「長谷部祐とギア問答」は、国内外大手3メーカーで、誰もが知る有名クラブの企画開発を20年超やってきたスペシャリスト長谷部祐氏に、クラブに関する疑問を投げかけ、今何が起こっているのか? その真相を根掘り葉掘り聞き出すものです。クラブ開発の裏側では、こんなことが考えられているんです……。

アイアンのストロングロフト化は「ゼクシオ」から始まった?

GD 長谷部さんがやっていた時って、飛び系だと7番で何度ぐらいの設計だったんですか?

長谷部 30度は立っているほうでしたよね。29度ってあったかな? 30度でも立っているほうで、元々は7番で34度だったりしたんですよ。

GD PWの46度ってけっこう歴史あるわけで、その前ってたぶん50度だった。PW46度、7番34度。それが、7番はどんどんストロング化していきました。結局、PWも46度に留まっていられなくなり、43度ぐらいになってしまいました。

長谷部 7番アイアンが飛ぶ方向に引っ張られたせいで、その上の番手のロフトが詰まってしまいました。2度ピッチとか……。そうなると、番手間の飛距離の階段は作りにくくなるし、ショートゲームがあるから、下の番手のほうは逆にスカスカになってしまいます。

GD アイアンのストロングロフトは、ゼクシオが起源じゃないか? と思うんですよ。初代ゼクシオの7番のロフトは32度、PWが45度でした。それが最新の13代目では7番28度、PW42度になっています。7番が30度になったのは3代目で、30度は9代目まで続きます。10代目で29度になると、29度はその1代で、その後の11~13代は28度で止まっています。1度ストロング化に30度から29度に行くまでに14年間かかっています。「30度の壁」がゼクシオにはあったのかなって、思えてしまうのですが……。

長谷部 その間にボールも進化しているし、まだまだフェースの構造とか、反発性能を上げれば、30度でも飛ぶ時代だったんじゃないですか。

GD 32度でスタートして、3代目を30度にしてみました。だけど、求めている弾道はこれじゃない。求めているのはもっと高い球。求める弾道に到達するまでに14年間かかったように見えてきます。

長谷部 じわじわじとやっていたんでしょうね。

GD 9代目で30度に納得がいったから、次は29度にしてみよう。29度にしてみたら、30度とそんなに変わらないじゃん。そればら28度にしてみる。そうしたら、30度と同じように、今度は「28度の壁」に突き当たっている。

長谷部 それはあり得る。メーカーは常に前作よりもどうしたいっていうのを考えています。今のアイアンを買い替えさせるためには、今の出力、パワーで飛ぶようにしてあげないといけないというのが最大の使命だから、ゼクシオの場合は今のユーザーが買い替えるためにどうするか。新しいユーザーを引っ張ってくるというよりは、今までのお客さんにたいしてメリットを出したということでしょう。ヘッドスピードが1m/s、2m/s下がってしまった人たちが、7番で150ヤード飛ばすためには、やっぱりこのロフトのストロング化が必要というのが結論です。

GD ゼクシオはキャビティ部の掘り方、えぐり方をすごくやって余剰重量を出しているなと……。13代目ではゼクシオも部分的ではありますが、中空構造を取り入れてきました。

長谷部 もうこれ以上ヘッドを大きくするのは難しいし、下削りももうやり尽くしたから、いよいよ次は、中空だなってのはあるでしょうね。

画像: 「ゼクシオ13」は小さいながらも中空構造を採用。今後、ゼクシオアイアンも中空構造にシフトする可能性があると長谷部氏は予想する

「ゼクシオ13」は小さいながらも中空構造を採用。今後、ゼクシオアイアンも中空構造にシフトする可能性があると長谷部氏は予想する

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