動画で確認!
- YouTube
youtu.be
ヘッドはブリヂストン『BX1 LS』(9度)、シャフトはメーカー純正『VENTUS BS6Ⅱ』(Flex S)。
まず、今回の試打クラブ『BX1 LS』の特長やスペックを小島プロがレクチャーする。
「メーカー発の謳い文句は、低スピンの高初速モデルになります。構造的には、ヘッドのたわみを抑制し強弾道を生み出すスパインスタビライザーをクラウン・ソールに搭載。2つの可変ウェイトは、それぞれ周辺部のウェイパーツ部分と中心のスクリュー部分が分離するので、4パターンの弾道調整が可能。初期設定では、トウ側のウェイトパーツが6グラム、アルミスクリューが2グラム、ヒール側のウェイトパーツが4グラム、タングステンスクリューが8グラムとなっています。フェース面に施された『スリップレス バイトミーリング』で球をつかまえてくれる。2023年発売の『B1 LS』の形状を踏襲しつつ左に行くイメージを抑制しているということです」
次に、見た目の印象などに関して二人が意見を出し合った。
癸生川: 見た目は、きれいなヘッドで真っすぐ構えられる。でも逃げ顔ではないから、球が右に出そうな見え方ではないですね。
小島: 僕は、その強そうなヘッドに、しなる純正のSシャフトでいいのかという思いはあります。
癸生川: シャフトが緩いってこと?
小島: そうですね。ただ、軟らかいシャフトはスウィングを良くする効果もあるので、どういう“化学反応”が生まれるかもわからないから。もしかしたらシャフトのしなりを生かす時代になっているのかもしれないし、僕の先入観が時代遅れかもしれないですが。
ということで今回の試打のテーマの一つとして、『低スピンヘッド』と『しなるシャフト』の組み合わせのパフォーマンスの良し悪しに関しても考察していく。試打で使うボールはタイトリスト『PRO V1』。
では試打開始!
■HS47m/s前後で打ってみる
【トラックマン4のデータ】
クラブスピード●47.3m/s
ボール初速●70.2m/s
打ち出し角●9.6度
スピン量●2367rpm
降下角●26.6度キャリー●251.5Y
飛距離●292.2Y
打ち出し方向●1.5度左
スピンアクシス●0.4度左
SIDE●5.9度左
【GCクワッドのデータ】
Hインパクト●8ミリトウ
Vインパクト●3ミリ低

HS47m/s前後でセンターヒットしたときのトラックマン4(上)とGCクワッド(下)のデータ
打感や弾道を見ての二人の感想は?
癸生川: ロフト角が8度や7度のクラブで打ってるような球の高さの強弾道ですね。
小島: 今、クラブスピード47.7m/sです(当初は45m/s前後で打つ予定)。
癸生川: 多分、ヘッドの見た目で『振らなきゃ!』って思っちゃった。
小島: もう試打終了です。
癸生川: えっ!これで正解。
小島: だって、球が低い。これ以上遅いスピードだと球が上がりきらない。
癸生川: クラブが上から入っているのかな。
小島: 多少、その傾向はあります。アタックアングルはマイナス1.6度です。ダウンスウィングでのシャフトのしなり過ぎで、インパクトでのしなり戻り間に合わない状態で当たっているからアタックが少し上から入っていると思います。検証テーマのひとつである「強いヘッド」に、「しなるシャフト」はマッチしますか?
癸生川: 振っていてシャフトが急激にしなるとか遅れるとか、そういうのはないです。だから合っているといえば合っている。
小島: アッパーに入って悩んでいる人なんかは、軟らかいシャフトにするのもありと思います。さっき言ったようにヘッドとシャフトのマッチングも、スピードで選ぶ時代じゃなく、シャフトのしなりで選ぶ時代になってきたということかもしれないですね。
▼小島プロの弾道分析
打ち出しの高さが9.6度、スピン量が2367rpm、落下の角度が26.6度。球は低いです。落下の角度が30度を下回ってますからね。左に1.5度飛び出して、アクシスが左に0.4度傾くほぼ真っすぐの弾道で、5.9ヤード左に着弾しました。
小島プロが「これ以上スピードを落としても(球が上がらなさそうなので)意味がないので、次の試打に行きましょうか」と、最適スピード帯の検証は47m/sで終了との提案をするも、みんゴル編集長から「ちょっと待った! 」の一言が。「HS47m/sって、一般のアマチュアではほぼいない。この『強いヘッド』と『しなるシャフト』の組み合わせのドライバーって、一般アマのどういう人が使えるのかっていうのが知りたいんですけど」というのが編集サイドの要望だ。
そこで、一般アマのハードヒッターが到達可能範囲内のクラブスピード45m/s前後で打ってみることに。
■HS45m/s前後で打ってみた
【トラックマン4のデータ】
クラブスピード●44.7m/s
ボール初速●66.6m/s
打ち出し角●11.0度
スピン量●2397rpm
降下角●28.4度
キャリー●237.5Y
飛距離●274.7Y
打ち出し方向●0.3度左
スピンアクシス●0.9度右
SIDE●1.9Y左
【GCクワッドのデータ】
Hインパクト●7ミリトウ
Vインパクト●3ミリ低

HS45m/s前後でセンターヒットしたときのトラックマン4(上)とGCクワッド(下)のデータ
▼小島プロのデータ分析
打ち出しの高さが11度、スピン量が2397rpm、落下の角度が28.4度です。入射角が先ほどのマイナス1.6度から0.6度に変わったので、気持ち球は上がりまたね。これは先ほどよりもシャフトが適正にしなっているんだと思います。でも落下の角度は30度を下回っているのでかなり低いです。左に0.3度打ち出して、アクシスが0.9度右に傾き、1.9ヤード左に着弾したほぼストレートの弾道です。HS47m/sでもHS45m/sでも、ほぼ同じようなフェースのセンターでヒットして、弾道もほぼ同じような真っすぐな球が打てるということは操作しやすいクラブと言っていい。
試打の結果、HS47m/sの時よりもHS45m/sで打った時のほうが、わずかではあるが球の上がりが良くなった。これで、適正スピード帯は45m/s前後にまで引き下げられたことになる。この結果をもたらしたのは小島プロが言うように、そのスピード帯に応じたシャフトの適正なしなりを生み出す操作性の良さによるものと思われる。ハードな印象を受ける『強いヘッド』のこのクラブだが、操作性の良さという一般アマチュアにとってうれしい特性を持ち合わせていることも分かった。
■結論

試打を担当した癸生川喜弘プロ(左)、データ分析を担当した小島慶太プロ(右)
今回試打をしたブリヂストン『BX1 LS』を、二人がおすすめのゴルファーとは。
癸生川: スピン量が少なくて、強弾道の強い球が出るクラブなので、特にスピン量が多くて悩んでいる人にはお勧めです。あと、操作性が良いクラブなので、ドライバーで球を曲げたり操ることが好きな人にも向くクラブだと思います。
小島: ティーショットで球の上がりすぎで悩んでいるプレーヤーに合うと思います。あと、ヒールに当たりにくいクラブだという印象が強いので、ヒールに当たることが多くて悩んでいる人は試してみるといいと思います。
みんなのゴルフダイジェストYouTube「みんゴル試打班ガチギアトラック」では、ブリヂストン『BX1 LS』のオフセンターヒットによる寛容性のチェックなどのより深い性能チェックもやっているので、詳しく知りたいという人はそちらもぜひご視聴を。
▶『BX1 LS』の寛容性は? HS45m/sでトウ&ヒールズレ検証を実施!