「安心のつかまり」、「飛距離」、「高弾道」の3点セット
ここからは実測データをもとに凄腕シングルでもある松尾氏にクラブ分析と試打レポートをしてもらいます。
クラブ長さはやや長いがクラブ重量が軽いことで振りやすい。重心距離がとても長い(基準値:37.5〜39.0 mm)。比例してネック軸回り慣性モーメントも大きくなっている(基準値:5500〜5999 g・㎠)。
クラブ長さは37.25インチ(実測値)と「やや長い」ですが、クラブ重量は367.1グラムと「非常に軽い」です。これらの数値と比例してスウィングウェイトも実測でC9.6と「小さく」なっています。
そしてクラブの振りやすさの目安となるクラブ慣性モーメントは262万g・㎠と「小さい」です(基準値:263万〜266万g・㎠)。計測数値のみで推察するとドライバーのヘッドスピードが39㎧くらいのゴルファーにとって、振りやすくなっています。
ヘッドを見てみると「非常に大きい」ので、特にティーアップしたときに打ちやすく安心感があります。そして、「広いソール」と「幅の厚いトップライン」も相まって、「ユーティリティのようなイメージ」も出ています。

ヘッドの大きさとグースネックで安心感を与えてくれる
実際に試打したところクラブは7番で標準カーボンシャフトのSが装着されていました。軟らかめの設定でヘッドスピードが37〜38㎧くらいのゴルファーでも十分扱えそうです。
ロフト角が28度と「ストロングロフト」のアイアンですが、他の一般的なモデルと比べて、軽量モデルであること、また純正のカーボンシャフトのおかげで「球が上がりやすい」です。また、フェースの高さが高いのでロフトがあるように見えるのも、球が上がりやすく思える要因のひとつかもしれません。
ヘッドの左右の慣性モーメントが前作よりも大きくなっており、ミスショットに対する寛容性も改善されています。フェースの長さが「非常に長く」、それに比例して重心距離も「非常に長い」ので、ヘッドのネック軸回りの慣性モーメントが「大きく」なっています。よってダウンスウィングでのヘッドの返りが遅くなります。しかし、元々グースネックの度合いが強い設計なので、「つかまりやすいヘッド」にプラス「返りが遅いヘッド」によって、「適度なつかまり」でボールを飛ばせるアイアンと言えるでしょう。
※週刊ゴルフダイジェスト 2024年2月20日号「ヘッドデータは嘘つかない!」より