こんにちは。桂川有人です。前回から少しあいだが空いてしまいごめんなさい。スコットランドでまた、いろいろな経験をしてきました。ジェネシス・スコットランドオープンと全英オープンの2連戦について、お話ししますね。
まず、皆さんもよく「イギリスには1日のなかに四季がある」という話を聞くと思いますけど、天気が本当に数時間で変わるんです。暑くはならないんですけど、あったかくなったり寒くなったりを繰り返す感じで。全四季のウェアをたくさん持っていきましたけど、服装にはなかなか苦労しました。そして、リンクスコースの難しさに……やられました。スコットランドは2年前の全英オープンでセントアンドリュースを回って以来ですが全然違いました。さらに難しかった。今思えばセントアンドリュースは回りやすかったです。
スコットランドオープンのコースは、ザ・ルネサンスクラブ。僕が今お願いしているキャディのティムさんのホームコースです。ここは10年くらい前にできたコースみたいで、地元の人たちには「ニューリンクス」と言われていて。確かに普通のコースっぽい感じもありながら”今風“に造っている部分もあり、でもラフはモジャモジャ(笑)。
キャディさんからは、「ここの間に打てばいい」なんて細かいアドバイスをもらいました。リンクス対策としては、「もう慣れるしかない」と。僕はけっこう低い球も打つので、そこは自信を持って、ラウンド回数をこなすということが大事だと考えて取り組みました。でも回るたびに怖さを知る部分もある。そこを逃げずにいかないと戦えないので、何回も反復練習をして感覚をつかんでイメージを作りながら、という感じでした。全英のほうがメジャーですから大会の規模は大きいですけど、スコットランドオープンのほうが、全英に向けてヨーロッパとアメリカの上位選手が集まっていたので、レベルが高いように感じましたね。
調子はあまりよくなかったんですけど、初日はまあまあ。ただ2日目はティーショットが上手くいかなくて。フェスキューに入ってしまうと難易度が高くなり、パーで上がるのも難しくなる。バンカーもポットバンカーですから、出すだけになります。しかもグリーンが硬い。やっぱり思った球が打てていないと、どうにもできないことが起きてしまいます。天気はまだ穏やかなほうだったとは思いますが、予選落ちしてしまいました。昨年、コーンフェリーツアーに挑戦していたときに予選落ちが続いたので慣れたというか……慣れたらいけませんね(笑)。そうではなくて、「次に行くぞ」という気持ちの切り替え方はできるようになりました。
大会会場に残って練習し、月曜日に全英オープンの会場、ロイヤルトゥルーンに移動し、練習を開始しましたが、このコースはさらに難しかった。距離もあって、風が強くて、さらにグリーンも硬くてフォローが吹いたらもうボールが止まらなくて、距離感の合わせ方が難しかった。ポットバンカーもいい場所に配置されていて、それでグリーンが硬いので落とし場所が決められる。保険がきかない感じです。すごく曲げてしまうと、風も強いからボランティアの方も行方を追い切れず、みんなでボールを探すことになったりします。
トゥルーンは、最初はあまり特徴のないホールから始まるんですけど、徐々に距離は伸びるし、トリッキーになっていくし、ホールを重ねるごとにどんどん難しくなっていく。でも、リンクスコースとしてはすごくやりがいのあるコースだと思いました。海沿いで雰囲気と歴史のあるコース。ただ僕はあまりコースへのこだわりはなくて。自分に合うか合わないかも気にしないんです。それより、そのコースにどう対応していくかを考えるようにしています。
全英オープンは、落ち着いてそれなりにいいプレーができました。ただ、3パットしたり、もったいないミスが多くて1打足りなかった。調子もよかったのでもっとプレーしたかった。でも本当に紙一重なんです。普通ならバーディが取れたりパーで収まるものが、気づいたらダボに。だからこそ紙一重の技術が必要です。これは全英だからということではないんですけど、1つ1つの細かい技術で1打、2打……何打も変わってくると思いますから。
やっぱり悔しい。でも悔しさがなかったら選手として終わりですから。自分に必要なものが見えてきた部分もある。それは本当に細かい技術すぎて、そんなに簡単に身につくものではないですけど、少しずつ頑張るしかない。手の届くところまで来ているとは思うので、結果だけで焦らず、今のプロセスを大事にしてやるしかないですね。スコットランドの続きはまたすぐに。
写真/桂川有人