来年のプレジデンツカップ会場メダイナCCがコースの大改修を完了。シカゴの名門クラブ・メダイナの日本人メンバーに改修の経緯と内容について聞いてみた。

米国選抜チームと世界選抜(欧州を除く)チームが戦うプレジデンツカップは来年9月に開催予定。1年以上先の大会を話題にするのは気が早いと感じるかもしれないが、その会場となるメダイナCCは本大会に向け時間をかけて大改修を行っていた。

メダイナCCは米国イリノイ州シカゴ近郊のメンバーシップクラブで、1924年開場、過去に全米オープン3回、全米プロ2回開催、2012年にはライダーカップの舞台にもなった。2020年に今大会の会場に決まった後、大改修のプランが動き出したという。メダイナの日本人メンバーで、今回のプレジデンツカップでホスピタリティコミッティを務める、岸岡慎一郎さんに聞いた。

「メダイナには3つの18ホールがありますが、今大会を含めてメジャー競技などを開催するのは“ナンバー3”コースです。樹木の伐採や従来の灌漑(かんがい)設備の撤去を開始し、ナンバー3を閉鎖したのが2023年秋でした。“開放的で日々違う顔を持つようなダイナミックなコース”をコンセプトに掲げ、その改修担当には、なんと今回のプレジデンツカップのキャプテンとなったオーストラリアのジェフ・オギルビープロが就きました」

オギルビーは2006年全米オープンのチャンピオン。現在48歳で“OCM”というコース設計チームを主宰している。OCMとは共同運営する3人のディレクター(オギルビー、M・コッキング氏、A・ミード氏)の頭文字。今回の大改修もオギルビーが中心となり、OCMチームが行った。

「40マイル超(約60キロ)の排水システムを新導入して“ナンバー3”の敷地自体を拡張、18ホール全体でグリーンは87%、ティーイングエリアは68%、フェアウェイは157%、バンカーは116%面積が広がり、反対に打ちやすいセミラフ区域は71%減少しています。1年半かけて今春に完成、5月にオープンしたばかりです。早速プレーしましたが、四苦八苦の超モンスターコースに変貌していました」

改修費用は2350万ドル、日本円で約34億円とのこと。

「コースは開放的なオープンエリアが増えましたが、選択するティーによって攻め方が多様に広がり、想像力が試される印象です。来年のプレジデンツカップでは、左サイドにクラシックな木製の柵(フェンス)が続くシグネチャーホールでもある5番パー5をスタートホールに想定。こういった大胆なアイデアにもびっくりして自ずと期待が高まっています」

画像: 改修を終えたメダイナCC No.3コース(7564Y・P72)。写真の5番パー5は左サイドに延々続く木の柵が新設された。柵から出たらOB。大会ではこの5番がスタートホールになるという

改修を終えたメダイナCC No.3コース(7564Y・P72)。写真の5番パー5は左サイドに延々続く木の柵が新設された。柵から出たらOB。大会ではこの5番がスタートホールになるという

この5番ホールについて岸岡さんは、「左サイドのフェンス寄りに精度よく打てると、グリーンへのパーオン、2オンも狙いやすいのですが、安全策をとってフェンスから離れると難しいバンカー越えとなります。バンカー自体も以前とは深さ、角度、砂質が違ってプレッシャーが掛かります。5番だけでなく、複数ホールにこのようなフェンスが絡んできます」。木の柵をフェアウェイにほど近いラフエリアに敢えて立てたのは、線路やレンガ塀がフェアウェイに迫るホールがある、スコットランドのオールドリンクスへのオマージュでもあるようだ。

画像: メダイナCCのクラブハウス。会場になるNo.3のほかNo.1、No.2と3つの18ホール、ゴルフラーニングセンター、スイミングプール、テニスコート、射撃場などを持つメンバーシップ。プライベートクラブ業界誌のBoard Room誌による世界プラチナ5スタープライべートコース賞にも選ばれている

メダイナCCのクラブハウス。会場になるNo.3のほかNo.1、No.2と3つの18ホール、ゴルフラーニングセンター、スイミングプール、テニスコート、射撃場などを持つメンバーシップ。プライベートクラブ業界誌のBoard Room誌による世界プラチナ5スタープライべートコース賞にも選ばれている

大改修を終えたメダイナCCのナンバー3コースは、2024年末の米国ゴルフダイジェスト誌で“トランスフォーメーション(変革)・オブ・ザ・イヤー”を受賞、また、同誌の2025₋2026年米国内コースランキングでは、前回の93位から74位にランクアップした。

画像: 4月末に行われたプレジデンツカップ2026のミーティングでは、コース改修を行ったG・オギルビーが登壇(左から2人目)

4月末に行われたプレジデンツカップ2026のミーティングでは、コース改修を行ったG・オギルビーが登壇(左から2人目)

今後、コース改修担当者にして世界選抜チームのキャプテンでもあるオギルビーのインタビューが実現したら、本欄でお伝えしたい。

大熱戦だった2024年プレジデンツカップ記事はこちら↓

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