
ラテン系らしく陽気なカブレラ(写真は2006年全米オープン)
荒天のため月曜日決着となった前週のメジャー初戦「リージョンズトラディション」でトロフィを掲げたばかりのカブレラがそのわずか7日後、今度は全米プロシニア選手権を制覇。ここ7週間で3勝の偉業を成し遂げた。
米シニアツアーに常駐する藤田寛之、国内シニアツアーの昨年の賞金王・宮本勝昌らが予選落ちし、日本勢で唯一決勝ラウンドに進んだ片山晋呉が16打差の51位タイに終わった大会で、全米オープン&マスターズ、2つのメジャーホルダーであるカブレラが本領を発揮した。
「感情が込み上げてきました。ツアーでもっともタフなコングレッショナルCCで勝てたのが嬉しい」と感無量。今年4月に10年9カ月ぶりの優勝を果たしたカブレラは19年にシニア入りしたが、その後の人生は波乱に満ちたものだった。
複数の女性に対する暴行の罪で禁錮刑を言い渡され23年8月に30カ月の刑期を終えるまで塀の中で過ごしてきた。昨年再び出場権を回復し、今年出場した8試合でメジャー2勝を含む3勝を挙げた。
今季同ツアーで3勝を挙げたのはカブレラだけだ。ブランクを経て復帰したときには「しばらくクラブに触れていなかったので、上手くいくとは思っていませんでした。絶対失敗するだろうと。でも本当に一生懸命練習してその努力が報われたことを誇りに思います」と語っていたカブレラだが、今回の快挙に「みなさんには想像できないと思いますが、これまで経験してきたことを考えると、とても感慨深いです。ここまで来たことが信じられない。この場に居るだけで、とても幸せです」と喜びを表した。
最終日はパドレイグ・ハリントンが14ホールで7バーディを奪う猛攻でカブレラを追撃したが15番で痛恨のダボ。18番では1メートルを外してボギーを叩き、トーマス・ビヨーンと並び1打差の2位タイに終わり「過信してミスが出た」と悔しがった。
※週刊ゴルフダイジェスト2025年6月17日号「バック9」より