PGAツアー開幕戦の「ザ・セントリー」でコリン・モリカワが数年来使用していた2020年モデル『SIM』から新ドライバーにスイッチしたのは既報のとおり。その新ドライバー『Qi10』シリーズについてテーラーメイドからついにリリースが届いた。
画像: 左から『Qi10 MAX』、『Qi10』、『Qi10 LS』

左から『Qi10 MAX』、『Qi10』、『Qi10 LS』

「ボール初速」と「寛容性」が両立

“曲がらなくて飛ぶドライバー”というのはゴルファーなら欲しいと思うのは当然だが、テーラーメイドによると「SPEED(ボール初速)」と「FORGIVENESS(寛容性)」は、そもそもは相容れないものだという。その理由は寛容性を高めるには大きな慣性モーメントが必要になり、それには①深い重心位置②後方下部への拡張③重いヘッドという設計になる。しかし、①深い重心位置にするとスイートスポットが高くなり、スピン量が増大。②後方下部への拡張をすると空力抵抗が高くなり、ヘッドスピードの低下につながる。③重いヘッドは振り心地が悪くなり、ヘッドスピードが遅くなる。これらの要素により、ボール初速が犠牲になるというのだ。

画像: テーラーメイド社は「『SIM』はSPEED、『SIM2』はFORGIVENESS、『STEALTH』はSPEED、『STEALTH2』はFORGIVENESSというように、一代ごとにボール初速と寛容性を追求してきた」という

テーラーメイド社は「『SIM』はSPEED、『SIM2』はFORGIVENESS、『STEALTH』はSPEED、『STEALTH2』はFORGIVENESSというように、一代ごとにボール初速と寛容性を追求してきた」という

しかし、今回発表された『Qi10』シリーズは、「第3世代60層カーボンツイストフェース+新開発フレーム」「さらなる軽量素材」「新しいヘッド形状」「新しい重量配分」により、この「SPEED」と「FORGIVENESS」の両立に成功。お馴染みの「60層カーボンツイストフェース」を改良し、新開発したフレームによりフェースの広い範囲でエネルギー伝達の効率化が成され、『ステルス2』に比べると、約0.31m/sのボール初速がアップ。また、「さらなる軽量素材」とは従来はクラウンのカーボン部の比率は79%だったが、今作からは97%にまで拡大させた“インフィニティ カーボンクラウン”を採用。また、新開発のフレームがテーラーメイド史上最軽量の71gと、より多くの余剰重量を確保。「新しいヘッド形状」とは、ヘッドを後方に8ミリ伸ばすことでより大きな慣性モーメントを得ることに成功した。「新しい重量配分」とは、“フルカーボンクラウン”や“新開発フレーム”により生まれた余剰重量をヘッド後方下部に配置。後方下部には30gのタングステンを配置した。これにより、上下方向のヘッド慣性モーメントと左右方向のヘッド慣性モーメントの合計がテーラーメイド史上初めて10000g・c㎡を超えたという。

画像: 左から『Qi10 MAX』、『Qi10』、『Qi10 LS』の構えた顔。やはり『MAX』がいちばん大きく見える

左から『Qi10 MAX』、『Qi10』、『Qi10 LS』の構えた顔。やはり『MAX』がいちばん大きく見える

ここに『Qi10』シリーズの名前の由来がある。というのも、「Q」はクエスト(Quest)、「i」はイナーシャ(inertia・慣性モーメント)、「10」は10K(10000g・c㎡)を指しているからだ。今回の『Qi10』シリーズは3機種ラインナップされており、ヘッド慣性モーメントが10,000g・c㎡を超えた『Qi10MAX』、レギュラーモデルの『Qi10』(ヘッド慣性モーメントは8420g・c㎡)、ロースピンモデルの『Qi10LS』(ヘッド慣性モーメントは7600g・c㎡)だ。

C・モリカワも使用する『Qi10 MAX』

いままでのテーラーメイドは「レギュラーモデル」「ロースピン(LS)モデル」「ハイドロー(HD)モデル」の3機種で展開してきたが、今回は「ハイドローモデル」はなく「MAXモデル」に。これは①ヘッド慣性モーメント(MOI)が過去最大の10,000g・c㎡という“MAX MOI”。②最大限ストレート弾道の“MAX Straight”。③ルール上限サイズまで後方に伸ばした“MAX Size”という3つのMAXから来ている。ルール上限まで後方に伸ばしたヘッドテクノロジーを見ていくと、お馴染みの“60層ツイストカーボンフェース”のほか、フェース面上部にまで広がった“インフィニティ カーボンクラウン”に、ヘッド後方には30gのタングステンが埋め込まれた。『ステルス 2 HD』に比べると16%慣性モーメントがアップし、着弾地点の幅が30%縮まり、よりストレート弾道になったという。また、やさしいヘッドと認識されやすい『MAX』モデルは上級者から敬遠されがちだが、PGAツアー開幕戦のザ・セントリーではコリン・モリカワが使用し、話題になった。ロフト角は9.0度、10.5度、12.0度の3モデルをラインナップ。

画像: 『Qi10 MAX』のフェースがシリーズ中いちばんシャロー。アッパーめでスウィングしたいイメージだ

『Qi10 MAX』のフェースがシリーズ中いちばんシャロー。アッパーめでスウィングしたいイメージだ

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レギュラーモデルの『Qi10』

3機種あるうちのど真ん中ヘッドという位置づけになる『Qi10』。『Qi10 MAX』でも説明した“60層ツイストカーボンフェース”と“インフィニティ カーボンクラウン”を搭載。ヘッド後方のウェイトは21gと『MAX』よりも9g軽くなり、重心深度が浅くなっている。その関係でヘッド慣性モーメントは8420g・c㎡。前作『ステルス2』と比べると、慣性モーメントは5%アップし、約0.18m/sのボール初速が向上。さらに200rpmの低スピン化に成功した。ロフト角は『Qi10 MAX』同様に9.0度、10.5度、12.0度の3モデルをラインナップ。

画像: シリーズ中のいちばん使い手を選ばないモデルの『Qi10』

シリーズ中のいちばん使い手を選ばないモデルの『Qi10』

タイガーやマキロイが使用する『Qi10 LS』

『LS』は「ロースピンモデル」のことだが、『Qi10 MAX』や『Qi10』同様に“60層ツイストカーボンフェース”と“インフィニティ カーボンクラウン”を搭載。また、そこで生まれた余剰重量をヘッド後方に17g、ヘッド前方に18gと振り分けることで『Qi10』よりも浅重心を実現した。また、ヘッド前方のウェイトはスライド式となっており、弾道調整も可能になっている。ロースピンモデルとしては大きい7600g・c㎡のヘッド慣性モーメントを持ち、前作『ステルス2 PLUS』に比べると、平均で3ヤード飛距離が伸び、100rpmの低スピン化、そして0.3度の打ち出し角アップを実現し、ヘッドスピードが速い人ほど飛ばせるヘッドになっている。ロフト角は8.0度、9.0度、10.5度を用意。

画像: 『Qi10 LS』のフェースがシリーズ中いちばんディープ。力強い球が打てそうだ

『Qi10 LS』のフェースがシリーズ中いちばんディープ。力強い球が打てそうだ

価格はいずれも純正シャフトで『Qi10 MAX』と『Qi10』が9万5700円(税込)、セレクトストア限定販売の『Qi10 LS』は9万9000円(税込み)。発売日は2月2日を予定している。

FW、ハイブリッドは3機種、アイアンは1機種

その他、ドライバー同様にカーボン部を増やした“インフィニティ カーボンクラウン”、AIが設計した“オプティ フェース”、テーラーメイドのフェアウェイウッドでお馴染みの“Vスチールソール”を搭載した『Qi10 フェアウェイウッド』シリーズ(低重心で安心感のある『Qi10 MAX』、飛距離性能と安定感のある『Qi10』、弾道調整が可能な『Qi10 ツアー』)。シャローフェースで超低重心の『Qi10 MAX』、ミッドサイズで構えやすい『Qi10』、重心がやや高く、スピンが入る『Qi10 ツアー』の『Qi10 レスキュー』シリーズ。中空構造で、グースネックで球を包むイメージの『Qi アイアン』をラインナップ。

画像: 左上時計回りに『Qi アイアン』『Qi10 MAX FW』『Qi10 FW』『Qi10 ツアー FW』『Qi10 MAX レスキュー』『Qi10 レスキュー』『Qi10 ツアー レスキュー』

左上時計回りに『Qi アイアン』『Qi10 MAX FW』『Qi10 FW』『Qi10 ツアー FW』『Qi10 MAX レスキュー』『Qi10 レスキュー』『Qi10 ツアー レスキュー』

PHOTO/Tomoya Nomura

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