Qi10 MAXやG430MAX10Kのように慣性モーメント10万超えを謳い、寛容性に長けたドライバーがある一方、GTシリーズのように低重心による強弾道をウリにしているドライバーも。2024年12月号の「月刊ゴルフダイジェスト」ではそれぞれの特徴、人によってどっちが合うのか徹底的に研究しているので「みんゴル」読者にもお届けしよう。
画像: 松吉宗之氏

松吉宗之氏

解説:松吉宗之氏

メーカーでクラブの設計・開発をした後、独立してジューシーを立ち上げた。

大慣性モーメント vs 低重心【ヘッド計測編】

「慣性モーメント(MOI)が大きいヘッドは、打点ミスをしてもブレにくいので、球の曲がり幅や飛距離ロスが軽減できます。対して、重心が低いヘッドは、ミートしやすくてスピンを抑えた強い球が打ちやすい。それぞれにアドバンテージがあります」

クラブデザイナーの松吉氏はそう述べる。その大MOIヘッドと低重心ヘッドの大きな違いは、重心深度にあるようだ。下記の重心データでもわかるように、大MOIを追求して重心が深くなるとスイートスポットが高くなりやすいし、重心が浅めだとスイートスポットが低くなりやすい。このセオリーからしても、大MOI(=深重心)vs低重心の対立軸がハッキリした。

【低重心】
GT2 ロフト10度のデータ
【大MOI】
Qi10 MAX ロフト10.5度のデータ
クラブ長さ45.38インチ44.88インチ
クラブ長さ(60度法)45.75インチ45.25インチ
クラブ重さ319.1g308.4g
スウィングウェイトD4.8D2.1
クラブ慣性モーメント298万g/㎠291万g/㎠
ヘッド重さ202.2g205.4g
リアルロフト角9.4°11°
ライ角58.5°59.5°
フェース角OPEN 2.0°HOOK 1.0°
フェースプログレッション16.1mm17.3mm
重心距離40.8mm42.8mm
重心深度40mm50mm
フェース高さ55.5mm55.1mm
スイートスポット高さ34.6mm35.9mm
低重心率62.3%65.2%
SS位置(フェース中央から)トウ側0.5mmトウ側0.7mm
ネック軸まわり慣性モーメント7869g/㎠10218g/㎠

重心が深い“大MOIモデル”スイートエリアが広く打点ミスに強い

画像: テーラーメイド「Qi10 MAX」重心深度は50mm、低重心率は65.2%

テーラーメイド「Qi10 MAX」重心深度は50mm、低重心率は65.2%

カーボンクラウンなどで生み出した余剰重量を後ろへ持っていくことで重心が深くなりMOIが大きくなる。結果、芯を外してもヘッドがブレにくくて球が散らばらない。重心が深くなるほどスイートスポットが高くなる。

大MOIの特徴①トウ・ヒール寄りに外しても安定弾道

画像: トウヒットでも出玉がバラつかない

トウヒットでも出玉がバラつかない

スイートエリアが広がることで、芯を外してもヘッドのブレが少ない。

結果、初速が極端に落ちるのを低減。

大MOIの特徴②高重心でスピン量が増えやすい

画像: スピン量がほどよく入って弾道が安定する

スピン量がほどよく入って弾道が安定する

ギア効果によって、高重心だとスピン が入りやすい。

スピン量がほどよくあったほうが、弾道が安定する。

大MOIの特徴③ヘッドが直線的に動きやすい
ネック軸回りMOIが大きいことでフェースの開閉が抑えられ、ヘッドの軌道が“真っすぐ”になりやすい。

画像: 2008年に発売されたナイキ「SQ SUMO2」

2008年に発売されたナイキ「SQ SUMO2」

大MOIの歴史
きっかけはナイキ「SQ SUMO2」

スクエア(四角)ヘッドにして、ルール限界までMOIを高めた。“異形ヘッド”の走り。

重心が浅い“低重心モデル”芯でとらえやすく結果低スピン強弾道

画像: タイトリスト「GT2」重心深度は40mm、低重心率は62.3%

タイトリスト「GT2」重心深度は40mm、低重心率は62.3%

重心が低いほうがスイートスポットの近くで打ちやすくなるので、スピンは少なくなりやすい。インパクト効率が高まり、初速が上がって力強い弾道で飛ばせる。ヘッドの重心が浅いほうが、スイートスポットは低くしやすい。

低重心モデルの特徴①重心が低く芯でとらえやすい

画像: スイートスポットの位置が低い

スイートスポットの位置が低い

  

芯の位置が低いということは、フェースの真ん中に近くなるので、自ずと打点が芯に集まり初速UP。

低重心モデルの特徴②低重心設計でスピン量が減らせる

画像: スイートスポットよりも上で打つとギア効果でスピン量が減る

スイートスポットよりも上で打つとギア効果でスピン量が減る

  

重心が低くて芯より上のエリアが広くなり、そこで打つとギア効果によってスピンが減りやすい。

低重心モデルの特徴③ヘッドのか開閉がしやすい
ネック軸回りMOIが抑えられると、フェースをローテーションしやすくなり開閉を使って打てる。

画像: テーラーメイド「SLDR」

テーラーメイド「SLDR」

低重心の歴史
きっかけはテーラーメイド「SLDR」

低・浅重心によりロースピン弾道に。プロもロフトアップして、打ち出しを高くして飛ばした。

女子プロ界でも二極化!

画像: 古江彩佳は「B3MAX」笹生優花は「Ai SMOKE♦♦♦」を使用

古江彩佳は「B3MAX」笹生優花は「Ai SMOKE♦♦♦」を使用

画像: 大MOIモデルユーザーと低重心モデルユーザーで二極化している

大MOIモデルユーザーと低重心モデルユーザーで二極化している

古江は「B3MAX」、笹生は「Ai SMOKE♦♦♦」

女子プロの使用モデルをカウントすると大MOIモデルと低重心モデルが4:6くらいの割合でほぼ真っ二つだった。

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最新ドライバーのマトリックスや、ヘッドの選び方は2024年12月号の「月刊ゴルフダイジェスト」とMyゴルフダイジェストにて掲載中!

TEXT/Satoshi Niida
PHOTO/Tomoya Nomura、Kousuke Mori、Tsukasa Kobayashi、Tadashi Anezaki
THANKS/京葉カントリークラブ、FOXY GOLF

※月刊ゴルフダイジェスト2024年12月号「大慣性モーメント vs 低重心」より一部抜粋

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