PGAツアーのアジア圏マーケティングディレクター、コーリー・ヨシムラさんがチョイスした記事や選手たちのストーリーをご紹介。今回は、プロゴルファーのキャリアのピーク、ジェイソン・デイの光と影。

ジュニア時代からの親友でライバルのジョーダン・スピースとジャスティン・トーマス。20代で世界ランク1位に上り詰め、ともにほぼ5年のスパンでスピース( 13年〜17年)はメジャー3勝を含む13勝、トーマス( 15年〜20年)もメジャー2勝、通算13勝を挙げました。ただ、現在はやや低調でマスターズ終了時の世界ランクはスピース20位、トーマスは30位。

画像: 2023年のAT&Tバイロン・ネルソンで約5年ぶりのツアー通算13勝目を飾ったジェイソン・デイ。18番グリーンで見守っていた家族と喜びを分かち合い、「久しぶりの優勝で、この気持ちをどうやって伝えたらいいのか分からないけどうれしい」と話した

2023年のAT&Tバイロン・ネルソンで約5年ぶりのツアー通算13勝目を飾ったジェイソン・デイ。18番グリーンで見守っていた家族と喜びを分かち合い、「久しぶりの優勝で、この気持ちをどうやって伝えたらいいのか分からないけどうれしい」と話した

ジェイソン・デイの軌跡も2人と似ていて、デイも14年から18年までの5年間で衝撃的なプレーを見せつけました。15年にはスピースを破り全米プロでメジャーを制覇し、5年のスパンで11勝を量産したのです。

16年から17年にかけ1年近く世界ランク1位に君臨したとき彼は26歳。スピースやトーマス同様、20代でゴルフ界の頂点に立ちました。15年にはシーズン5勝、16年には今でいうシグネチャーイベントで3勝(アーノルド・パーマー招待、WGCデルマッチプレー選手権、ザ・プレーヤーズ選手権)、17年にはナイキと破格な契約を交わしました。

しかし、5年後には世界ランク178位へ陥落。ケガもありゴルフ人生で最大のストレスを抱え「やめるべきか?」と自問自答したそうです。しかし、妻エリーさんが「諦めないで。もっと良くなるはずよ」と背中を押してくれました。

22年シーズンではデビュー以来最低の100万ドル(当時のレートで約1億3000万円)しか稼げませんでしたが、「自分自身を成熟させること」をテーマに戦った23年のAT&Tバイロン・ネルソンで5年ぶりの復活優勝を遂げたのです。

現在(5月16日時点)の世界ランクはスピース(24位)とトーマス(31位)より上位の19位。

「ゴルフは楽しい。もちろん勝つことは素晴らしいけれど、好調なときも不調なときも一番重要なのは家族(5人の子供がいる)の存在」

画像: 今年は優勝がないものの、トップ10内フィニッシュが4度。先日のウェルズファーゴ選手権では4位タイに入っている

今年は優勝がないものの、トップ10内フィニッシュが4度。先日のウェルズファーゴ選手権では4位タイに入っている

世界ランクを転がり落ちた、ここ5年を振り返り、デイは自分にこうアドバイスしました。

「忍耐強く常に成長する努力をする。より良くなるように努めなさい」

36歳の彼は再び上昇気流に乗り、第2次ピークを目指しています。スランプを経て歩んだ再起への旅路は「苦しかったけれど自分の場所に戻るためのプロセス」。今一度、彼に注目してみてください。

※週刊ゴルフダイジェスト2024年5月21日号より(ARRANGE/Mika Kawano、PHOTO/Blue Sky Photos)※PGAツアーはBSJapanext(BS放送)、ゴルフネットワーク(CS放送)、U-NEXT(動画配信サービス)で毎週LIVE中継が見られます

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