解説/柳橋章徳コーチ
再現性と飛距離を両立させたスウィング
左わきを支点にしたスウィングは、飛んで曲がらないと、柳橋コーチ。
「3人の共通点は左わきの使い方で、3人とも左わきを支点にした腕の振り子運動でスウィングをしています。アドレスで作った左わきの位置がインパクトでもほぼ変わらないのがその証拠。体が伸び上がったり、左右の軸ブレが起きたりすると、左わきの支点はブレてしまいますが、それがほぼないのが素晴らしいです。左わきを支点にスウィングするメリットは2つ。1つ目は、軌道が安定すること。毎回同じ軌道を描けるのでスウィングプレーンが安定し、再現性が高くなるので曲がりにくくなります。
2つ目は、スウィングアークが大きくなり飛距離を出せること。左わきを支点に振り子運動ができると、クラブを遠いところに下ろすための、グリップエンド側を引き続ける動きが可能になります。この動きができると、自然とスウィングアークも大きくなり、遠心力が生かせ、エネルギーを余すことなくボールに伝えられるんです」(柳橋コーチ)
ココも一緒!
「骨盤の高さが変わらないからエネルギーが逃げない」
3人ともスウィング中、常に右腰の骨盤の高さが変わらないから、効率良く地面を踏めていて、エネルギーが逃げることなく打てている。
「右手首の角度がずっと変わらない ! 」
ザンダー・シャウフェレ
1993年生まれ。全米プロでメジャー初優勝を挙げた勢いそのまま、全英オープンも制した。東京五輪では米国代表として金メダルも獲得。世界ランク2位。
▶切り返しからの右手のひじと手首の角度がインパクト以降も変わらないのが特徴。円弧の延長線上にずっとクラブを引っ張り続けられていて超効率のいいスウィング。また動きが静かでエネルギーの逃げが一切ない。
「骨盤に対して上体がまったく外れない!」
スコッティ・シェフラー
1996年生まれ。マスターズでは、22年以来の2度目の優勝を挙げ、今季はすでに6勝し安定感は抜群。パリ五輪金メダリスト。世界ランク1位。
▶胸椎と骨盤の位置関係がスウィング中ほとんどズレず、インパクトの再現性が高い。足を見ると体が動きすぎているように見えるが、動いてはいけないところは動かしてないので実はシンプルなスウィング。
「再現性の高いノーコックスウィング」
ブライソン・デシャンボー
1993年生まれ。22年からPGAツアーからLIVツアーに活躍の場を移し、LIVでは2勝を挙げる。全米オープンは20年以来の2度目の優勝。
▶アドレスで左手の甲をターゲット方向に向けてフェース面と一致させ、そこでフェースコントロールをしている。インパクト後でも左手の甲は目標に向けたまま。クラブに仕事させるより自分の力で飛ばすタイプ。
写真/Blue Sky Photos、姉﨑正
※月刊ゴルフダイジェスト2024年10月号「スウィングは三者三様 王者の共通点」より引用