ミニツアー126勝の“超現場型”プロ 太田祐一
おおたゆういち。74年生まれの50歳。ミニツアーや地方オープンを主戦場に勝ちまくり、現在通算126勝。インスタ(@yuichi16.golf)でも活動中
“初夏のワナ” その原因は強い芝の抵抗にあった
一見ライが良くても実はそうでもない?
スウィングにおける芝の影響というのは、ラフだけかと思いきや、「この時季はフェアウェイにもある」と太田プロ。一体どういうこと!?
「この時季は芝の密度が濃く、根も張っています。ラフは確認するのに、フェアウェイでは芝の状態を気にしない人がほとんどなのではないでしょうか」
初心者からプロ予備軍まで幅広く教えている太田によれば、ここを見落として“謎のミス”に悩まされる人は多いという。
芝が原因の代表的なミス3つ
「芝の抵抗が大きいうえ生育も早いので、午後はさらに影響が強まります。順目や横目の場合さして問題ないですが、気を付けたいのが逆目。初夏の逆目はアマチュア特有のスウィングエラーと相性が最悪なんですよ」
上体が突っ込んだり、ダウンスウィングで体が右に倒れることによって起こるミスの数々を強い芝が増幅すると太田。
「私でも逆目で普通に打てば距離や方向がバラつくので、とにかく初夏の逆目は要警戒です」
この時季は“逆目”に注意してください
冬から春にかけての弱い芝に慣れた状態から芝の抵抗がより強い季節に移行したばかりのタイミングだからこそ、その影響は大きい。上の2ケースは多くのアマチュアが持つ悪癖だが、「これらが生むミスは確実に初夏の逆目によって増幅される」と太田。
逆目の場合、順目と比べて芝の色が濃く見える。たとえばゼブラカットのフェアウェイで自分の球がある場所の色が濃ければ、逆目である可能性は高いので、しっかり足元を確認することが、この時季の2打目を成功させる前提条件というわけだ。
アイアンはボール1個右、最下点の手前で打つ
無理に打ち込まず“自然に上から入る”
では逆目になったとき、実際にどう対処すれば良いのか。
まずは意外とミスしがちな短~中距離のアイアンショットから。
「逆目だった場合、インパクト時にかかる芝の影響を減らし、フェース面とボールの間に芝が入らないようにするため、少しヘッドを“上から入れ”ます」
ということは、ダウンブローに打つということ?
「そうではありますが、ラウンド中のスウィングはできるだけ1つにしておきたいので、特別に上から打ち込もうとはしません。ボール1個分右に置いて、あくまでも『いつもと同じ振り方』をすることが大切です」
たとえば普段、正面から見たときにヘッド軌道の最下点にボールを置いている人は、それより右へボールを置くことで自然とヘッドは上から入るようになる。ここで大切なのは、スウィングを変えないことだ。
「特に上から入れたい気持ちが強い人は切り返しから上体を左に倒してしまいがちですが、これだと過度にヘッドが上から外から入りやすく、ザックリも引っかけも出ます。あくまで理想は地面と垂直に立った軸を傾けることなくインパクトを迎えることですが、傾きさえしなければ、左右への軸移動は問題ありません。体が硬い人は無理に回そうとせず、垂直に立った軸を右へ平行移動させながらテークバックするとスムーズに回れると思います。そこから左へと傾けることなく、元あった軸の位置へ戻るように回るイメージで振ってみてください」
逆目のフェアウェイをアイアンで打つ際の“3POINT”
POINT①
セットアップはボールを1個分右に入れるだけ
「少し右に飛び、弾道が低くなりますが、どちらも誤差の範囲。飛距離は少しだけ落ちるので、1番手上げても良いかもしれません」
POINT②
テークバックで胸の中心が右へ動くように回る
テークバックで無理やり回そうとせず、地面から垂直に立った軸が平行に移動するイメージでテークバックすると楽に回れる
POINT③
切り返しから軸が左に倒れるのはダメ
一番の問題は切り返し以降で軸が左へ倒れること。切り返しを左足の踏み込みから始めると、軸の角度を維持したまま振りやすい
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PHOTO/Tsukasa Kobayashi
THANKS/太平洋クラブ成田コース