見た目と飛距離にこだわった飛び系ツアーアイアンを謳うピン『i530 アイアン』を今回は紹介します。クラブ設計家の松尾好員氏によれば、前作の『i525 アイアン』から継続して採用されている中空構造に加え、「前作よりもさらに飛距離性能が進化した」とのこと。2019年、渋野日向子の全英女子オープン優勝をきっかけにアイアン市場でも注目されるようになったピンのアイアン進化を見てみましょう。

【試打クラブスペック】7I ●ロフト角/27.5度 ●ライ角/62度 ●価格(税込)/3万1900円(スチールシャフト装着1本あたり)※すべてメーカー公表値

飛びと操作性が進化した!

GD 今回はピン『i530 アイアン』を前作の『i525 アイアン』と比較しながら分析していただきます。注目するべきポイントはありますか?

松尾 ヘッドデータで言えば「ロフト角」と「ネック軸回りの慣性モーメント」に変化がありました。この2つを紐解くと今作の特徴が見えてきそうです。

GD ではロフト角からよろしくお願いします。

松尾 カタログ表示で前作が29.0度、今作が27.5度と1.5度立てられています。計算上ではロフト角を1度立てるとキャリーが2~3ヤード伸びると言われています。さらに前作と同様にフェースの素材に反発力が高くボールの弾きが強い“マレージング鋼C300“が使われています。フェース素材とストロング設計を踏まえると、前作よりもさらに飛距離にこだわったアイアンになったと考察できます。

左が前作の『i525』、右が今作の『i530』。前作よりもさらにストロングロフトになり、さらなる飛び系アイアンに進化した

GD 飛び系のi500シリーズは健在ということですね。近年ではストロングロフトアイアンが当たり前になってきていますが、どれくらいからこの変化が始まったのでしょうか?

松尾 青木功さん、ジャンボ尾崎さん、中嶋常幸さんの「AON」がゴルフ界を席巻していた1980年代の7番アイアンのロフトは37度が標準でした。90年代に入ってから、少しずつストロングロフト化が進んで、今日に至っています。今では世界のトッププロが使うアイアンが33度~34度くらいですから、ツアーモデルと呼ばれる物でも1番手ほどストロングロフトになっています。

GD なるほど。飛び系アイアンの歴史は約30年前から始まっていたんですね。続いてネック軸回りの慣性モーメントについてお願いします。

松尾 前作が5841g・㎠、今作が5690g・㎠と小さくなっています。フェースの開閉がしやすくなりドローやフェードと様々な球種を打ち分けやすく進化しました。

GD つまり前作よりも操作性がさらに向上したんですね。ここまでヘッドデータを比較しながら今作を分析してもらいましたが、共通しているクラブ設計についてお聞きします。前作と同様に中空構造で作られていますが、いつの時代から登場した設計方法なんでしょうか。

松尾 中空アイアンは40年ほど前の1980年代から徐々に出てきています。最初はキャビティアイアンに代わる新しい設計、製造技術のアイアンとして登場しました。中空構造のメリットはキャビティ部分に金属の蓋をすることで、重心深度を深くしやすく打点のブレに強い設計にできることです。そして見た目もマッスルバックのようにスタイリッシュに加工できるのも中空構造の良さと言えます。

GD 中空構造は性能面や見た目の設計の自由度があるのですね。『i530アイアン』はどんなゴルファーにオススメですか。

松尾 操作性が前作よりも高くなり、27.5度のストロングロフト設計でさらに飛距離性能が進化しています。しかし一方でフェアウェイのあるがままの状態から球を上げるのは難しいアイアンです。これらを踏まえるとパー3のティーショットで自分好みに曲げながら狙う場面に適したアイアンと言えそうです。

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