「GTシリーズ」唯一のつかまり顔
ここからは実測データをもとに凄腕シングルでもある松尾氏にクラブ分析と試打レポートをしてもらいます。試打および計測ヘッドは10.0度、シャフトは「FujikuraAIR SPEEDER Next Gen」(フレックスS)です。掲載数値はすべて実測値となります。
重心設計が標準的な長さと深さに収められていることで、ミスヒットへの強さを目指した設計にはなっていない
クラブの長さが45.25インチとやや長いですが、クラブ重量が279.8グラムと非常に軽く、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが284万g・㎠に抑えられています。計測数値のみで推察すると、ドライバーのヘッドスピードが、41m/sくらいのゴルファーにとってタイミング良く振りやすくなっています。
ヘッドは全体的に丸型のシャロー形状で、横幅は『GT2』や前モデルの『TSR1』よりも広く、投影面積も大きくなっています。また「GTシリーズ」の中では最もFP(フェースプログレッション)値が小さく、グースネック風のイメージで、ボールをつかまえたい気持ちが伝わってきます。

『GT1』は顔の横幅が広く、投影面積が大きいおかげで構えた時に安心感がある
実際に試打したところ、アドレスではヘッドの投影面積が大きくて安心感があり、スクエアフェースで素直に構えやすいです。またヘッドのトウ側が低いので、ライ角の表示よりもフラット感が出ています。ヘッドの後方が高い形状なので、インパクト付近をレベルにスウィングしやすいイメージも湧きます。

ヘッドの後方が高いおかげでレベルにスウィングしやすい
試打クラブシャフトは軟らかめながらも適度なしっかり感があり、ヘッドスピードが38m/sくらいのゴルファーでも十分扱えそうです。
『GT2』や『GT3』はリアルロフト角設定が厳しく、ヘッドスピードが遅めのゴルファーにとってはボールが上がりにくい設定でした。しかし『GT1』はリアルロフト角設定が大きく、かつヘッドの重心が高重心設定でスピンが入りやすいので、パワーに自信がないゴルファーでもボールが上がりやすくなっています。
ヘッドの慣性モーメントは前モデルよりも少し小さくなっています。一方でヘッドの操作性を判断できるネック軸回りの慣性モーメントが小さくなり、操作性がアップしました。
※週刊ゴルフダイジェスト2025年4月29日号「ヘッドデータは嘘つかない!」より