
12年前、23歳当時のマキロイ
アマチュアの世界ランク1位になったのは17歳のとき。カーリーヘアにそばかすの少年はセンセーショナルな存在だった。
19歳で欧州ツアーで優勝し、21歳になる2日前に米ツアーのクエイルホロー選手権を制覇。ポストタイガーの旗手は22歳で全米オープンに勝ち、11年から14年にかけてマスターズを除く三大メジャーで4勝を挙げた。16年には初のフェデックスカップ王者のタイトルも獲得。これまで年間王者に3度(16年、19年、22年)輝いたのはマキロイだけ。その点ではタイガー・ウッズ(2度)を超えている。
しかし世間が彼に求めたのは常にメジャーでの勝利。15年以降何度もチャンスがありながらなぜか勝てなかった。17年から19年にかけメジャー5勝を挙げたブルックス・ケプカには「マキロイ? もう長いことメジャーに勝っていないし怖いとは思わない」とまで言われた。
23年の全米オープンでは最終日にスコアを伸ばせずウィンダム・クラークに1打差の2位。昨年の同大会でもサンデーバック9の14番でトップに立ちながら残り4ホールで3ボギーを叩き撃沈。デシャンボーに勝利を譲り2年連続2位に終わった。しかしそれが「マキロイを人々が応援する理由」だとジャスティン・ローズはいう。
「13番のダボもそうだけれど楽に勝てるのにどこかでミスをする。その人間臭さがファンに愛されている」
タイガーが97年にマスターズを初制覇したのを見て「いつかグリーンジャケットを着る」と誓った少年は35歳になった今年、ようやく念願を叶えた。それを受け憧れのタイガーはXにこう投稿した。
「(勝者の集う)クラブへようこそ。グランドスラムをマスターズで達成するのは特別なこと。ここまでの軌跡全てが実を結び歴史の一部になった。私はあなたを誇りに思います」
※週刊ゴルフダイジェスト2025年5月6日号「バック9」より