月刊ゴルフダイジェストの人気連載「クラチャンとまわろう」。誌面リニューアルに伴い、11月号で連載最終回に。その最終回に登場するのは、パー7が名物の皐月GC佐野コースを5回制したクラチャン・早乙女剛史さん。今は仕事が忙しくラウンド数も減ったが、基本の素振りで実力をキープしているという。
画像: 串焼き中の一コマ(撮影/大澤進二)

串焼き中の一コマ(撮影/大澤進二)

さおとめ・たけし(40歳)

▶クラチャン歴:01年・09年・11~13年の5回
▶メンバー歴:24年
▶1Wの飛距離:270~280Y
▶主な戦績:01年日本ジュニアゴルフ選手権2位

コースから20分ほどにある、炉端焼きが人気の居酒屋「大漁」。その大将が早乙女さん。コース帰りのゴルファーでゴルフ談義に花が咲く。大将にアドバイスを求めるケースも多い。

日本ジュニアで池田勇太に惜敗

画像: 佐野日大高3年の01年の日本ジュニアでは、高2の池田勇太と優勝争いをしている(撮影/大澤進二)

佐野日大高3年の01年の日本ジュニアでは、高2の池田勇太と優勝争いをしている(撮影/大澤進二)

佐野日大高3年の01年の日本ジュニアでは、高2の池田勇太と優勝争いを演じた。結果は2位に終わるも、今も名勝負に数えられる試合でもある。

左右にOBのホールが多く、またピンポジによってはドロー、フェードの打ち分けが求められる。最初にフィニッシュの高さを決めて、決めたら迷わず振り切るのが早乙女流だ。

“アルバトロスパット” は人生で一度だけです

画像: 「マストは両サイドに木がせり出したティーショットを真っすぐに打ち出し、距離を出しつつ確実にフェアウェイをキープすること!」。言うは易し行うは……(撮影/大澤進二)

「マストは両サイドに木がせり出したティーショットを真っすぐに打ち出し、距離を出しつつ確実にフェアウェイをキープすること!」。言うは易し行うは……(撮影/大澤進二)

攻めと守りの絶妙なバランス

皐月GC佐野コースといえば、なんといってもアウト7番、964ヤードのパー7だ。

「距離に圧倒されますが、各ホールが独立していて隣接ホールがありません。7番も同じで、そのため左右がOB。しかもフェアウェイが狭く、おまけにティーイングエリアからは、左右から木がせり出し、プレッシャーはオーガスタの18番並みだと思います(笑)」

コース攻略は球筋の打ち分けが大事
「ドローとフェードはフィニッシュから逆算してスウィングをイメージします」

画像: 写真上:フェード(ヘッドを高くする)写真下:ドロー(ヘッドを低くする)

写真上:フェード(ヘッドを高くする)写真下:ドロー(ヘッドを低くする)

左右にOBのホールが多く、またピンポジによってはドロー、フェードの打ち分けが求められる。最初にフィニッシュの高さを決めて、決めたら迷わず振り切るのが早乙女流だ。

緊張すると言いながら、早乙女さんはどこか楽しそう。ティーショットもセカンド、サードショットも「落とし所が難しい」としながら、「OBを恐れてはいいスコアは出ません。仮にOBを出してもOBパー(ダブルボギー)で上がれると思って、果敢にチャレンジしています」とも。絶妙な攻めと守りのバランスが、チャレンジ精神をかき立てるのだろう。早乙女さんが楽しそうに話す理由でもあり、7番ホールをはじめ、佐野コースの醍醐味になっているようだ。

左グリーンは4オン狙い・右グリーンは3オンが一度だけ

画像: 7番パー7左964Y&右924Y(撮影/大澤進二)

7番パー7左964Y&右924Y(撮影/大澤進二)

どうしても距離が長くなる左グリーンの場合は4オン狙い。3打目をフェアウェイに確実に置き、4打目がピンを狙える100ヤード以内にするのが定石。大きなクラブは握らない。

これまでに100回以上ラウンドしている早乙女さんも、7番で3オンしたのは10年ほど前に1回あるだけだ。やや前のティーイングエリアで、バックティーから880ヤード。グリーンも手前の右グリーン、ピンもやや手前に切ってあったと記憶している。

880ヤードを3オンした時のマネジメント !

【1打目】1Wで320Y

画像: 両サイドにせり出す木はプレッシャーでもあるが、反面「集中力が高まり狙いが絞れる」メリットも(撮影/大澤進二)

両サイドにせり出す木はプレッシャーでもあるが、反面「集中力が高まり狙いが絞れる」メリットも(撮影/大澤進二)

【2打目】3Wで260Y

画像: フェアウェイ右サイドを狙うことで、3打目でグリーン手前の花道を使える、と判断。距離よりも3Wで確実に(撮影/大澤進二)

フェアウェイ右サイドを狙うことで、3打目でグリーン手前の花道を使える、と判断。距離よりも3Wで確実に(撮影/大澤進二)

【3打目】直ドラで280Y

画像: 直ドラは低く強いボールで、ランで距離を稼ぐ戦略。直ドラは右に出やすいことを注意(撮影/大澤進二)

直ドラは低く強いボールで、ランで距離を稼ぐ戦略。直ドラは右に出やすいことを注意(撮影/大澤進二)

「そういう状況で1打目、2打目と距離も出てフェアウェイもキープできたので、ならばと直ドラで。でも、あれは幸運というか本当にマグレです(笑)」

もっとも、残り280ヤードを直ドラで5メートルにつけるも、「緊張で5メートルを打ち切れず、人生初のアルバトロスを逃しました。僕の知る限り3オンしたのはほかに1人ですが、その方もパットを決められなかったようです」

同ホールでは未だアルバトロスの記録はないそうだ。また同コースでは、ホールインワン保険同様、アルバトロス保険も認められるという。

取材・文/大羽賢二
カメラ/大澤進二
※早乙女さんにはボランティアとして登場していただきました。

※月刊ゴルフダイジェスト11月号から一部抜粋

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