採用しているテクノロジーだが、ゼクシオも中空構造を採用したことで、「28度の壁」をクリアし、次なる「27度」への活路を見出すことになるのだろうか。