日本の皆さん、プレジデンツカップはご覧になっていらっしゃいますか? とにかく凄いことが起きています!
初日、アメリカ代表が5戦全勝、2007年以来のスイープ(全勝のことをこう呼んでいます)と圧倒的な強さを見せ、勝敗の帰趨は決まってしまったかと思いきや、なんと2日目は世界選抜が5戦全勝のお返しスイープ! 17年ぶりのスイープを、2日連続で、しかもそれぞれのチームで達成してしまうというド派手な展開で点差をイーブンに戻し、3日目を迎えることになりました。
より緊張感の高まる3日目はぜひ皆さんに観ていただきたく、プレジデンツカップ初取材の私・U-NEXTスタッフ今井から、現地で感じた大会ならではの見どころをお伝えさせていただきます!
まず、なんといっても観客の声援が段違いに大きいです。ただでさえ盛り上がるチーム戦、地元カナダの選手を3人(コーリー・コナーズ、テイラー・ペンリス、マッケンジー・ヒューズ)を擁する世界選抜チームに熱い熱い声援が各所で飛び交います。また、応援だけではなくアメリカ代表へのブーイングもチラホラ。シェフラーやザンダー・シャフフェレにブーイングが飛ぶという珍しい事態に本人たちも苦笑いです。
ただし、これはあくまでもポーズ。スウィングのルーティンに入ると同時に応援もブーイングも静かになり、選手に近いところの観客席では笑顔でアメリカ代表にもタッチを求めます。観客の皆さんの根底に、ゴルフというスポーツに対しての敬意があるように感じました。
そういった環境でのプレーとなると、選手たちの気合の入り方もまた違うようで、松山英樹プロが観客を煽って声援を要求するという、珍しい場面も。世界選抜のエースとして参戦する松山プロにはどのホールでも熱い声援が向けられます。
しかし、なんといってもいちばんの見どころは、ダブルス、マッチプレーによって生まれる戦略性です。
例えば2日目の7番ホール、パー3。
アメリカ代表のマックス・ホーマ&ブライアン・ハーマンとクリスティアン・ベゾイデンハウト&ジェイソン・デイの対戦は、6番ホールまでのポイントがイーブン。先に打つアメリカ代表のホーマはピンをデッドに狙うではなくグリーンセンターに打ちます。後を打つのは世界選抜のベゾイデンハウト。ここでベゾイデンハウトは同じくグリーンセンターに。
アメリカ代表はあえて攻撃をしかけずにセンターに打つことで、自チームのリスクを回避しつつ、後攻の世界選抜チームに安全策でセンターに打ってパター勝負をするか、ピンをデッドに狙ってリスクを取るかの複数の選択肢を押し付けることができ、判断を迷わせることができます。ガードを固めながら前に出るといったところでしょうか。
同じホールでアメリカ代表ウィンダム・クラーク&トニー・フィナウとコーリー・コナーズ&マッケンジー・ヒューズ(地元コンビ!)の対戦は、6番ホールまで世界選抜が3ポイントのリード。先を打つ世界選抜のコナーズはピンをデットに狙い成功。点差を守りながら相手のミスを誘うのではなく、あくまで自分たちの手でトドメを刺しにいきます。後を打つアメリカ代表のフィナウはピンをデッドに狙い返し、見事成功しますが、点差をこれ以上広げられることが厳しい状況ではこの選択肢以外はなく、プレッシャーをかけられた状態でリスクのあるショットを打たざるを得ないため、圧倒的に世界選抜のペースになっている状態です。
こういった打つ順番を含めた攻めと守りの駆け引きを、世界のトップオブトップのプロたちが繰り広げるというのが、とにかく面白い。いつもとはまた違った観戦を楽しめるかと思います。
また、早く決着がついたチームは、他のチームの応援に回ります。プロが他のプロを応援するというなかなか見れない光景は必見です。
3日目は午前にフォアボール(二人一組がそれぞれ、自分のボールでプレー。各ホール成績の良い人のスコアが採用される方式)4試合、午後にフォアサム(二人一組のチームで、二人がひとつのボールを交互に打ってプレーする方式)4試合の計8試合で、松山プロは2試合の出場可能性があります。松山プロは2日目を終えたインタビューで「午前と午後、両方出られるかはわからないですけど、選ばれたら切り替えてやるだけです」とのこと。
世界選抜がこのまま波に乗るのか、はたまたアメリカ代表が再び盛り返すのか。勝負の3日目、一緒に楽しみましょう!
U-NEXT /今井敬太