「週刊ゴルフダイジェスト」や「みんなのゴルフダイジェスト」で障害者ゴルフの取材記事を執筆してきたベテラン編集者が、日本だけでなく世界にアンテナを巡らせ、障害者ゴルフのさまざまな情報を紹介する連載。今回は、「グリコパラゴルフ選手権について」ご紹介。

3月31日・4月1日、日本障害者ゴルフ協会主催の「第3回グリコパラゴルフ選手権」がよみうりカントリークラブ(兵庫県)で開催されました。

協会代表の松田治子さんによると、「初日に大雨警報が出ており中止も考えましたが、当日のスタート時は雨が降っておらず無事スタートしました。風が強かったのですが大雨にはならず全員18ホールを貫徹しました。2日目は肌寒く小雨がパラつく1日でしたが18ホールをプレーし、世界ランキング対象試合の36ホールは消化しました。出場者は48人。チェコから4名、韓国から6名、香港から2名の参加があり、海外選手の数が増え、国際色豊かな大会となりました」。

画像: 満開の桜の前で。とにかく明るいチェコの四銃士。左からミロ、フランク、デビット、ルクス。日本でお寿司やラーメン、和牛ステーキも堪能し、「また、日本に必ず来たいです」と笑顔を見せた

満開の桜の前で。とにかく明るいチェコの四銃士。左からミロ、フランク、デビット、ルクス。日本でお寿司やラーメン、和牛ステーキも堪能し、「また、日本に必ず来たいです」と笑顔を見せた

本大会は世界障害者ゴルフランキング(G4D)対象試合でもあり多くの海外選手が参戦。選手たちの声をお届けします。

3月のワールドベースボールクラシック(WBC)でその戦いぶりと“日本野球愛”が話題になったチェコからは、4人の選手が参加しました。

画像: グロスの部の優勝は昨年に続き韓国のサイモン・リー(知的障害)。今年も76・68でラウンドし貫禄の優勝。目指すは常に世界一!

グロスの部の優勝は昨年に続き韓国のサイモン・リー(知的障害)。今年も76・68でラウンドし貫禄の優勝。目指すは常に世界一!

昨年に続き2度目の挑戦となったデビット・セルナーさん(52歳・HC21・ゴルフ歴8年)。実は彼が「日本の大会は素晴らしい、世界一だ!」と仲間に声をかけたのだそうです。子どもの頃からスポーツが好きで、いろいろなスポーツをしていたそうですが、大人になり強直性脊椎炎(AS)を発症、ほとんどのスポーツを諦めざるを得ない環境のなか、「ゴルフならできるのではないか」と思い自宅近くの練習場に行ったところ、よいインストラクターに出会ったことがゴルフにハマったきっかけです。「ゴルフをやるのは夢でしたし、国際的なスポーツなところも魅力です」と話します。

ルクス・ファビアナックさん(38歳・HC19.06・ゴルフ歴3年・右大腿切断)は、ゴルフをすることが夢でゴルフを始め、日本文化が好きで今回来日したとのこと。「ゴルフの魅力はリラックスできて自然と親しめることです」。

画像: ネットの部の優勝は、95・93(HC19)でラウンドした中島早千香さん(上肢障害)。最近メキメキと上達しており、“のびしろ”はまだまだある

ネットの部の優勝は、95・93(HC19)でラウンドした中島早千香さん(上肢障害)。最近メキメキと上達しており、“のびしろ”はまだまだある

ミロ・パルモさん(49歳・HC23.6・ゴルフ歴6年・右大腿切断)は、日本企業に勤務しており(住友系の会社)、アメリカ赴任中にゴルフを覚え、日本人の友だちも多いので一度日本に来てみたかったそうです。「ゴルフは国際的なスポーツでいろいろなところに行けることが魅力です」。

フランク・ビッカムさん(54歳・HC23・ゴルフ歴10年。疾病による右足機能不全)はアイスホッケー経験者。スティックの形がゴルフクラブに似ていたので親しみを感じゴルフを始めたとか。「コンペティションが好き、仲間とビールを賭けたプレーをするのが楽しいです」と笑う。

試合についての感想は「素晴らしい」「大会の運営もいい」「スタッフの笑顔がよく親切」、ゴルフ場についても「コースもグリーンもメンテナンスがよい」「コースがよく、いろいろな国の大会に参加していますが日本の大会はハイレベルです」と絶賛してくれました。

画像: ステーブルフォードの部で優勝した香港の“マーくん”ことアンドレア・マさん(上肢障害)。中島さんとは同年代。海を越えたライバルとして切磋琢磨していくことだろう

ステーブルフォードの部で優勝した香港の“マーくん”ことアンドレア・マさん(上肢障害)。中島さんとは同年代。海を越えたライバルとして切磋琢磨していくことだろう

また、日本の「古く歴史ある文化」や「人がやさしい」こと「清潔、ハイテク、交通が整備されていること」がよい点だと嬉しい“日本愛”を語ってくれました。「日本はデビッドからすすめられ、興味があったので妻と娘を連れてきた。京都、大阪、奈良を観光しました」(フランク)。

その他の“新鋭”をご紹介します。75・71でラウンドし、グロス部で2位に入った韓国のホ・ドンヨンくん(16歳・知的障害)は、13歳でゴルフを始めゴルフ歴はわずか3年。それでも今大会2日目にベストスコア71を叩き出し2位となりました。

香港から初参加したのはツォイ・ココさん(30歳)。テコンドーの選手でしたが、22歳のときテコンドーで負傷し下肢の運動障害が残り、「もうスポーツはできない」と落胆していた25歳のとき、ゴルフに出合ったそう。テコンドーで鍛えた体幹の強さを使ったスウィングは美しい!

「テコンドーは相手を倒すスポーツですが、ゴルフは同伴者と仲良くするところが気に入っています。今後はラウンドするたびにスコアを上げ、海外の試合に挑戦したいです。もちろん、来年のこの大会にも!」

画像: ツォイさんの職業はPT(理学療法士)&МRI検査技師。「病気や障害のある人をサポートしたいです」。国際交流にも花が開いた

ツォイさんの職業はPT(理学療法士)&МRI検査技師。「病気や障害のある人をサポートしたいです」。国際交流にも花が開いた

多くの出会いと交流が個々の理解と上達につながります。そして、障害者ゴルフの世界でも、さらに「日本のよさ」が伝わっていくことを願いたいですね。

PHOTO/Yasuo Masuda

関連記事はこちら


This article is a sponsored article by
''.