主催するオーガスタナショナルGCが発行したメディアガイドによれば、「右バンカーを利かせるためティーインググラウンドを左後ろへ10ヤードほど下げた」というが、バンカーを避けようとすると左の林につかまることになりそう。昨年のマスターズでは平均4.637ストロークともっとも簡単なホールとなっていたために、手を加えたということだろう。
ただ、オーガスタナショナルの拡張・改造はコース内だけにとどまらない。先頃、オーガスタ市から35万ドル(約5000万円)で購入した公園にはテニスコートなどがあるが、11番ティーインググラウンド左手の林の奥にあり、「敷地内への出入り口に利用するものと理解している」と地元の税務署長がゴルフマガジン誌に語っている。もともとこの公園はオーガスタ市が同コースに売却を決めた12の公園・施設の1つだが、土地の評価額はわずか5万8300ドル。高額で購入した理由は、これに先立ち、もう1つの公園のリース契約に対する地元の反発が理由だったのかもしれない。クラブハウスからちょっと離れているが、マスターズで働く人間のための駐車場として、サバンナ川沿いにあるアイゼンハワー公園を3年契約・年間1万ドルで今春に借り受けたのだが、これに対して「子供達の野球をする場所がなくなる」「地元住民のことを考えていない」という声も多く、ちょっとした問題になっていたのだ。
ただ3年契約ということで、あるいは契約期間満了後に駐車場を確保する計画があるのかもしれない。米ゴルフダイジェスト誌では、ビリー・ペインオーガスタナショナルGC前会長の「数年ごとに私たちは20年計画を見直している」という言葉を引用しながら、2033年には、さらに18ホールのコースが新増設されると予想している。
今回の公園買収は、さらなる大規模拡張の第一歩なのかもしれない?
※週刊ゴルフダイジェスト 2024年4月9日号 「バック9」より
PHOTO/姉崎正