こんにちは、佐藤信人です。男子ゴルフ競技の解説として、大会3日前の7月29日にフランス入りしました。翌日(7月30日)は会場のル・ゴルフナショナルで、松山英樹、中島啓太の「チームジャパン」の練習ラウンドを5ホールばかり見てきました。そして、大会前日(7月31日)には、男子ゴルフの実況を担当するアナウンサーお二人と、18ホール入念に歩いてコースの下見を行いました。
まずコースですが、なるほど18年のライダーカップで、アメリカチームが手こずったコースだな、と感じたのが第一印象です。松山(英樹)くんにせよ、(中島)啓太くんにせよ、ドライバーを使うホールは、おそらく3ホール。PGAツアーの多くのトーナメントコースと違い、必ずしも飛距離がアドバンテージにはなりません。300ヤード以上飛ばすと、むしろペナルティを払うホールも多く、何より求められるのがショットの正確性であり、ティーショットはフェアウェイをとらえることがマストとなるでしょう。ラフは4段階という感じで、ファースト(セミラフ)、セカンド(60ミリほど)、サード(80ミリほど)、その外(120ミリほど)には場合によってはロストの可能性もあるような長いラフがあります。セカンドまではなんとかなりそうですが、サードまで曲げたり飛ばし過ぎるとボギー以上は覚悟しなければなりません。
スタジアムコースで、ギャラリーは一段高い丘から選手のプレーを見下ろす形のホールが多くなっています。しかも、ギャラリロープがプレーイングエリアから遠くなっていますから、ラフがギャラリーに踏み潰されてラッキー、というような状況もほぼありません。とにかく正確なショットを打てる選手が上位に来ることは間違いないでしょう。
松山くんと啓太くんの練習ラウンドを見たときには地面も硬く、「なかなかスコアを伸ばせそうにない」と感じました。しかし夜半に少し雨が降り、翌日に18ホール歩いたときには、「スコア、伸ばしてくるな」という印象に変わりました。いずれにしても、試合展開は天候次第になるでしょうね。
さて、「チームジャパン」ですが、コーチ、キャディ、スタッフの全員がJAPANのユニフォームを着ており、とてもいい雰囲気が出ています。
松山くんは、グリーン周りで丸山茂樹(マル)監督にいろいろ打ち方を質問していました。ボクと同学年で高校時代から知るマルは、ボクのなかでは「世界でアプローチが一番上手い選手」。高いレベルでの2人のやり取りは、オリンピックに限らず今後の松山くんのゴルフにとってのますますの財産になるのではないでしょうか。
啓太くんはプロキャディで解説者としてもお馴染みの杉澤伸章氏をキャディに、またアマチュア時代から指導を受けている(日本ゴルフ協会)ナショナルチームのガレス・ジョーンズ氏とやりとりしながら、淡々と自分のプレーを確認していました。2人とも毎日9ホールをラウンドする予定でしたが、大会前日は、啓太くんはひとり10ホール目に向かったそうです。ジョーンズ氏とともに確かめておきたいところがあったのでしょう。準備万端で大会を迎えます。
松山くんについて言えば、必ずしも絶好調というようには見えません。また練習ラウンドでは、あえてラフやバンカーに入れたり、ショットが曲がった場合の難しいシーンを作り出して練習をするタイプです。そのため本当の調子はつかみづらいのですがが、ただ表情を見てもメジャーのようなピリピリした感じはありません。前回の東京大会は、ロケットモーゲージクラシックという試合中にコロナの陽性反応が出て途中棄権し、そこからの復帰戦でした。その状況でも、メダルこそ逃しましたが、日の丸を背負ったときの強さは、多くのファンの記憶に残っているのではないでしょうか。
いずれにしても2人からは、プレッシャーよりもこの舞台に立てる名誉と喜び、そして楽しもうという雰囲気が伝わってきました。世界で戦えるショットメーカーの2人です。オリンピックというものを心から楽しむことができれば、自ずと結果はついてくるのではないでしょうか。期待したいですね。
さあ、いよいよパリオリンピック、ゴルフ競技の開幕です。
放送予定
8月1日(木) 15時50分~ TVer(インターネット放送)
8月2日(金) 15時50分~ TVer(インターネット放送)
8月3日(土) 15時50分~ TVer(インターネット放送)
8月4日(日) 15時50分~ TVer(インターネット放送)
8月4日(日) 22時35分~ NHK地上波・BS
※2024年8月1日16時10分、一部加筆修正しました。