「地面反力」は思っているよりカンタンです
アマチュアはゴルフ “だけ”「反力不全」になる
たとえば垂直にジャンプするとき、体を浮き上がらせることができるのは「地面反力」のおかげ。日常生活のいろいろな場面で、我々は無意識に地面反力を使っている。泉岡翔コーチは、アマチュアが地面反力を使えないのは、「小さくて硬そうなゴルフボールを打とうとすると、足の意識が消え、反射的に手を使ってしまうから」だと分析する。
①縦の力 反力
飛距離を高める
振り子の揺れに合わせてタイミングよく支点を真上に引っ張ると、振り子のスピードが増す。ゴルフのスウィングでも、縦に反力を使うことでダイレクトにヘッド速度に影響を与えられる。
②回転の力
方向性を高める
つま先方向に圧力をかけると地面の力はかかと方向に跳ね返り、かかと方向にかけるとつま先方向に跳ね返る。これを左右の足で交互にやると回転に変換される
「計測器の上でスウィングすると、足裏の圧力変化は少ないのに重心だけ左右に動くアマチュアが多いです。つまり、『ジャンプ』では誰でも使えているのに、ゴルフではヘッド速度に直結する縦の反力がほとんど使えていないということです」と、泉岡コーチ。まずは縦の力を使うこと。ここがスタートラインとなる。
③横の力 体重移動
軸を安定させる
テークバックで右足の外側(小指側側面全体)、ダウンスウィングで左足の外側に圧力をかけると、反力が内向きに跳ね返り、軸の左右ぶれを抑えてくれる
なぜアマチュアはうまく反力を使えないのか?
状態や腰の回転ばかり意識しすぎです!
足裏に圧力をかけるのではなく、上体や腰を左右にずらすことで重心が揺れてしまい、足裏は何とかバランスを保つためだけに使われていることが多い
プロとアマでは地面を踏むタイミングが違う!
反力を働かせるタイミングが重要
地面反力はあくまでも「反力」なので、まずは自分が能動的に圧力をかけ(踏ま)ないと働かない。そのとき大事なのが、「いつ」踏むかだ。
「踏むタイミングはテークバックとダウンスウィングで2回ありますが、とくに大事な2回目のタイミングです。アマチュアは踏むのが遅すぎる傾向があります」と泉岡コーチ。
写真①でもわかるように、トッププロ(写真右:松山英樹)の場合、切り返しの瞬間に左足を踏み始め、左腕がみぞおち付近に下りる頃には圧力がピークになる(つまりその後は跳ね返る力が優勢になる)のに対し、アマチュアはインパクトでやっとピークになるケースが多いという。それではインパクトで力を加えられない。
「初動でちょっと左足を左に踏んで、その反動を利用して右を踏みながら上げると、その後の左への踏み込みもスムーズになります」(泉岡コーチ)
踏み込むための準備をしておこう!
準備① アドレス
point① グリップはゆるく握る※写真左下
グリップ圧が強くなるほど、連鎖的に上体に力が入り上半身優位のスウィングになる。ゆるく握ることでやっと足を意識できる。
point② 腹圧を強めて背中はやや丸める※写真右下
重いものを持ち上げるには、お腹に力を入れて背中を丸める。逆に背中を反らせると腹圧は抜け、強い力を出せない。
準備② 初動
足をパタパタさせてからテークバックを始める
ドラコン選手が一旦、左に乗ってから反動でテークバックするように、始動前は足を止めないほうがいい。小さく足踏み、体を揺らす、大きめワッグルなどが効果的。「最初の踏み込みがあると切り返しで踏みやすい」と泉岡コーチ。
文/菅原大成
写真/有原裕晶、大澤進二、Blue Sky Photos
協力/FOXY GOLF、六甲国際GC、越谷ゴルフリンクス プライベートスタジオ
===
2024年9月号の「月刊ゴルフダイジェスト」では、地面反力を使えるようになる地面の「踏み方」や、青木瀬令奈が飛距離アップのために取り組んだトレーニングを掲載。Myゴルフダイジェストでも確認できるので、ぜひチェックをお願いします。