解説&試打
堀越良和プロ
試打企画でおなじみの“キング・オブ・試打”。ドライバーからパターまであらゆるクラブを試打するスペシャリスト。TPIレベル3を習得している。週刊ゴルフダイジェストで「ギア選びのウソホント」を連載中。
男性でもロフト12度が最適解!?
堀越プロが考える飛ぶドライバー選びの新基準を改めて聞いた。
「分岐点になるのは、ボール初速60m/sです。これを下回った場合、打ち出し角が同じであれば、スピン量が2000回転でも4000回転でも飛距離はほとんど変わりません。ですが、打ち出し角が上がれば、飛距離は伸びます。スピン量には適正値があり、多すぎると球が上がりすぎる(吹き上がる)し、少なすぎるとドロップ(すぐに落ちる)するのですが、これはボール初速が速い人に顕著に表れます。しかし、ボール初速が遅いのであれば、スピン量にこだわるより、いかに打ち出し角を上げるか、それが飛距離アップのカギになります」
ということで、堀越プロ監修のもと、男女アマチュアにロフト違いのドライバーを試打してもらい、そのデータを検証してみた。試打は5球行い、最高・最低キャリーを省いた3球の平均値を出した。男性はHS39m/s、女性はHS37m/sで、弾道測定器で計測。
「ラプソードMLM2プロ」で弾道を計測
クラブはタイトリスト TSR1のロフト9度、10度、12度を用意し、男性アマチュアはシャフト S、女性アマチュアはシャフトRで試打を行った。
このデータを見た堀越プロは「女性アマチュアを見ると、ほぼ予想通りのデータです。ロフトが多くなるほど打ち出し角が上がり、キャリーが伸びています。10ヤード伸びることを考えれば、ロフトが多めのモデルを選ぶべきなのは明らかです。ロフト12度でボール初速は最も遅く、スピン量はやや多めですが、キャリーが出ているので何の問題もありません。
一方、男性アマチュアはロフト12度が最もキャリーが出ています。ボール初速が速いのは恐らくフェースが見えやすく、振りやすかったからでしょう。注目はスピン量です。ロフトが多くなればスピン量は増えるので3000回転は妥当ですが、飛距離が落ちていません。スピン量より、いかに打ち出し角を上げるか、それが飛ぶドライバー選びの基準なんです」
男性の場合、ロフト12度はなかなか手に取らないかもしれないが、飛距離の恩恵は確実にありそうだ。堀越プロは豊富な試打経験だけでなく、アマチュアのレッスンも数多く行っている。その現場で感じることがあると言う。
「スピン量が多すぎて吹き上がってしまう、というアマチュアは見たことがありません。スピン量が少なすぎてドロップするアマチュアはいますが、それはロフトを多くすればいいだけです。HS40m/s未満であれば、ロフトが多いモデルほど、キャリーが伸ばせると思って間違いないです」
まとめ
Point① ボール初速60m/s未満はスピン量にこだわらなくていい
「打ち出し角が同じで考えるとボール初速60m/s未満は、スピン量が多くても少なくても飛距離はほとんど変わりません 。つまりボール初速 60m/s未満なら、スピン量にこだわる必要もないのです」
Point② ロフト角が大きいほどキャリーは伸びる
「打ち出し角を作るのはロフト角だけではないですが、ロフト角が大きいほど、打ち出し角を上げられるのは間違いありません。それでキャリーが伸びるならロフト角は非常に大切な要素となります」
Point③ HS40m/s未満であればロフト多めがいい
「試打結果を見ればわかりますが、HS40m/s未満ならロフトが多いほど、キャリーが伸びます。ロフト11度、12度をラインナップしているメーカーは限られていますが、最初の選択肢として考えるべきです」