
解説/服部公翼プロ
1983年生まれ。USGTF公認ティーチングプロ。ゴルフの専門学校を卒業後、オーストラリアにゴルフ留学。独自の飛距離アップ法をベースに飛ばしの理論を展開。飛距離に特化したレッスンで人気を集める。自身も300Yを超えるショットを放つ
飛距離よりも方向性を重視。「真っすぐ打つ」を徹底しよう
「ライナーボール」で最もイメージしやすいのがタイガー・ウッズの武器、スティンガーショットだろう。アイアンを使った超低空ボールだが、どうしてライナーボールを身につけるべきなのか? 服部公翼プロは、「まずはスコアから考えていきましょう。すべてボギーで回ればスコアは90です。その中で1個パーがくれば、80台は達成です。つまりボギーペースで回ることがひとつの目安になります。
通常のラウンドはパーオンを意識するかもしれませんが、パー4は3オンでいいです。グリーン上でパーパットが打てることを最優先します。するとすべてのホールをボギーオンで考えられるので、飛距離はそれほど重要じゃなくなります。大切なのは『狙ったところにボールを打つ』ことです。真っすぐ打つという方向性こそが大事で、そのためのスウィングが、ライナーボールの習得にあるんです」。

タイガー・ウッズの代名詞スティンガーショット。「タイガーが全英オープンで多用するスティンガーショットは方向性がいいだけでなく、風の影響を受けにくい、着弾が早く大ケガしづらいなど、実戦でもメリットが多いです」
服部プロはライナーボールを練習することで、さまざまなメリットが得られるという。
「ライナーボールを打つためには、インパクト時のフェース面が重要になります。このフェース面の管理は手元がヘッドより先行した状態、ハンドファーストが前提になります。手元をヘッドが追い越した時点でフェース面は変わってしまうからです。ハンドファーストはショットの基本です。いかにフェースをスクエアに保てるか。これが方向性アップにつながります。
多くのアマチュアは『すくい打ち』の傾向が強いです。こういったスウィングでは、ライナーボールは打てないはずです。どうすれば低く打てるのか? その練習を続けていけば、自然にハンドファーストなインパクトになりますし、ボールを下からではなく、上からとらえられるようになります。ライナーボールはいいことばかりです。高い球よりまずは低い球です。高さを抑えた、真っすぐな球筋を徹底的に磨きましょう」
80台を出すキーワード①
ボギーオンでOK方向性を優先しよう
「ボギーペースで回れれば、80台は難しくありません。このときパーオンではなく、ボギーオンを目指します。飛ばす必要がなくなれば、方向性も整います」(服部プロ・以下同)

いつもボギーオン狙いでいい
80台を出すキーワード②
方向性重視なら「ライナーボール」を練習しよう
「アマチュアのすくい打ちはボールを高く上げたいからです。インパクトにおける、すくう動きはミスにしかなりません。ライナーボールを練習すれば、こういったエラー動作は激減していくはずです」

手を返すほどフェース面が変わり大きく曲がる
ライナーボールを手に入れる①セットアップ
ここからはライナーボールを打つためのノウハウを教えてもらおう。服部プロによると、
「ライナーボールを打つ最初のステップは、セットアップです。まずはボールを右寄りに置きます。基本的にボールは右にあるほど、ヘッドが上から入る、つまりロフトが立つので打ち出しを低くできます。逆に左に置けば、打ち出しは高くなります。右にボールを置くと右に飛びやすいので、スタンスはオープンにし、左に振り抜きやすくさせます。このオープンスタンスは、ボールを右に置く要素があるので、ボールの高さを抑えられ、手の返しも防げます。あとは、クラブを短く持つことです。このとき、いつもよりしっかりめに握っていいです。力むほどではないですが、キュッと締まりのあるグリップを意識してください。そうすれば、フェース面もブレにくくなります。
このセットアップができれば、低く真っすぐな打ち出しが可能になります。ボクのイメージは、野球のバントです。バントするようにフェース面を変えないままインパクトする感じです。低いボールはパンチショットを思い浮かべるかもしれないですが、パンチショットは止める動作が入るので、おすすめしません。当てて終わり、当てて止める、という動きはフェース面が急激に変化しやすいのです。バントのように少し押し出すようなイメージのほうが、フェース面も変わらないはずです」。

ライナーボール:「低く真っすぐ打ち出すことが大事なので、ボールは右寄りに置き、スタンスは少し狭めてオープンに。スウィング軸も安定します」。通常のアドレス:「ターゲットに対してスクエアスタンス。ボールはセンターに置き、ややハンドファースト」
アドレス 3つのポイント
ポイント① 短く持つ
「短く持つほど、シフトのしなりは少なくなり、フェース面のブレを抑えられます。シャフトのしなり(ヘッドの挙動)を抑えるのがライナーボールを打つ、コツのひとつ」

短く持つ
ポイント② グリップはしっかり握る
「ライナーボールを打つうえで大切なのが、フェース面を安定させることです。ですので、グリップはいつもよりしっかり握っていいです。グリップが弱いとフェース面がズレやすいです」
ポイント③ 軸1本で回るイメージ
「ライナーボールは飛ばす打ち方ではありません。バントのように確実にミートさせることが大事。体重移動は意識せず、1本の軸で体を回すイメージを持ちます。そのためにもスタンスは少し狭いほうが合います」

軸で回る
▶シャフトのしなりは封印せよ!誰でも打てる方向性重視のライナースウイングの”4ステップ”
PHOTO/Hiroaki Arihara、Tadashi Anezaki、Yasuo Masuda
THANKS/オークラランドゴルフ練習場
※週刊ゴルフダイジェスト7月15日号「ライナーボールを手に入れよう」より一部抜粋