日本メーカーの最後の牙城はアイアン?
GD 今後、アイアンはどうなっていきそうですか? 今のこのバタバタ騒ぎみたいなとこってあると思うんですけど、これってどう収まっていきそうですかね。
長谷部 アイアンの売れ筋を考えたときに頭に浮かぶのが「ゼクシオ」です。ただ、近年は「ピン」などが上位に来ているので数的な「ゼクシオ」優位も変わってきていますが、軟鉄鍛造アイアンでは「スリクソン」の3兄弟の 『ZX5』、『ZX7』が売れているとなると、一定のところ日本のアイアン市場って「ダンロップ」が引っ張っているところがあると思うんです。
そこに対して『キャロウェイ』が復活しようとしていたり、「ピン」や「テーラーメイド」はドライバーの勢いでシンボルモデルが売れるようになってきている。でもそれってゼクシオユーザーの取り合いでしかなくて、競技志向の人はスリクソン系の軟鉄鍛造のアイアンを探し求めているんじゃないかなと思います。
なので、アイアンの市場に関して言えば、日本の市場においては健在で一定のシェアをつかんではいるんですけど、そこに対して上級者とか上昇思考の人たちのアイアンを「キャロウェイ」や「ピン」が一石を投じているということが増え始めると、ドライバーのように徐々に侵食されていく可能性はあります。
日本のアイアン市場は「ゼクシオ」を持つダンロップが牽引しているところがある。軟鉄鍛造の『ZX5』、『ZX7』も競技ゴルファーに人気がある
GD まだアイアンに関しては日本優位っていう感じなんですか?
長谷部 そうだと思います。やっぱり日本人ならではの思考にアイアンは日本製っていう意識があるんでしょうね。
GD どこかに軟鉄鍛造に惹かれるものっていうのがあるのかもしれない。
長谷部 日本のメーカーは軟鉄鍛造をずっと継続してやっているし、どのメーカーも忘れずにラインナップしているのに対して、アメリカのメーカーは一瞬やめちゃったり、また始めたり、そういうところがあるのかと。
あとは研磨ですね。非常に細かい話ですけど、形を整えることに対して、ウェッジでは「タイトリスト」、「クリーブランド」は軟鉄鋳造だとしてもやっている。しかしアイアンまではやってないので、その辺が日本のメーカーにチャンスがある。
軟鉄鍛造アイアンでも、日本人ゴルファーは割とエッジの尖ったシャープな研磨を好むところがありますので、研磨の違いも日米メーカーの違い、個性として見ておきたい点かと思います。
GD それって、「遠藤製作所」であり、「三浦技研」であり、一部のOEMメーカーを含むそういったところがアイアン市場を支えている?
長谷部 日本のベンダーと言われる、名前はあんまり出せないですけど、そういったところが、もちろん「キャロウェイ」のアイアンをやっていたりすることもあり、自分も関わりましたけど、そういったものづくりの品質管理もしっかりしたベンダーがやることによって、アイアンの、しかも鍛鉄鍛造市場を支えていると思うので、ここが揺るがない限りは、見た目のブランドスイッチが起こり、刻印されているメーカー名が「スリクソン」から「タイトリスト」に変わることがあったとしても、基本的なものづくりは日本のOEMメーカーが強いんじゃないでしょうか。
GD こうやってクラブの話をしていると、ドライバーを含むウッドに関しては外ブラがよく、アイアンに関しては日本のベンダーのものがよく、ウェッジに関しては外ブラがよくっていうように感じるんですけど。
長谷部 マジョリティは今そうなっていますね。
GD FW、UTは?
長谷部 これも外ブラはラインナップが確立しているし、番手構成も豊富なので、いずれここも席巻するのは時間の問題だと思います。国産メーカーは未だにFWでは7番より大きい番手を作らないし、7番もやや中途半端。
ユーティリティも6番までは作るけど7番は作らないっていうジレンマを抱えているので、その辺を突破しない限りは外ブラの方が一歩先に行っているんじゃないですかね。
GD パターに関しても「スコッティキャメロン」、「オデッセイ」といった外ブラが優位に立ってしまっているわけだから、最後の牙城はアイアンだったりする?
長谷部 そうですね。アイアンはまだまだ日本メーカー、日本ブランド、日本のOEM製造メーカーが強いんでしょうね。
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