
今年1月、アメリカの女子ミニツアーで優勝したトランスジェンダーのヘイリー・デビッドソン(写真は本人のインスタグラムより)
これまで、オリンピックと同様に男性ホルモンが一定の基準値以下に維持されている場合は、性転換した男性でも女性として認める判断がなされ、競技に参加できた。
それが2025年から性転換で女性として競技に参加できるのは、思春期になる前に、男性から女性に性転換した者のみ、という規則に変わったのだ。骨格や筋肉などいわゆる男性体形に変わる以前に性転換していればOKだが、思春期に入ってからだとダメということだ。
「新しい性別の規則は、世界中の主要な医療従事者などと相談するというプロセスを経て、考え抜かれたものだ」とUSGAのマイク・ワン氏が語れば、LPGAでも、医学に加え、科学やスポーツ心理学、性別の法律などの専門家からなるグループが、成人後に性転換した男性は有利だと断定したことから、規則の変更をしたという。
もっとも、これに先立ち女子プロなどの275名がUSGAやLPGAに性転換への疑問を投げかける嘆願書を送ったことも影響しているようだ。
先のLPGAのQシリーズでは、性転換したヘイリー・デビッドソンという選手が警備員に囲まれて出場していた。2025年の下部エプソンツアーでの出場権を獲得したものの、今回の規則改定で試合に出られなくなりそう。
この発表があった同じ日に、アメリカの最高裁ではこれに関連する裁判が始まっている。これは、テネシー州など24州が未成年者に対するホルモン治療などを禁止する法律の是非を問うもので、ワシントンポスト紙などでは、最高裁は禁止を支持する可能性が高いとしている。
つまり、性同一性障害を持つ未成年者が治療を受けられない一方で、未成年の段階で治療を受けていなければ、女子プロの試合には出られない、というある種矛盾した結果になりそうだ。
※週刊ゴルフダイジェスト2024年12月31日号「バック9」より