解説/小野寺誠プロ
1970年生まれ。16歳で渡米し、帰国後96年にプロ入り。ラウンドレッスンを中心に年間250ラウンド以上プレーし、コースで上達させる「現場主義」の指導が得意
バックスウィングなしでフォローだけで球を飛ばす
もう1つ、アプローチの基礎レベルを上げる練習として小野寺プロが推奨するドリルがある。それはバックスウィングせずに「フォローだけでボールを飛ばす」練習だ。
やってみると非常に難しく、いきなりできるアマチュアはほとんどいないというが、アプローチの重要な要素が詰め込まれており、「これができるようになればアプローチが劇的に上手くなる」と小野寺プロは太鼓判を押す。
「クラブを手先で操作せず、体の右サイドをしっかり押し込んでいくと、ボールがフェースに乗って前に飛ばせます。クラブを急加速させず、ゆっくり動かすこと、手首の角度を維持することがポイント。両手だけでなく片手でもやってみてください。プロが『手を使わない』と言うことの意味がわかるようになりますし、何よりザックリを撲滅できますよ」
ざっくりがなくなるオススメ練習法 ③
最初は「歩きながら」やってみよう
最初は飛球線方向に歩きながら、ヘッドを引きずるようにするとやりやすい。ハンドファーストを強調しロフトを立てるように使うのがポイント。
「手を使わない」の意味がわかる!
手先を使わず、手元を体の正面にキープしたまま体をしっかり動かすのがポイント。これが
できれば、プロが「手を使わない」と言っている意味が理解できる。
スティックを使って方向と距離感の精度を磨こう
アプローチの精度を上げていくためには、クラブやアライメントスティックなどを地面に置いて練習するのも効果的。タテに置けば方向性、ヨコに置けば距離感のレベルアップに活用できる。
寄せワンオススメ練習法④
打ち出し方向をそろえて打つ
ボール位置の先、ターゲットライン上の地面にタテ方向にスティックを置き、その真上を通して打つ練習。打ち出し方向をそろえることが、方向性アップの最大のポイント。慣れてきたら高さも意識してみよう。
POINT
親指のグリップを放して打ってみよう
両手親指をグリップから放してスウィングすると、手先でクラブが操れないので、体の動きで方向をコンロールする基本が磨かれる。
「方向性を高めたかったら、スタンスとボールの打ち出し方向にタテ方向にスティックを置いて打ちましょう。これは出球だけに集中し、ボールをスティックの真上を通すことだけを考えて打つのがポイント。距離感を磨きたかったら、スティックをヨコに置きます。たとえばターゲットまでの距離の1/3地点にスティックを置いて、必ずその先にキャリーさせて寄せるとか、必ず手前に落として寄せるといった、落としどころの“縛り”にします」
寄せワンオススメ練習法 ⑤
スティックの前後でキャリーを打ち分ける
落としどころ付近にスティックをヨコ向きに置き、転がしなら必ずその手前に、上げる場合は必ずその先にキャリーさせる。同じ距離を狙って落としどころを手前・先で打ち分ける練習も効果的。
ポイント
番手やボール位置を変えて打ってみる
落としどころを変えて同じ距離を打つ場合は、番手を変えることとボール位置を変えること、2つの方法がある。これらをいろいろ組み合わせて練習し「引き出し」を増やそう。
後者の練習は、トータルで同じ距離を狙いながらスティックより手前に落とす、先に落とすといった打ち分けをしたり、スティックの位置を前後にズラすなど、さまざまなアレンジが可能。番手やボール位置を変えていろいろ試すと、アプローチの「引き出し」を増やせる。
傾斜に合わせたフォローの位置をチェック!
アプローチ練習場に斜面があれば、ぜひ傾斜から打つ練習もしておきたい。打ち方だけでなく、傾斜によってボールの打ち出し角や高さがどう変わるのかなどもチェックし、経験を積んでおこう。
「打つ前に、右足前くらいからボールの先までヘッドで地面をコスるようになぞり、フォローの抜ける位置を体に覚え込ませるのがポイント。傾斜に合わせて『ここまでヘッドを出す』というイメージを作っておき、それを再現するように打つと、傾斜地でも上手く打てます」
ライの苦手克服オススメ練習法⑥
傾斜なりに振る
右足前からボールの先まで、傾斜なりにヘッドで地面をなぞり、フォローのポジションを確認してから再現するように打つ。打ち出し角や球の高さもチェックしておこう。
練習場の人工芝マットの上では絶対できないリアルで貴重な経験を、こういうチャンスにしっかり蓄積しておくことも、アプローチの上達には欠かせない。
次にプレーするコースに“アプローチ練習場”があったら、見逃さずに活用しよう。
PHOTO/Tsukasa Kobayashi
TEXT/Kousuke Suzuki
THANKS/ロイヤルCC
週刊ゴルフダイジェスト11月26日号より