教えてくれた人/パッティング専門の平田智コーチ

平田智パッティング専門コーチ(左)右は菅楓華
エンジョイゴルフ ゴルフスタジオ&パッティングラボラトリー福岡でツアープロからアマチュアまで教える。女子プロの菅楓華や昨年、アマチュアでステップ・アップ・ツアーを制し、プロテストに合格した都玲華を教える。
距離感を磨くために“手で転がす”
パッティングにおいてスコアを左右する大きな要素の一つが距離感です。ラインを完璧に読んで方向性が合っていたとしても、距離感が合っていなければボールはカップの手前で止まるか、勢いよく通り過ぎてしまいます。特に3パットが多いゴルファーは、方向性よりも距離感に課題を抱えているケースが多いのです。
距離感とは単にどれくらい強く打つかという力加減だけではありません。グリーンの速さや傾斜、その日の芝の状態、さらには打ち出す前に頭の中で描く「転がりのイメージ」も大きく影響します。イメージを持つことで身体の動きが自然と調整され、より繊細なタッチが可能になるのです。
しかし、多くのアマチュアゴルファーはこの「転がるイメージ」を持たないままストロークに入ってしまいます。その結果として、打つ強さが毎回バラバラになり、距離感が安定しません。これを改善するためには、視覚と感覚を結びつけるトレーニングが効果的です。
そこでおすすめしたいのがボールをパターではなく手で転がすという練習法です。とてもシンプルですが、非常に感覚的な距離感トレーニングとして効果があります。

ターゲットを決め、手で転がすことで視覚と感覚を結びつける
練習方法
①練習グリーンでカップや目印を決めます(距離は2〜5メートルほど)
②パターを使わず、利き手でゴルフボールを目標に向けて転がす(投げるではなく床に転がします)
③このくらい転がれば届くはずというイメージをしっかり持ってから、手でやさしく転がす
④実際に届いたか、ショートしたか、強すぎたかを確認しながら、何度も繰り返す
⑤慣れてきたら距離を変えたり上り下りなどバリエーションを増やして行う
この練習のポイントは、見る → イメージする → 実行する →結果を確認する。という一連の流れを体験できることです。これはパットでもまったく同じプロセスで、違うのは道具(パター)を使うか、手で転がすかだけです。
特にジュニアや初心者、距離感に不安がある人にとっては、自分の感覚と実際の転がりを一致させるこの方法は、無意識レベルで距離感を養うのにぴったりの練習法です。
パット練習というと、どうしてもクラブを握って打つことばかりに意識がいきがちですが、「感じる」「イメージする」ことのトレーニングも同じくらい重要です。パットの上達には、自分の体の中に正しい距離感の感覚を蓄積することが近道ですので、その第一歩として、ぜひ手でボールを転がす練習を取り入れてみてください。
文/平田智(パッティング専門コーチ)
取材協力/エンジョイゴルフ福岡