スウィング動画をAIによる3D解析技術でデータ化することができる、コーチ専用のゴルフスウィング解析アプリ「スポーツボックスAI」。このアプリを活用しているゴルフコーチ・北野達郎に、今日から始まるプレジデンツカップに出場しているPGAツアー年間王者のスコッティ・シェフラーと、LIVゴルフの年間王者ジョン・ラームのスウィングを比較解説してもらった。
画像: スコッティ・シェフラー(左)とジョン・ラーム(右)(撮影/BlueSkyPhotos)

スコッティ・シェフラー(左)とジョン・ラーム(右)(撮影/BlueSkyPhotos)

こんにちは。SPORTSBOX AI 3Dスタッフコーチの北野 達郎です。LIVゴルフの個人戦は、ジョン・ラームが年間王者に輝きました。そこで今回は、PGAツアー年間王者のシェフラーと、LIVゴルフ年間王者のラームを比較してみましょう。シェフラーとラームのスウィングを比較すると、まさに正反対の特徴が見られました。その違いとは、

①テークバックの手とクラブの動き
②トップの胸と骨盤の左右差
③ダウンスウィングのスウィングプレーン

この3点が主な違いです。また、今回も「バイオスウィングダイナミクス」理論がベースとなりますので、もし良ければ前回の記事と合わせてご覧頂ければ幸いです。それでは早速解説させて頂きます。

「手は内側、ヘッドは外側」のシェフラー
「手は外側、ヘッドは内側」のラーム、正反対のテークバック

まずテークバックを飛球線後方から比較します。スポーツボックスAIのデータ項目「HAND THRUST」は、両手がアドレスの位置から前後にどれだけ移動したか、を表します(「マイナス」なら背中側に、「プラス」ならボール方向に)。テークバックを比較すると、シェフラーはマイナス19.5cm(後方)、ラームはマイナス10.3cm(後方)と、シェフラーのほうが両手が背中側に深く入り、ラームは飛球線後方へ直線的に上がっています。

画像: 画像①テークバックの違い/左のシェフラーは両手が背中側に深く入るのに対して、ラームは飛球線後方へ直線的に上がっている。

画像①テークバックの違い/左のシェフラーは両手が背中側に深く入るのに対して、ラームは飛球線後方へ直線的に上がっている。

続いてクラブのポジションを比較しましょう。「SHAFT DTL ANGLE」は、クラブが垂直から背中側にどれだけ角度が傾いているか、を表しますが、シェフラーはマイナス32度とややスティープ(鋭角)にクラブが上がっているのに対して、ラームはマイナス53度とシャロー(鈍角)にクラブが上がっているのが分かります。この違いは、右手グリップと右ひじの使い方の違いが関連しており、右手がウィークグリップのシェフラーは「手は内側、ヘッドは外側」のテークバック、右手がストロングのラームは「手は外側、ヘッドは内側」のテークバックとなります。ちなみに、もし右手がスクエアグリップの場合はこの中間となり、代表例は松山英樹選手やタイガー・ウッズなどが参考になります。

シェフラーは左足軸、ラームは右足軸、トップの軸も正反対

そしてトップを正面から比較してみましょう。「SWAY GAP」は胸と骨盤の左右差を表します。(「マイナス」は胸が骨盤より右、「プラス」は胸が骨盤より左)シェフラーはマイナス1.9cm(右)と、胸と骨盤の左右差が少ないのに対してラームはマイナス7.3cmと、シェフラーに比べて胸がより右に移動しているのが分かります。

画像: 画像②トップの比較/胸と骨盤の左右差が少ないシェフラーに対して、ラームは胸がより右に移動している

画像②トップの比較/胸と骨盤の左右差が少ないシェフラーに対して、ラームは胸がより右に移動している

これはシェフラーが「フロントポスト」と呼ばれる左足軸、ラームが「リアポスト」と呼ばれる右足軸であることを表しています。「バイオスウィングダイナミクス」によると、このトップの胸と骨盤の左右差の大小と右手グリップには関連があり、右手がウィークの選手はトップで胸と骨盤の左右差が少なくなり、逆に右手がストロングの選手は胸と骨盤の左右差が大きくなるということです。そして、この相性の違いはダウンスウィングのスウィングプレーンにも影響しますので、次はこの影響について解説します。

右手グリップと胸と骨盤の左右差は、スウィングプレーンにも影響する

最後に両者のスウィングプレーンの違いを比較しましょう。ダウンスウィングの「SHAFT DTL ANGLE」のデータを見ると、シェフラーはマイナス41度とややスティープ(鋭角)なのに対して、ラームはマイナス50度とシャロー(鈍角)に下りてきているのが分かります。

画像: 画像③ダウンスウィングの比較/シェフラーはスティープ、ラームはシャロー。ダウンスウィングのスウィングプレーンにも違いが出ている

画像③ダウンスウィングの比較/シェフラーはスティープ、ラームはシャロー。ダウンスウィングのスウィングプレーンにも違いが出ている

このスウィングプレーンの違いは、先程の「胸と骨盤の左右差」が関係しています。例えば、ドライバーとウェッジのアドレスやスウィングを連想してみて下さい。ドライバーは右足重心でスウィングプレーンはフラット(鈍角)になるのに対して、ウェッジは左足重心でスウィングプレーンはアップライト(鋭角)になります。これをシェフラーとラームのスウィングに置き換えると、シェフラーはウェッジのスウィングに近く、ラームはドライバーのスウィングに近いと言えます。まとめると、

▶シェフラーは
 ①右手ウィーク、②左足軸、③スティープなスウィングプレーン
▶ラームは
 ①右手ストロング、②右足軸、③シャローなスウィングプレーン

※①テークバックの手とクラブの動き/②トップの胸と骨盤の左右差/③ダウンスウィングのスウィングプレーンを指す

となります。両者はまさに正反対のタイプであり、バイオスウィングダイナミクスのウェビナーでもよく比較されている2人なので、是非参考にして頂けたら幸いです。

今回は、シェフラーとラームのスウィングを比較して解説させて頂きました。海外ではバイオスウィングダイナミクスのように、より自分にマッチしたスウィングを構築していくのが主流です。もちろん松山選手やタイガーのようなスクエアグリップは王道ですが、もし「合わない」と感じたら、シェフラーやラームのように個性を生かすスウィングも是非トライしてみて下さい !

前回の右手グリップの記事はこちら !

今回紹介した2人のスウィング解析 !

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