
日本ツアーでも活躍中の30歳。193センチの身長から300ヤード放つアンソニー・クエイル
大会初日の木曜日、選手たちはムーナリンクスの13番でプリファードライ(ボールをピックアップして拭きプレースする)の採用が可能だという文書を受け取った。
それに目を通したクエイルは全てのホールでプリファードライを採用できると勘違い。15番グリーンまでピック、クリーン&プレースを繰り返した。そこで同伴プレーヤーから疑問を呈されたため競技委員に連絡。
結局13番から15番までの4打について間違ってプリファードライの処置をし、打球が止まった元の位置とは違う場所から3回打ったため1打当たり2罰打。あとの1回はボールは拾ったが元の位置に戻してプレーしたため1罰打、合計7罰打を自らに科したのだ。
「明らかに言い訳できない初心者のミスです」と本人。
「半ページの小さな書面が配られたのですが、プリファードライが強調されているように読み違え、このツアーではプリファードライでプレーする機会が多いと単純に思い込んでしまったのです」
それでも初日を73(7罰打がなければ66)で回った彼は2日目に67をマークして予選を突破。決勝ラウンドも66-69にまとめ、優勝者と2打差の単独3位に食い込んだ。
「ミスに気付いた瞬間は吐き気がしました。でも何が起こったかを冷静に考え7罰打で予選を通ったら皆さんの記憶に残るんじゃないか、と気を取り直しました」
トーナメントディレクターのマクロード氏は
「彼の対応を誇りに思います。違反に気付くとすぐ競技委員を呼び潔くペナルティを受け入れた。それはまさに彼の人間性の賜物。腐らず素晴らしいプレーを続けた彼に拍手を送りたい」
7罰打がなければ圧勝。だがそれは言わぬが花だ。
※週刊ゴルフダイジェスト2024年12月31日号「バック9」より