「カップに届かずにショートする」ミスを改善するには「距離感の逆算が必要」だという。年間女王を狙う佐久間朱莉や初優勝を飾った菅楓華らを指導する平田智コーチに教えてもらおう。

教えてくれた人/パッティング専門の平田智コーチ

画像: 平田智パッティング専門コーチ(左)右は菅楓華

平田智パッティング専門コーチ(左)右は菅楓華

エンジョイゴルフ ゴルフスタジオ&パッティングラボラトリー福岡でツアープロからアマチュアまで教える。初優勝を挙げた菅楓華や昨年、アマチュアでステップ・アップ・ツアーを制し、プロテストに合格した都玲華を教える。

届かせることでショートを防ぐ

「距離感の逆算」:カップの先を狙って打つ発想

パッティングで最も多いミスの一つが「ショートすること」です。カップに届かずに止まってしまうと、どんなに正確なライン読みをしても入ることはありません。多くのゴルファーは“カップに合わせる”意識が強すぎて、ストロークが弱くなりがちです。ここで意識したいのが「距離感の逆算」、つまり「カップの先を狙う」発想です。

画像: カップの先30センチの距離感で打つ意識を持つことで届かないショートを改善する

カップの先30センチの距離感で打つ意識を持つことで届かないショートを改善する

プロや上級者の多くは、「カップの奥30cm〜50cmに止まるイメージ」で打っています。これにはいくつかの理由があります。

まず、わずかにオーバー目のタッチの方が、芝目や傾斜の影響を受けにくいこと。スピードがある分、ラインが直線的に保たれ、微妙なブレに負けません。逆にショートするパットは、スピードが足りずに曲がりやすく、狙ったラインを外れてしまうのです。

また、「カップの先」を目標にすることで、無意識に“届かせよう”というスウィングリズムが生まれます。ストローク全体のテンポも安定し、インパクトで緩むことが減ります。特にプレッシャー下では、手が止まりやすくなるため、「カップイン」ではなく「カップの先」をイメージすることで、心理的なブレーキを防げます。

もう一つ、「距離感の逆算」が明確になることも大きなメリットです。

例えば3mのパットを打つときに何となく、この3mを入れようではなく、“3.3m転がすつもり”で打つと、目標までに必要なエネルギー量を自然と体が覚えます。これが繰り返されることで、距離の再現性が高まります。カップをゴールにするのではなく、「ゴールの少し先」に設定する。この意識のズレが、結果としてパット成功率を上げるのです。

練習ドリル:「逆算ターゲット練習」

①パターマットや練習グリーンで、カップの“30cm奥”にコインやティを置く
②その奥の目標物に「止める」つもりで打つ
③ボールがカップを超えて30cm以内で止まれば成功

このドリルのポイントは、“入れる”ことを目的にしないこと。あくまで「奥に届かせる距離感」を磨く練習です。慣れてきたら、距離を変えても良いでしょう。5m、7mと伸ばしても、「カップの先を狙う」発想は共通。常に“少しだけオーバー”を意識することで、ストロークの強弱感覚が研ぎ澄まされていきます。

文/平田智(パッティング専門コーチ) 
取材協力/エンジョイゴルフ福岡

※2025年11月22日 11時9分、内容を一部修正しました。

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