人には3つの「モチベーション・タイプ」がある
スコアや技術が目に見えて伸びているときは誰もが練習もラウンドもモチベーションが高い状態でゴルフをできているかと思います。
しかし、「なかなかスコアが伸びない」、「技術的にも良くなっている気がしない」、「経験が増えることで逆に技術的に悩みが増えてきた」、また競技ゴルファーであれば「試合で思うような結果がなかなか出ていない」という状況になるとゴルフへのモチベーションが低下することもあるかと思います。
そこで今回は下がってしまったゴルフへのモチベーションを少しでも高めるためのメンタルテクニックをお伝えできればと思います。
まず理解してほしいのが「自分はどんな動機でモチベーションが高まりやすいのか」という傾向です。ここではその傾向をモチベーション・タイプと呼んでいきます。
ちなみにあなたのモチベーションはいつも何が刺激になり高まっているのでしょうか? これを自己分析することに役立つのがアメリカの心理学者デイビッド・C・マクレランドが提唱したモチベーション理論の一つである「欲求理論」です。
これは人の欲求には「達成動機」「権力動機」「親和動機」の3つの主要な欲求が存在するという理論。以下でそれぞれの動機を解説していくので、どの動機がこれまでの自分のモチベーションになってきたのか考えながら読み進めてみてください。
あなたはどのモチベーション・タイプ?
まず「達成動機」とはうまくなりたい、成長したい、成功したいという動機で「前回できなかったことができるようになりたい」「新しいスキルを身につけたい」「もっとゴルフの技術をあげて良い成績をあげたい」というように人からの評価や報酬ではなく、個人的な進歩を求める動機のことです。
二つ目の「権力動機」とは他者に影響したいというモチベーションです。「自分がまわりより先に100を切りたい」「シングルプレーヤーというステータスがほしい」「コンペで勝ち、人から賞賛されたい」というように他者に対して優位に立ちたいというモチベーションになります。
三つ目の「親和動機」とは人と友好的な関係をつくりたいという動機で「○○さんから認められたい」「仲間と同じくらいのスコアは出したい」「うまくなって人に教えられるようになって役に立ちたい」というように他者との関係性に関するモチベーションです。
誰もが上記の3つのモチベーションそれぞれを持っているものですがその中でももっとも自分のモチベーションになってきたのは「達成動機」「権力動機」「親和動機」のどれでしょうか? まずはそれを特定してみてください。
これまでの自分はとくかく自分の成長、スキルアップが楽しくてゴルフをやってきたのであれば達成動機タイプ。
まわりの人よりうまくなって優秀さやカッコよさを示したいというようにステータスを求めてゴルフをやってきたのであれば権力動機タイプ。
仲間と同じくらいのスコアは出しときたい、仲間と楽しい時間を共有したい、ゴルフをすることで誰から気に入られたいというような想いでゴルフをやってきたのでれば親和動機タイプ。あなたはどのモチベーション・タイプだったでしょうか?
モチベーションを上げたいときは「アウトプット」がオススメ
自分のモチベーション・タイプが特定できたら次はそれをモチベーションアップに活かしていきましょう。たとえば、今日は練習の予定にしていたけど気分が乗らない。そんなときは移動中の車の中で動機につながるものを3つ考え、ひとり言でつぶやいてみてください。
権力動機タイプの人なら「次のラウンドで○○さんに勝つ!」「今月はベストを出して□□さんを越えたい!」「今年中に90を切ってまわりを驚かせよう!」というように言葉に出してみてください。そうするとあなたが練習する動機が明確になりますので自然と練習へのモチベーションも高まってくるはずです。
ここでのポイントは考えるだけではなく、言葉としてしゃべることでアウトプットすることです。「~したい」、「~になりたい」としゃべることでその声が自分の耳に届き、自分を動機付けする効果がありますのでかなり効果的です。
また、それらの動機をノートやスマホに書き出すこともしゃべることと同様に効果大です。考えを書き出し、「見える化」することで脳は達成イメージを描き、報酬物質のドーパミンも放出され、行動したくなるとも言われています。
実際に、サポートするアスリートには朝一に動機を3つノートに書き出し、モチベーションを高めて1日をスタートするということを実践してもらっています。選手たちも「動機を書き出すことで1日頑張ろう!という気分になる」と言ってくれています。
このように、モチベーションを上げたいときは自分のモチベーション・タイプに関する動機を「しゃべる」、または「書く」ことをおすすめします。
実践してみるとモチベーションアップを体感できますのでぜひ試してみてくださいね。
撮影/姉崎正