「後半3つ取れたのは大きかった」(竹田)
竹田は危なげないプレーで初のメジャー優勝へ王手をかけた。
前半2つのボギーを叩いたが、後半で3つのバーディを奪い、2位との3打差を死守した。
「前半がチャンスについていたけど、1番しか(バーディを)取れなかったのがもったいなかった。明日に向けてしっかり修正してやるだけかなと思います」
この日は2位の岩井に3打差をつけてスタート。出だしの1番で2メートルを沈めて、幸先よくバーディ発進を決めた。3番で3パットのボギーをたたき、8番でも3パットボギーとピンチに立たされたが、動じなかった。
9番でバーディを奪ってバウンスバックを決めると、後半は調子を取り戻した。12番パー5でグリーン右奥のラフから58度のウェッジで1メートルに寄せてバーディ。14番パー3は6番アイアンで5メートルに乗せてスコアを伸ばした。最終18番はグリーン右手前のバンカーから2メートルに寄せてバーディフィニッシュを決めた。
「5番で短いパーパットを外してから、あまり(パッティングの)ストロークがよくなかったで、その中で後半3つ取れたのは大きかったと思います」
13番パー4ではスーパーパーセーブを披露した。第2打をグリーン右手前の深いラフに外し、ボールの頭がかすかに見えている状態。ここからピンまで20ヤードを思い切りよくカット目に振って、ベタピンにつけ、ギャラリーを大いに沸かせた。
通算19アンダーの大会最少ストローク更新にも期待
今大会は初日に8アンダー64でロケットスタートを決め、2日目は5アンダー67。そしてこの日は69で回り、最終日は首位を一度も譲らない完全優勝でのメジャー初制覇を狙う。また、稲見萌寧が2021年大会(茨城県・静ヒルズCC)で樹立した通算19アンダーの大会最少ストローク更新にも期待がかかる。
「最後まであまりパッティングはつかめなかった。リズムがちょっと速くなっていたのをラウンド中に修正できなかったので、今からリズムに気を付けて練習して修正したい。(優勝は)そんなに簡単にはいかないけど、どういう展開になっても自分のベストを尽くして最後まで頑張れたらと思います」
最終日は今季挙げた5勝の経験も生かし、逃げ切りのVゴールを目指す。
竹田に3打差2位の岩井明愛、4打差3位の山下美夢有は最終日に逆転をかける。
トリプルボギーからカムバックした岩井明愛
岩井はこの日、6バーディ、1トリプルボギーの69。前半で3つのバーディを奪って一度は竹田と並んだが、11番に落とし穴が待っていた。
ティーショットを右へ曲げ、深い茂みに打ち込んだ。左打ちで必死に出そうと試みるが、第2打は痛恨の空振り。第3打でも出せず、第4打で出したはいいが、まだ斜面のラフ。第5打はグリーンに届かず、結局6オン1パットの「7」。トリプルボギーで優勝争いから大きく後退した。
「出したところで狙えないので、どうせならチャレンジして出たらいいなという感じでした。イチかバチかでミスしたのでしようがないです」
それでもギャラリーの「頑張って」という声援を励みにし、次の12番で奥から3メートルを沈めて意地のバウンスバック。最終日へ向け「3打差は何があるか分からないので、最後まであきらめずにやりたい」と前を向いた。
山下美夢有は4打差で竹田を追う
山下はこの日、3バーディ、ボギーなしの69で回り、優勝戦線に踏みとどまった。
「今日はまずまずという感じでした。ショットがあまり後半はついていなかったので、その分パターも入らない距離だった。でも、ショットは昨日よりだいぶよくなっています」
最終日に竹田との4打差をひっくり返して優勝を果たせば、2022年ワールドレディスサロンパスカップ、22&23年JLPGAツアー選手権リコーカップに続くメジャー制覇となり、史上最年少23歳37日でのメジャー3冠も達成する。
「伸ばすしかないと思うので、伸ばしあいについていけるように、ショットもそうですけど、いかにパターを決められるかだと思う」
最終日を舞台に今季絶好調の竹田、岩井、山下がどんな死闘を繰り広げるのか。
撮影/岡沢裕行(ソニーα1/α9Ⅲのカメラを使用)