グリーン上はすべて「2打」が基準。USGAが定める各パーの距離目安

写真は川奈GC富士コースの16番パー3
18ホールのうち、パー3、パー4、パー5と規定打数によって呼び方が異なるが、「それぞれの明確な違いとは何だろう」と疑問に思ったゴルファーは多いことだろう。もちろん、それぞれ距離の長さは異なる。では、その距離に明確な規定はあるのか。「例えば230ヤード以上のパー3や、280ヤードのパー4はあるのか?」「600ヤード超えのパー5は?」などと考え始めると、疑問だらけになりそうだ。
まず大前提として認識しておきたい事柄がある。どんなホールでも「グリーン上でのパット数は2打」を基準としていることだ。つまり、パー3でもパー4でもパー5でも、グリーン上の規定打数は2打となる。そこから逆算すれば、パー3ならティーショットの1打でグリーンに乗せる計算になり、パー5なら5打から2を差し引いた「3回のショット」でグリーンに到達することが想定されている。そこからさらに打数がかさみ、規定打数を超えるとボギー、ダブルボギー、トリプルボギーとなっていくわけだ。
では、距離からそれぞれの違いを考えてみたい。全米ゴルフ協会(USGA)のガイドラインでは、パー3は260ヤード以下(女性220ヤード以下)、パー4は240〜490ヤード(女性210〜420ヤード)、パー5は450〜710ヤード(女性370〜600ヤード)とされている。だが、これはあくまでも有効プレー距離の基準値であり、厳密に守らなければならない規則ではない。
例えば、静岡県のサザンクロスリゾートの7番ホールはフルバックで208ヤード、レギュラーからでも193ヤードのパー3だが、グリーンが高台にあるため、1オンさせるには高弾道で大きな飛距離が求められる。ほとんどのゴルファーはグリーンの手前から2打目を打つことになるだろう。また、インの14番ホールはバックで302ヤード、レギュラーからでは276ヤードのパー4だが、かなりの打ち上げになっており、ティーイングエリアからグリーンを視認することはできない。そのため、276ヤードといえども、かなりの飛ばし屋でなければ1オンさせるのは難しい。
「水平測定」の罠。起伏がもたらす体感距離と難易度の変化
日本のコースの多くは高低差があり、単純な距離の数値だけではホールの難易度を語ることはできない。「距離が短いから易しい」というわけではないのだ。
ホールの距離は基本的に「水平」で測定して決める。しかし実際のプレーでは、1打目が打ち上げや打ち下ろしであったり、2打目から急激な打ち上げに変わったりと、地形の起伏によって図面上の距離と体感距離に誤差が生じてくる。また、ドッグレッグのホールなどもあり、そこに打ち上げ・打ち下ろしの要素が加われば難易度はさらに変化する。
ドッグレッグなどの場合、ティーイングエリアからフェアウェイの中心点にIP(インターセクション・ポイント / Intersection Point)を決め、さらにその場所からグリーン中央までの距離を測定してホールの全長を確定していく。とはいえ、基本的には水平測定であるため、地形の起伏によってどうしても実際のプレー距離との誤差が生じてしまうのだ。

写真は川奈GC11番パー5
マスターズで名高いオーガスタナショナルGCの10番ホールは全長495ヤードだが、かなりの打ち下ろしとなっているため、パー5ではなくパー4に設定されている。一方で、静岡県の御殿場にある富士CCの5番ホールは、パー4で369ヤード、レギュラーからでは322ヤードしかないが、1打目をナイスショットしてもなかなか2オンができないホールだ。その理由は、強烈な打ち上げだからである。セカンドショットで2クラブほど番手を上げても、グリーンに届かないことが多々ある。
もちろん、距離が長ければそれだけ難しくなるのも事実だ。川奈ホテル富士コースの11番ホールは、バックから619ヤード、レギュラーからでも568ヤードと長大な距離を誇る。ティーイングエリアから一見すると平坦に見えるが、実際には細かな起伏があり、グリーン手前が深い谷になっていることから、完璧なナイスショットを3回連続で打てたとしても3オンが難しいほどのタフなホールになっている。
このように、ゴルフの戦略性はホールの地形や形状に大きく影響される。さらにそこに気象条件やハザードの配置など様々な要因が加わることで、コースの難易度は無限に変化していくのである。
文・写真/吉川丈雄(特別編集委員)
1970年代からアジア、欧州、北米などのコースを取材。チョイス誌編集長も務めたコースやゴルフの歴史のスペシャリスト。現在、日本ゴルフコース設計者協会名誉協力会員としても活動中





