『刻み』・『ワンオン』それぞれの選択肢に潜んだ巧妙な罠

1打目がどこに落ちたのかを示す『ショットリンク』、本日ワンオンした選手は2人はミンウー・リー、アルドリック・ポトギーターの2人(提供:PGAツアー公式)
平均飛距離300ヤードを超えるPGAトップ選手たちが集結する『ベイカレント C レクサス』の2日目、ミンウー・リーやアルドリック・ポトギータ―がワンオンに成功するなど、一見バーディ量産のチャンスに見える344ヤードのパー4、13番ホールに巧妙な罠が仕掛けられていた。ちなみに、初日は3つのイーグル、26個のバーディ、37個のパー、8個のボギー、4つのダブルボギーという結果だった。
このホールの難しさは、ピンを頂点とした馬の背のようなアンジュレーションのグリーン。それを囲むように配置されたバンカーが選手にプレッシャーを与える。初日はグリーンセンターの奥だったピン位置が、左奥に設定されたことで難易度が増したセッティングに変わっていた。
刻んでも、攻めても逃れられない罠

木の枝がピン方向に出ているため、木に当たらないショットが必要になる
また、フェアウェイの真ん中に木が配置され、ワンオン可能な距離だが、選手たちはそのアグレッシブな攻めと慎重な刻みのどちらを選んでも、簡単にはチャンスにつけられない状況に陥った。
安全に刻んだつもりでも、セカンドショットでスピンコントロールをミスすれば、左バンカー越えの難しいアプローチが残る。さらに、フェアウェイ中央の木と前足上がりのライが立ちはだかり、グリーンを狙う精度を大きく狂わせる。
ドライバーでグリーン付近までボールを運んだ場合は、飛距離を稼いで残り50ヤード前後につけても、グリーンのアンジュレーションとピン位置が相まって、スピンバックしすぎてグリーンからこぼれてしまう選手も多くみられた。
この2日目、誰もイーグルを取ったものはいなかったことからも、このホールの難しさが際立っている。また、全体で見ると明らかにバーディが多くボギーが少ないが、“サービスホール”ともいえるこのホールでボギーとなった選手の精神面は、恐らく大きなダメージを受けているだろう。

カート道より奥のほぼOBのような場所に入り、残り80ヤードとは思えないヘッドスピードでレイアップ
ある選手のティーショットは、フック気味に引っかけてしまい、カート道を越えた反対側の茂みの中へ。上には松の木、極端なつま先下がり、そして芝が長いという三重苦のピンチに陥った。しかし、こうした厳しい状況こそ、世界トップレベルの技術が試される瞬間だ。
ひざ下くらいまであるラフ、そしてピン方向には木々がそびえ立ち、おまけに前足上がりという罰ゲームの様な状況だが、どっしりと構え勢いよく振り抜いたところ前の木を飛び越えて無事脱出に成功。こういったトラブルからのスーパーショットもツアーの醍醐味だ。
ギャラリーは、果敢にドライバーでワンオンを狙う選手たちのド迫力なドライバーショットに熱狂。ワンオンを期待するギャラリーを沸かせたショットは、このタフな横浜CCを舞台にレベルの違いをまざまざと見せつけた。
3日目は、単独首位のマックス・グレイサーマンを追うトップグループによる激しい争いが予想される。特に、松山英樹や金谷拓実といった実力者が上位でどこまでスコアを伸ばせるか、そしてトップ10に入った比嘉一貴がPGAトッププレーヤーたちを相手にどこまで粘りを見せられるかに注目が集まる。週末の熱い戦いは見逃せない!
撮影/有原裕晶