
指導/竹山昴成プロ
たけやま・こうせい。1999年生まれ。兵庫県出身。東北福祉大出身でツアープレーヤー転向は2021年。昨年は日本プロで6位タイに入るなど成長著しい期待の若手。今シーズンはQT上位の資格でレギュラーツアーに参戦する
8番アイアンの軽めショット!
GD アイアンの番手間の距離で迷ったらどうすればいいのですか。
竹山 小さい番手で強めに打つか、大きい番手でコントロールをするのかですよね。ライや風、ピン位置などの状況にもよりますが、どちらが良いのかって永遠のテーマじゃないですけど、かなり難しいですよね(笑)。

この番手は迷いがち
GD プロはどちらを選択することが多いですか?
竹山 ライがフラットな場合は『大きめのクラブでコントロール』します。ですから、今回の場合は8番アイアンで軽めに打ちます。

9番アイアンよりヘッドの入射角が緩やかになり、打ち出し角が高くなる。余計なバックスピンも入らないので距離が合いやすく、方向性もアップする
GD アマチュアにとっては目いっぱい振るほうがやさしいような気がしますが。
竹山 フルショットで強く打つほうが簡単と思うかもしれませんが、今回のように8番か9番かで迷った場合は、軽く振るほうがメリットが多いんです。なぜなら、9番アイアンはつかまりやすいのでフルショットは実は危険なんです。ピンまで届かせようと力むほど引っかかりやすくなり、距離も方向性も狂いやすいからです。もちろん軽く打つときもインパクトで緩むという危険性がありますが、ミスなく確実にグリーンに乗せる、もしくはピンに寄せるには圧倒的に8番のほうが簡単ですよ。
8番アイアン軽く打つメリット
①ミート率がアップする
大きめの番手を持って少しコンパクトに振るので、ミスヒットする確率が減りミート率がアップする。芯でヒットすることで、多少の風にもほとんど影響されないメリットがある。
②力みによるミスが減る
距離的に十分ピンまで届くと思って打てるので、気持ちにゆとりが生まれ力みがなくなる。結果、ミスショットの確率が減り確実にグリーンオン、ピンに絡む確率も高まる。
③方向性が出しやすい
ハーフショットまではいかないにしろ、振り幅を大きくしなくてよいため、ボールをコントロールして打つイメージが出しやすいので、左右のブレが少なく方向性を出しやすい。
強いて言うなら8番アイアンで軽く打つデメリットは……
軽く打つ意識が強くなりインパクトが緩んでダフりやすいこと。

インパクトが緩みやすくなるので注意
9番アイアン強く打つデメリット
強く上から打ち込みがちなため、ロフトが立ってハンドファーストのインパクトになり、打ち出しはライナー気味の弾道になる。さらにバックスピン量も増えるため、方向性を出しづらい。

勢いよく速く飛び出す
①引っかけやすい
ショートアイアンはもともとつかまりやすいため、しっかり強く振ると余計につかまり過ぎて引っかけのミスが出やすい。
②風の影響を受けやすい
シャフトが短いのでスウィング軌道がアップライトになり、さらにロフトが寝ているので強く打つとバックスピン量が増えて吹き上がりやすく、風の影響をもろに受ける。
③ダフりやすい
フルショットしない限り絶対に届かない番手を持つことで、アドレスの段階で手や腕が力みやすくなってしまう。必然的に手打ちになりダフる可能性が高まってしまう。
もしも9番アイアンで強く打ちたいなら、体の回転を重視したハンドファーストで打とう!
手元だけを目標方向に出すハンドファーストのような形を作ると、ヘッドの入射角が鋭角になり過ぎてザックリのミスを起こす原因になる。

体の回転を意識しよう
8番で軽く打つ方法①
器用な右手の感覚を積極的に利用する
GD 軽く打つと緩んでミスヒットしやすくないですか。
竹山 だから緩めるじゃなく、振り切って距離を自然に落とすのが理想です。そのために利用するのが右手のひらです。
GD どういうことですか?
竹山 ボールを下手投げするように右手首を使います。右手のひらでボールを拾って、ぺろ~んというかサラッと払う感じ(笑)。簡単に言えば、運ぶような感覚ですね。

ぺろ~んって打つ感じ(笑)
GD 右手首を使うんですか。
竹山 ボールを拾い、払い打つ感覚のインパクトが欲しいので右手首を使います。そうすると、インパクトでハンドファーストの度合いが小さくなりロフトが立ち過ぎません。イメージ的には、インパクトでグリップエンドがおへそを向く感覚ですね。極端に言えば、インパクトでロフトを寝かすように使うことで、しっかり振っても自然に距離を落とすことができるんです。
ダウンスウィングで右ひじを伸ばしていこう!
右手のひらとフェース面をリンクさせて、右手のひらでボールを拾いながら運ぶイメージでスウィング。ヘッドを加速させずにサラッと振るのが距離を落とすポイント。

右ひじを伸ばす
フェース面を右手のひらで感じよう!
右手のひらでフェース面の動きを感じる意識を持とう。インパクト前後は、右手のひらを返すのではなく、下手投げでボールを運ぶように投げる感覚で動かすとしっかり振っても距離を落とせるので緩まず振り切れる。

下手投げでボールを遠くに力強く投げようとすると、手首を使い過ぎて方向性が悪くなる。右手首や腕はゆっくり動かそう
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THANKS/太平洋クラブ六甲コース
PHOTO/Tadashi Anezaki
※週刊ゴルフダイジェスト2月4日号「8番9番 間の距離の合わせ方」より一部抜粋