プラチナ世代のトップランナーとして日本ゴルフ界をけん引してきた古江彩佳。彼女が今年、海外メジャーを制した。古江をジュニア時代からずっと見てきたナショナルチームのコーチ、岩本砂織プロに、強さの秘密を聞いた。「みんなのゴルフダイジェスト」では、2024年8月20日・27日合併号に掲載された「週刊ゴルフダイジェスト」の内容を一部抜粋し、【ドライバー編】【アイアン編】の2部に分けてお届けする。

曲がらないドライバーからアムンディ・エビアン選手権の大逆転イーグル劇が始まった

画像: 最終18番パー5で迷わずドライバーを選択する程、自信があったドライバーショット(PHOTO/Getty Images)

最終18番パー5で迷わずドライバーを選択する程、自信があったドライバーショット(PHOTO/Getty Images)

エビアン選手権の最終日、トップに並んだ古江は、最終18番パー5で迷わずドライバーを選択。フェアウェイ右サイドのファーストカットに運んだ第1打が大逆転のイーグルにつながった。

画像: 古江彩佳/2000年生まれ。兵庫県出身。2019年、富士通レディースでアマ優勝を飾り、プロ入り後は7勝をマーク。2022年から戦いの舞台をアメリカに移し、同年、スコットランド女子オープンで優勝し、2024年7月、エビアン選手権でメジャー制覇を果たした。ロレックスランキングは日本人最高位の8位(8/27時点、PHOTO/Getty Images)

古江彩佳/2000年生まれ。兵庫県出身。2019年、富士通レディースでアマ優勝を飾り、プロ入り後は7勝をマーク。2022年から戦いの舞台をアメリカに移し、同年、スコットランド女子オープンで優勝し、2024年7月、エビアン選手権でメジャー制覇を果たした。ロレックスランキングは日本人最高位の8位(8/27時点、PHOTO/Getty Images)

画像: 古江を高校1年の時から指導している岩本プロ

古江を高校1年の時から指導している岩本プロ

[解説]岩本砂織

ナショナルチームのテクニカルコーチ。古江が高校1年からずっと指導しており、現在も古江のショットデータを基にアドバイスを送り続ける。JLPGAティーチングプロA級の資格を持ち、横浜のSALTO GOLFを中心に、レッスン活動も行っている。

腰を止めて球を押すからインパクトゾーンが“超”なが~い !

“軸ブレゼロのボールストライカー”

GD 古江プロのエビアン選手権優勝は、アメリカ女子ツアー屈指の高いフェアウェイキープ率(83.37%)によるところが大きいですよね。

岩本 そうですね。あの高いショット精度は軸がブレないおかげです。

GD 軸ブレゼロ ?

岩本 ドライバーは、飛ばそうとしてダウンスウィングで右腰が浮き上がりやすいんですが、古江プロにはこの動きがまったくありません。切り返した瞬間、左股関節に“左の壁”が完成しています。

画像: 画像A/岩本プロがいう「左の壁」はトップから切り返しの直後に完成しているという

画像A/岩本プロがいう「左の壁」はトップから切り返しの直後に完成しているという

GD なるほど。

岩本 インパクトとフォローの腰の向きを見ると、腰の動きが止まっていますね。

画像: 画像B/インパクト直前(左)とフォロー(右)。この間、腰の回転が止まっていると岩本プロ

画像B/インパクト直前(左)とフォロー(右)。この間、腰の回転が止まっていると岩本プロ

GD ホントだ ! 腰が同じ向きを向いています。腰のストップは、どんな働きがあるんでしょうか ?

画像: 古江のドライバースウィングのインパクト(画像左)とフォロー(画像右)の比較。左右を見比べても腰の回転はそれほどしておらず、腕だけ動いているのがわかる

古江のドライバースウィングのインパクト(画像左)とフォロー(画像右)の比較。左右を見比べても腰の回転はそれほどしておらず、腕だけ動いているのがわかる

①腰は止まったまま
インパクトからフォローにかけて、逆にわずかに腰が戻るツイストする動きを見せる。これが、ボールを真っすぐ長く強く押せる秘密だ。

②腕は約90度動く
腰の動きは止まったまま、腕だけが90度動く。腕を振る意識はゼロだ。

岩本 左股関節に左の壁ができると、脱力した腕だけが90度くらい振られていきます。そのため、インパクトゾーンが極限まで長くなって、真っすぐ強くボールを押せるわけです。

凄いぞPOINT①

◆腰の動きを止めて強く長くボールを押す

画像: 切り返しで腰がキマって、腕が振られていきます(岩本)

切り返しで腰がキマって、腕が振られていきます(岩本)

「インパクトから左腕が水平になるポジションまで、股関節の動きが止まります。腕は約90度動いているのに腰の向きはほとんど同じです。そのため、左サイドに壁が生まれ、軸ブレゼロのままインパクトゾーンが極限まで長くなるわけです」(岩本)

凄いぞPOINT②

◆ティーを飛ばさないのがAYAKA流

画像: 打痕が同じ場所にあるため再現性が高く、世界4位のFWキープ率を誇っている

打痕が同じ場所にあるため再現性が高く、世界4位のFWキープ率を誇っている

古江はドライバーショットでティーを飛ばさない。83.37%でツアー全体の3位という高いフェアウェイキープ率は、この精密機械のようなインパクトから生まれる。

PHOTO/Yasuhiro JJ Tanabe、Blue Sky Photos、Hiroyuki Okazawa、Hiroshi Yatabe
ILLUST/Kouki Hashimoto
THANKS/Loun9ine神宮前店

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今回は古江彩佳のドライバーの凄さを紹介した。続く【アイアン編】では①「テコの原理」を利用した意識、②「左手の押さえ効果」を岩本プロが解説 !「体全体を使ったスウィング」になる練習ドリルも掲載するので、お楽しみに !

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