ゼロからプロゴルファーを創り上げた
「伊澤の親父は何人もプロを輩出していてすごいよ」
日本ゴルフ界を席巻していたジャンボ尾崎から直接、利夫に送られた言葉だった。尾崎自身、数多くのプロゴルファーを引き連れて技術交流の場を設け、周囲から「ジャンボ軍団」と称されていた。同じ志を持つ者同士、日夜一心不乱にゴルフに対して取り組む様は伊澤塾のようだった。
しかし尾崎の言うように伊澤塾の過去の塾生を振り返れば、利光から始まり西川哲、小山内護、立山光広、細川和彦といった錚々たるプロ選手を輩出し、彼らのゴルフの型をゼロから創り上げプロにまで導いている。そして伊澤塾生の中からジャンボ軍団の門を叩き切磋琢磨してきた選手も数多い。
日本ゴルフ界に何人も伊澤塾から送り込んでいた。左上から時計回りに伊澤利光、細川和彦、立山光広、小山内護
「ある程度、型が出来上がっている人と全く何もない人にゴルフの上達へ導く難しさは全然違いますから」とレッスン指導にあたる秀憲も肌で実感している。だからこそ祖父の功績への尊敬は強い。
現代のように電子ツールが発達しているわけでもなければ、国内外の情報をかき集める術も皆無に等しい時代に、利光との日々のゴルフ鍛錬で模索し、築き上げた方法で彼らを一人前に育て上げた。
ゴルフのイロハのイも分からない少年たちを立派なプロゴルファーとして育て上げるために、利夫は人生を賭けて彼らとゴルフに真摯に向き合っていた。自身もゴルフに励んで技術を磨く中で、感触が良かった練習方法があれば塾生達に応用させていき、さらに競技ゴルフの独特な緊張感も肌で体感して少しでも近い感覚で伝えられるように努力した。
秀憲が指導現場で大切にしていることの一つに「打ってる時の感覚が分かるようにしておきたいんです」という考えがある。相手の肉体的な感覚をより細かく共有できれば、的確なアドバイスを送れるし等身大に立ってゴルフの上達の手伝いができる。だからこそ秀憲自身も日々の自己研磨を欠かさずに行なっている。
秀憲は利夫から直接的にゴルフの指導方法を説いてもらったことはない。しかし奇しくも利夫が塾生を指導するまでに踏んだ過程から導いた「相手との感覚共有」の考え方は類似していた。これもまた伊澤塾のDNAなのかもしれない。
【プロフィール】
伊澤秀憲(いざわひでのり)/1991年6月生まれ。神奈川県出身。叔父伊澤利光の父であり、祖父の利夫氏に2歳からゴルフの英才教育をうけながら、ジュニア時代は同世代の松山英樹、石川遼らとしのぎを削ってきた。YOUTUBEチャンネル「アンダーパーゴルフ倶楽部」にてショートゲームを中心とした動画を配信中!
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