最終日に向けてコーススタッツを分析。トーナメントの勝敗を分ける最も簡単な2ホールと最も難しい2ホールを、PGAツアー公式サイト内“ショットリンク”を参照し、みんゴル的注目ホールを考えてみた。
バーディ必須の「稼ぎどころ」:簡単な2ホール
これらのホールでボギー以下のスコアを記録することは、優勝を目指す選手にとって『取りこぼし』を意味するだろう。全ラウンドのスコア、ショット記録を分析したところ、ボギー以下のスコアは2ホール合わせて25人という結果に。
- 最も簡単なホール:6番ホール (Par 5)
パー 5
529ヤード
Par 5としては比較的短い

3日目の6番ホール、4打目開始地点の状況(引用:PGAツアー公式)
平均スコア 4.346。パーを0.654打下回り、難易度ランク18位 (全ホール中最下位) の6番ホールは、全ホールで最も難易度が低い『バーディ率No.1ホール』だ。平均スコアが4.346ということは、ほとんどの選手がセカンドショットでグリーンを狙えることを意味している。このホールでバーディは、上位に入るための“最低条件”と言えるだろう。
3日間でボギー以下を記録したのはわずか5人。バーディが140人、イーグルが9人という結果だった。通算9アンダーのマイケル・ソービヨンセン(米国)は、3日目に当ホールを含む3連続バーディ(4番~6番)を奪取するなど 、この“稼ぎどころ”で着実にスコアを伸ばしている。
- 2番目に簡単なホール:4番ホール (Par 5)
パー 5
536ヤード
Par 5としては比較的短い

3日目の4番ホール、4打目開始地点の状況(引用:PGAツアー公式)
続いては平均スコア 4.526。パーを0.474打下回る難易度ランク17位の4番ホール。4番ホールも6番ホールに次いでやさしいホールであり、この2つのパー5で確実にバーディを重ねることがスコアメイクのベースとなるだろう。
3日間、4番ホールでボギー以下を記録したのはわずか20人(ダブルボギー以上5人)。バーディが122人、イーグルが7人と比較的バーディが計算できるホールとなっている。通算9アンダーのアン・ビョンフンや通算12アンダーのザンダー・シャウフェレらも3日目でバーディを奪取しており、このホールの攻略に成功し上位争いに加勢している。
忍耐とマネジメントが試される「難関の壁」:難しい2ホール
これらのホールはバーディを期待するよりも、いかにパーで耐え凌ぐか、ボギーを回避するかが重要だ。同様に3日間すべてのプレー記録を分析。
- 最も難しいホール:14番ホール (Par 4)
パー 4
508ヤード
Par 4としては非常に長い

3日目の14番ホール、2打目開始地点の状況(引用:PGAツアー公式)
平均スコア4.410、パーを0.410打上回る難易度ランク1位 (全ホール中トップ) の最難関ホールだ。
このコースの最大の難敵は、508ヤード(3日目)という異例の長さを持つパー4 。平均スコアが4.410というデータは、このホールでボギーを打つ選手が圧倒的に多いことを示しており、パーセーブができた選手が大きなアドバンテージを得られることになる。
3日間でパーセーブを記録したのは129人と意外にも平均的な数値だが、バーディ率を見ると18人のみとなっている。そしてボギーは67人、ダブルボギー以上は20人。3位タイにいる7人中4名がボギーを記録しているため、上位選手も気を抜けないホールであることが裏付けられている。
- 2番目に難しいホール:11番ホール (Par4)
パー 4
510ヤード
Par 4としては非常に長い

3日目の11番ホール、2打目開始地点の状況、2オンしている選手は僅か4人程度となった(引用:PGAツアー公式)
平均スコア 4.265、パーを0.265打上回る難易度ランク2位のホールは、510ヤードという長距離のパー4で正確性と飛距離の両方を要求する難ホール。
3日間でパーセーブを記録したのは156人。ボギーは46人、ダブルボギー以上は16人。3日目は首位タイのマックス・グレイサーマン、ザンダー・シャウフェレもボギーを記録、この長いパー4の難しさが上位選手にも及んでいることが確認できる。
優勝争いの鍵は「メリハリ」と「終盤の難関」?
データでひも解いた結果、『ベイカレント C レクサス』の優勝争いは、ハッキリとした『攻めと守り』によって決することが明らかになったのではないだろうか。
バーディ必須のパー5(6番、4番)では、プレーヤーの多くがバーディ以上を記録しており、ここでスコアを伸ばせない選手は上位争いが難しくなるだろう。一方で、難易度トップの2ホール(14番、11番)ではバーディ率がかなり低いことから、パーセーブこそが真のスコアアップになるかもしれない。
500ヤード超えのこの11番ホールを序盤に通過する時点で、どれだけパーで耐え抜けるかが、インコースでの流れを決定づけそうだ。首位タイのマックス・グレイサーマンやザンダー・シャウフェレさえもボギーを記録しているこのホールで、いかに最小限のダメージで切り抜けられるかがカギとなる。
もうひとつの難所として立ちはだかる14番は、500ヤード超えという長距離と難易度1位のプレッシャーが選手に重くのしかかる。最終組の選手は、このタフなパー4をパーでセーブし、比較的難易度の低いホールで勝負をかけるという、リスクを抑えたマネジメントが要求される。
横浜CCの設計は、距離の短いパー5でスコアを伸ばしつつ、タフなパー4でミスを誘うという、世界トップレベルに相応しいコースセッティングとなっている。このコースの『二面性』を最も上手くコントロールした選手こそが、『ベイカレント C レクサス』の栄冠をつかむことになりそうだ。