
解説/宮本香怜
みやもと・かれん。1998年生まれ、千葉県出身。埼玉栄高等学校を経て州立ワシントン大学ゴルフ部へ留学。2020年卒業、帰国後ティーチングプロライセンスのUSGTF LevelⅢを取得。都内千代田区のGatee Golf Studioでアマチュアを指導中。161センチ
ロブショットはアプローチと違って“ショット”!
立ち方はドライバーと一緒
ロブショットはグリーン周りで打つケースがほとんどですよね。ラウンドレッスンなどでアマチュアの方とご一緒すると、ピンが近いせいか、フェースを開いて構えた後、手先でシュッと打とうとしている人を多く見受けますが、やっぱり手先で打つと成功率は低くなります。
私は、ロブショットを打つ時はアプローチではなく“ショット”だと考えています。だから、立ち方はドライバーショットと同じ。一番大切にしているのは、骨盤を前傾させる“ヒンジの姿勢”で立つこと。ヒンジとは開閉するドアの蝶番(ちょうつがい・結合部分)が由来で、トレーニング界で良く使われる用語です。ヒンジを腰の部分に見立てて、お尻を吊り上げて骨盤を前傾させる体勢が、一般的に“ヒンジの姿勢”と呼ばれています。
カレン流ロブショットの立ち方

左から①~④の順で解説
①足を広げて普通に立つ
②お尻を引いて、骨盤から前傾姿勢これが“ヒンジの姿勢”
③股関節を起点にそのまま回転
④骨盤は前傾したままフォロースルー
骨盤を前傾させて、股関節を中心に上半身を回転させられる姿勢で構えること。これはそのままドライバーやアイアンのアドレスと同じで、これがロブショットを成功させる最大のポイントだと考えてください。そして、骨盤を前傾させたままトップまで回転した時に、そのままスクワットができるかどうかが次のポイントです。最初はクラブを持たず、構えからトップまで確認してみてください。

「トップの位置からスクワットができるのがいい体勢なんです」とカレン。写真左がダメなトップで、写真右が良いトップ。骨盤が立ってしまうとスクワットはうまくできない
フェースを開いてからグリップします
シャフトは真っすぐ垂直に
アマチュアの方を見ていると、普通に構えた後にフェースを開こうとしている人が多くいます。この順番でやってしまうと、気付かないうちにハンドファーストのアドレスになりやすく、そうなるとロフトが立った状態で当たりやすく、リーディングエッジから芝に入るためヘッドの抜けが悪くなります。

構えてからフェースを開くとハンドファーストになりやすく、シャフトが傾き刃が刺さりやすくなる
それを防ぐために、体の前でフェースをクルッと開いてから、自分のグリップで握る一連の流れを作ってください。

「体の前でフェースを開いてからグリップしてアドレスします」(カレン)
また、ソールを滑らせようとして過度にハンドレイトに構える方もいますが、シャフトの傾きは(正面から見て)真っすぐ90度で十分です。フェースを開いているので、ソールは必ず滑ってくれます。ボール位置はセンターよりもボール1個分左寄り。この位置で構えれば、自然とシャフトの傾きは真っすぐになります。

フェースを開いてからアドレスすることで、シャフトを垂直に構えられ、ソールが滑りやすい状態に
もうひとつ、テークバックした時に、フェースが開いた状態で振るのを怖がってか、クラブを上げながらフェースを閉じてしまう人も多くいます。トップでフェース面が自分のほうを向いているのが正しいポジション。確認してみてください。

右の写真のようにトップでフェース面が自分のほうを向いているのが正しくフェースが開いているポジション。フェース面が前を向いている左の写真はフェース面が開けていない
PHOTO/Shinji Osawa
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※カレン流ロブショットのスウィングのコツや練習方法などは2024年6月11日号「週刊ゴルフダイジェスト」、もしくはMyゴルフダイジェストでチェック!